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2020年10月の読書記録

2020年10月の読書記録。


「伝える仕事」  池上 彰 (著)

自分らしい仕事とは、何だろう。
わかりやすいとは、どういうことだろう。
NHKの駆け出し記者時代、記者キャスターへの起用、「週刊こどもニュース」のお父さんになってから、そして独立を経て今まで。「わかりやすい解説」といえば池上さん。そのように言われるようになるまでに、試行錯誤を重ねながら、どのように自分ならではの仕事をつくりだしてきたのか。率直に綴った自伝的仕事論&メディア論。

「記者」「ジャーナリスト」「メディア」への理解が深まる1冊。「伝える」とは何か、相手へ正しく伝えるための思考法やスタンスもよくわかる。まずは良い文章と触れ合うことが大切だと説く。


「ニュースの大問題! ―スクープ、飛ばし、誤報の構造」  池上 彰 (著)

新聞、TVのニュースはなぜ真実と思いこみ、誤報があるのか?
朝日新聞の「慰安婦問題」の誤報、福島原発の「吉田調書」のスクープ→大誤報、そして池上連載コラム掲載拒否、この3つの事件をめぐって、2014年はマスコミに対する不信感、ブーイングが乱れ飛んだ。ニュースはそもそも偏向している、都合の悪いことはなかなか書かない、といった批判も、じつは報道という世界の仕組みや考え方を知らないからだと著者はいう。池上彰がNHK記者としての実体験を踏まえて解説するニュースの裏側!
ふだん見ているニュースはこんなふうにつくられていた!公平中立なメディアはあるか、スポンサーはどこまで力をもっているのか、ニュースは国益を考える必要があるのかなど、さまざまなニュースの大疑問に答える!!

ニュースがどのように世の中に出るのか、メディアの仕組みや記者の仕事がよくわかる。ニュースは公平中立であるべきだが、そうあり続けることがいかに難しい。池上さんも大きな権力と戦っているんだなぁと感じた1冊。

「2020年新聞は生き残れるか」 長谷川 幸洋 (著)

東京五輪決定の大ニュース翌日は新聞休刊日。だが、私たちに不都合があっただろうか? それでも新聞は必要なのか? 東京新聞論説副主幹がリアルに告発する、ポチ化するマスメディア、堕落する言論。

メディアの目的は何か、ジャーナリストはどうあるべきか。歯に衣着せぬ物言いで辛辣な意見が続く。経済・政策を正しく理解できている記者はどれほどいるのか。取材相手との良好な関係構築=ポチ化。もはや痛快。


「13歳からのジャーナリスト」 伊藤 千尋 (著)

ジャーナリスト歴45年、世界82か国を取材し、人間の尊厳、平和と社会正義を求めて発信し続けた、体験的ジャーナリスト論。何のために書くのかを絶えず問い、実践を通して成長していく姿を描き出す。

中高生の頃にこの本に出会っていたかった。「特派員」として世界をまたにかけて活躍した伊藤さん、今は世界中を旅しながら講演をしているそう。ジャーナリストとしての使命感を感じさせた1冊。


破壊と創造の人事  楠田 祐 (著), 大島 由起子 (著)

現在日本企業の人事部門は、大きな過渡期を迎えている。業務のアウトソーシング、シェアードサービスの活用により、人事部門にも「選択と集中」の波が押し寄せている。さらにはグローバル化、ダイバーシティが叫ばれる中、会社の戦略を達成するためのビジネスパートナーである人事部は、これからの時代、どう学び、考え、行動していくべきか。
年間300社、合計8000人以上の人事担当者を取材してきた著者が、この先10年の人事戦略について考える。

非常に良書でした。人事戦略や手法などのHOW TOではなく、「人事とはどうあるべきか」「人事や人事組織の創り方」という観点で書かれており、人事のスタンスやポリシーを考えさせられる本。最近人事系の取材に力を入れているため、観点の肥やしになった。

潜入ルポ amazon帝国 横田 増生(著)

〈「とてつもなく大きくなったなぁ……」と気圧されるような思いに陥った(中略)私がアマゾンの物流センター内部に足を踏み入れるのは15年ぶり〉(第1章より)“世界最大の小売企業”アマゾンによって、いまや日本市場は制圧されつつある。果たして、その現場では何が起きているのか――「アマゾン・エフェクト」の実態に迫るべく、著者は『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』以来、15年ぶりにアマゾンの巨大物流センターに潜入する。さらに、即日配送、カスタマーレビュー、マーケットプレイス、AWSなど、アマゾンのさまざまな現場に忍び込んでは「巨大企業の光と影」を明らかにしていく。私たちはこのまま何も実態を知ることなく、「アマゾン帝国」に支配されていくのだろうか……日本人に大きな問いを投げかける力作ルポルタージュである。

作者の横田さんがめちゃくちゃクレイジー。取材のためamazonの倉庫スタッフとして働くとは。企業の成長の裏には、こうしたブラックな面もあるのか…。私はamazonの光ばかりみていた。企業広報として、こうした暴露本は正直いやだな…。

フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど  高橋 幸 (著)

「もうフェミニズムに頼らなくても、女性だって活躍できる」
「女性差別がなくなった現代において、フェミニズムの時代はもう終わった」と彼女は言った。
では、私やあなたの心のどこかに張りついている「女であることの不安」はいったいどこからくるのだろうか。――「女らしさからの自由」と「女らしさへの自由」、どちらも実現できる世界をともに目指すために。

フェミニズム不要論「ポストフェミニズム」この概念知らなかった。そうした観点・価値観もあるのかと新たな発見になりました。「いるか」「いらないか」という観点で語るべきテーマでは気はするけど…。読んで、微妙な気持ちになった本。


セクシュアリティをことばにする 上野千鶴子対談集

【対談者】信田さよ子/熊谷晋一郎/立岩真也/宮地尚子/木村朗子/北原みのり/牟田和恵/川上未映子
ことばにならないセックスを論じるに値いするものとし、ジェンダーとセクシュアリティの謎に分け入り、身体と欲望から日本を語りつづける上野千鶴子。ひんしゅくを買うことを怖れない社会学者が、分野を横断し日本の現実をあばく好奇心に満ちた対論。

上野千鶴子さんの対談シリーズはよく読むけれど、彼女の圧が強すぎて、対談相手が時たま押されている(笑)そして、それをそのまま文章化するくらい、飾らない対談集。木村朗子さんとの「宮廷文学」に関する対談が個人的には一番面白く、源氏物語をそのように解釈するのか、と。面白いけど、ちょっと疲れる1冊。

ニッポンが変わる、女が変える 上野 千鶴子 (著)

女の力を活かさないこの国に未来はない。3・11以後の日本をめぐって上野千鶴子が12人の女性と徹底討論!

中央公論社から出ている震災後の対談集。この対談相手の人選はとても好きだ。作家の髙村薫さん、瀬戸内寂聴さん、元政治家の田中真紀子さん、など。「女が変える」というタイトルだが、社会の見方を学べる。先日、同僚との雑談で、「情報のただただ傍受するのではなく、どの情報が正しいのか見極める力を養い、情報を取捨選択できる人へ」という話をしていた。それを養うためには、世の中でどのようなことが起きているのかを、様々な角度で知り、自分なりの考えを持つことが大切。


10月は9冊でした。読みやすい本ばかり選んでいるから好みが偏っている。11月はもっといろんな本を読んでみよー。

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