V MAXの行く末は
2月7日。世の男達が翌週を気にしてソワソワし始めるその頃、ポケモンカードの世界では新たなカード群が追加された。
その名を「V MAXライジング」という。
ラプラスV MAXにとっては大きな強化となるバケツが収録されておりそちらも色々と考察したいところではあるわけだが、前回のノートにてV MAXをぼろくそに言っていたわたしとしては、やはり言及しないわけにはいかないような気がした。すでに発売から1週間以上が経過しているが、その辺りには是非とも目を瞑っていただきたい。というかそろそろ次の新弾が出てしまうのだが……。原因は概ねポケモンホーム辺りにある。
さて今弾では、いわゆる御三家と呼ばれるポケモン達のV MAXが収録された。本家では追加コンテンツの存在が発表され、そこでキョダイマックスの姿が公開されたにも関わらず、通常のダイマックス姿を追加したのは……やはり商業的には御三家を早く出さない訳にはいかないということだろうか。ならばなぜ初弾で出さなかったのだろうか。未だV MAXが無いタイプもある中、水タイプはラプラスに次ぐ2種目である。
それはそれとして、本ノートでは新規V MAXの3種について、前回のノートに記した「システム・デザイン面から見た評価」を下していきたいと思う。これはあくまでもわたしの個人的な感想にしか過ぎないし、思い付いたことはその都度話していくので読みにくくなるかもしれないことは予めご了承いただきたい。
具体的な評価に移る前に、改めて前ノートに記したことを確認しておこう。
V MAXポケモンは、倒されるとサイドを3枚取られてしまう。そのため、献上サイド2枚以下を蹴散らせるだけの強さ=「nパンで倒せる相手からnパンで倒されない性能」が必要となる。相手を倒す速度と倒される速度が同じなのであれば、献上サイドが少ない方を使えばよい、ということだ。まあわざわざnという表現を使ったものの、正直なところを言えば「ワンパンで倒せてワンパンで倒されない性能」と言い切ってしまって問題ない。
それでは図鑑No.順に見ていくとしよう。すなわち、ゴリランダーである。
HP330はやはり高水準。よほど特殊なデッキタイプと当たらない限りは(すりすりガノン等々)まず間違いなくワンパンされることはない。
逃げエネが重く感じる部分ではあるが、このゴリラを逃がす場面がどれほどあるのかは想像し難いのでスルーしよう。炎弱点はメジャーどころであり、ややマイナス評価といえる。構築によっては対策が必要だろう。
ゴリランダーV MAXは、前述した観点で言えば非常に高い評価を下すことができる。
前ノートにて、仮想敵とするべきVポケモンとしてザシアンを挙げていたが、このゴリラは見事に「ザシアンV(=その他の献上サイド2枚以下組)をワンパンしてワンパンされない」関係となっている。つまり、V MAXが使われない由縁となっていた世界への反逆に成功したのである。(そもそも初期性能が世界から見放されていないので反逆という言葉は正確ではないが、まあテンションが上がったと思ってスルーしていただきたい)
つまり、ゴリランダーV MAXにはそれなりの価値がある。エネルギーのトラッシュ枚数を選ぶこともでき、意外と器用に立ち回れる点も評価に寄与するところだろう。
ただ、エネルギーをトラッシュする必要がある点から、単独で戦うことは非常に難しい。前弾のゴリラ等、何かしらのサポートは必須であり、それらを揃えるまでのハードルを越えなければならないところは忘れてはならないポイントだろう。とはいえ、草タイプはネットボールやモクナシがあるので、他タイプと比べればハードルは低い。
総じて、他のポケモン等によるサポートが必須であること、炎弱点であることに目を瞑れば、ゴリランダーは強い。
ところで、こう書いたは良いのだが、意外とゴリランダーの勝利報告は多くない。察するに、場を整えるまでのスピード、事故率が原因だろうか。本体(1進化)+2進化を揃えるハードルは、如何に草タイプと言えども高いか。
続いては、炎タイプより。アニメでも活躍するヒバニーの進化系。
HPは何故かゴリランダーより低い320。代わりに逃げエネを風船で消すことができる。
わざを使うのに必要なエネルギーは、どちらを使うにしても溶接工+手張りで充分であり、炎タイプとして及第点の性能を持っていると言えよう。
さて、肝心のわざ火力であるが、これがやや物足りない。上わざのカウンターはエースバーンV MAXが受けたダメージしか返せないし、恐らくは多くの献上サイド2枚以上のポケモンをワンパンすることはできない。ほとんどのポケモンが自分のHPよりわざ火力の方が低いからである。というより、奴らをワンパンできるだけのダメージが乗っているこいつをバトル場に放置はしにくいだろう。
とはいえ所詮は上わざ。期待感をもって下わざを見て、そしてげんなりしよう。
やけどによる継続火力となり得るとはいえ、実質威力は190。やけどが回復しなければ210。ギリギリでザシアンを倒せないところが憎い。
エースバーンの場合、やけど火力を増加させるゴウカザルとの相性がよい。こちらをベンチに立てて置けば、ダイカエンダマの実質威力は230となるし、回復しなければ290ダメージを次のターンが来るまでに与えることができる。ここまで伸びれば、世界への反逆に成功したとギリギリのギリギリのギリギリで言えなくもない。まあ、こちらのサポートが前提であるのならば、相手もフライパンやお守りのサポートを前提にしなければならないし、そうなるとワンパンできないのでやはりダメか。
とは言っても、こいつは専用のデッキを組んでやればそれなりに強い。燃えるスカーフを併用して細かいダメージを稼いでおくことでワンパン圏内にいれることもできるし、何より風船対応な点が見逃せない。
エースバーンは、釜戸+溶接工で2匹目の準備が比較的容易な炎タイプなので、2匹以上のエースバーンをぐるぐると回すことで実質耐久値を倍以上にする戦法を取ることができる。進化前のエースバーンVもスタジアムがあるだけで逃げエネがなくなるので、マオスイによる回復との相性も良い。
何より、これまでのポケモンカードとはやや異質な動きをすることになりそうで、楽しそうである。
総じて、専用のデッキ構築ができれば世界に反逆するポテンシャルはありそう、といったところ。ポケモンカードは大体メインポケモン専用のデッキ構築となるので、それほどデメリットではない。構築時やプレイングにおけるこれまでのセオリーが適用しにくいこと、モスノウの追加で大幅強化された水弱点であること、サポートの内容的に事故率が高そうなところが気がかりな点か。
というわけで「サポート必須」だが「反逆は可能」という点で、エースバーンとゴリランダーは同等程度の評価といえる。
最後は水タイプ。どうして図鑑No.は草→炎→水の順番なのだろうか。アニメの主人公格は大体炎タイプが担っているのだが……。
あまりのイケメン具合に、腐女子と言われるジャンルのオタクをポケモン世界に召喚したのがこいつ、インテレオンである。
HPと逃げエネはエースバーンと同じ。つまり、エースバーンで述べたぐるぐるプランが取りやすいという点で、すでにインテレオンはエースバーンに評価が並んだ。無論、モスノウ+バケツでエネの準備に問題はない。
先に述べれば、わたしの評価においては、御三家の中ではインテレオンが最も高い。
わざを見れば一目瞭然だろう。まず上わざ。大体のポケモンが盤面を整えるまで貧弱であるのに対し、インテレオンは盤面を整えるまでの時間稼ぎを自らしてくる。インチキだろうこいつ。エネ加速の手段が無いデッキは、ただそれだけでほぼ完封されてしまう、かもしれない。
さらに下わざ。バトル場に160は去ることながら、追加効果で適当な進化前を処すことができる。今まで、進化前の種ポケモンはウツギ博士に対応するHP60と70の間に大きな壁があったが、こいつがその壁をぶち壊してしまった。今後、進化デッキを組む場合はウツギ対応かインテレオンの追加ダメ耐えかで選ばなければならなくなる。
上わざ、下わざのどちらを見ても、存在がデッキ構築に影響を与えているという時点で、インテレオンは別格なのである。
ちなみに、進化前も1エネで40点を適当に出せる。一撃でメタモンを落とし、2発でジラーチを落とす。
なお、下わざのダイバレットに関してはまだ語るべき部分があるので追記していく。この段階ですでに強いのだが、さらに強い部分があるとは何事か。
ダイバレットはメイン火力が160。2発で多くのV MAXすら落とせるうえに、追加ダメージも2発で120と大きなダメージになる。ベンチでサポートを担うポケモンは大体これで落とせてしまうので、相手に継続的なサポートを許さない。
そのうえ、160+60=220はザシアンのHPを削りきれる=ほとんどの献上サイド2枚組を倒せる火力となる。つまり、ダイバレットを1発受けたあとにベンチに逃げることを許さないのである。もっと言えば、バトル場のポケモンが60ダメージの圏内に入っているのであれば、フィオネやボルケニオンで流すだけで他のポケモンに160を乗せつつ倒すことができてしまう。
進化を妨害し、サポートポケモンを片手間に落とし、逃げることすら許さない。こう書くと、わりと最強レベルに見えてきてしまう。いや、それが事実か?
しかもこいつはラプラスと違い、モスノウへの依存度が低い。上わざで誤魔化せるし、3つ付ければそれ以降は要らないからである。最強か?
欠点は、やはりピカゼク等の速さに定評がある雷が弱点である点か。火力アップをしてないフルドライブなら耐えるとはいえ、それを期待するのはやや楽観的過ぎる。
また、インテレオンの強さとして挙げた部分のほとんどは、ベンチバリアで防がれてしまう。ミュウを置かれただけで、一気にエースバーンの劣化となる点は注意が必要だろう。ベンチ枠の1つを埋めることを強制することがそもそも強いが……たった1つの対策による影響が大きいのも事実。こちらもしっかり対策するべきだろう。
相手に先に動かれると切り返しにくい点も見逃せない。如何に相手より早く盤面を整えるか、先に動かれたあとの切り返し方も考察しておくべきと言える。
総じて、実は世界のルールに則った性能ではないが(=献上サイド2枚以下をワンパンすることはできない)ルールの穴を突く形で反逆に成功している、といったところ。2パンで倒される前にサイド3枚以上を獲得する性能は持っている。
さて、ここまで御三家のV MAXを見て評価してきた。いずれも、前弾のV MAXに比べてはるかに戦う力があると言える。少なくとも、3種が3種それぞれに世界へ反逆する術を持っているため、大会で結果を残すだけのポテンシャルはあるだろう。
ザシアンにピカゼク、小ズガにミュウミュウといった強敵を、V MAXが薙ぎ倒していく姿を期待して、この辺で筆を置くとしよう。
……今弾はジムバトルにすら出れなさそうで悲しいのである。
PS. この記事は投げ銭制。価値を感じていただけたなら、ぜひともわたしのコーヒーを1杯奢っていただきたい。コーヒーが大好きなのである。コンビニコーヒーが充分すぎるほどに美味しい。
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