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地球を知ること

数理落語家 自然対数乃亭吟遊

『宇宙に行くことは地球を知ること』宇宙飛行士の野口聡一さんと、ミュージシャンの矢野顕子さんの対談本なのだが、なんとこの本は、先日感想文を書いた同じく光文社新書の『目の見えない人は世界をどう見ているのか』と同じテーマを扱っている。


「え?一見全然関係ないタイトルだけど?」


そう思われるかもしれないが、どちらの本も「一般の人が普段使っているのとは違う感覚」についての話をしているのだ。


矢野顕子さんはミュージシャンなので、元から特殊な感覚を持っている人の代表だ。なんせ借りる部屋について、手を叩いて広さを確かめちゃうような人だ(しかも坂本龍一さんも、まったく同じことをしたというから、耳の優れている人というのは違う)。


一方野口さんは、おそらく一般的感性の持ち主だが、特殊な世界で特殊な体験をしてしまった人の代表だ。


いつもと違った感覚で世界を見るためには、まず頼っている感覚に頼れなくすることだ。野口さんは ISS の船外作業でそれを体験したわけだが、宇宙にまで行かなくてももう少し手軽に、" ダイアログ・イン・ザ・ダーク " で体験できそうだ。『目の見えない人は世界をどう見ているのか』でも紹介されていたワークショップで、光を遮断した中ですごすというものだ。


これは言ってみれば、剣桃太郎が心眼を得るために目隠しをしたが、「そんなことで心眼が手に入るわけはねえ!」と赤石先輩に斬岩剣で目を切られ真の心眼を得たというエピソードのようなものだろう。うん、それなら分かるぞ。


対談は意外なところまで話が及んだ。これは優れた感性を持つ矢野顕子さんがインタビューしたのが良かったのだろう。話が「当事者研究」にまで及んだのは驚いた。バーンアウトした宇宙飛行士やアスリートが、障害のある人たちと同様に自身を研究しているのだという。ここでも、宇宙旅行と障害がつながった!


さて私は区が主催した " ダイアログ・イン・ザ・ダーク "の抽選に漏れてしまった。仕方ないので、宇宙にでも行ってみようかと思う(ちと高いナ)。




#読書の秋2020

#宇宙に行くことは地球を知ること


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数理落語家 自然対数乃亭吟遊
まずは数理の物語、エッセイから。物語を紡いでいきます。