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上場審査の基準

株式上場をするためには、「形式基準」と「実質基準」と呼ばれる2種類の基準をクリアする必要があります。また、上場準備段階であっても、上場後に求められる「金融商品取引法上の内部統制」や「証券取引所が定める企業行動規範」に沿った要件をクリアすることまで考え、体制整備を行う必要があります。

形式基準とは

形式基準とは、上場申請を行うに当たって最低限クリアしなければならない“定量的な側面”を確認する基準です。取引所によって内容は異なりますが、主な項目として以下があります。

上場時の株主数
公募・売出し
流通株式数
純資産の額
利益の額または時価総額
事業継続年数
監査意見
株式事務
合併などの見込み  など。


実質基準とは

実質基準とは、「実質審査基準」とも呼ばれ、上場審査の中心的な内容となる“定性的な側面”を確認する基準です。これは、各証券取引所の規則にそれぞれ明記されています。以下は、日本最大の金融商品取引所である東証の実質基準内容です。


東証 実質基準内容

有価証券上場規程 第207条
スタンダード市場への新規上場申請が行われた株券等の上場審査は、新規上場申請者及びその企業グループに関する次の各号に掲げる事項について行うものとする。
(1) 企業の継続性及び収益性
 継続的に事業を営み、かつ、安定的な収益基盤を有していること。
(2) 企業経営の健全性
 事業を公正かつ忠実に遂行していること。
(3) 企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
 コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、
  機能していること。
(4) 企業内容等の開示の適正性
 企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること。
(5) その他公益又は投資者保護の観点から当取引所が必要と認める事項


有価証券上場規程 第213条
 プライム市場への新規上場申請が行われた株券等の上場審査は、新規上場申請者及びその企業グループに関する次の各号に掲げる事項について行うものとする。
(1) 企業の継続性及び収益性
 継続的に事業を営み、安定的かつ優れた収益基盤を有していること。
(2) 企業経営の健全性
 事業を公正かつ忠実に遂行していること。
(3) 企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
 コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること。
(4) 企業内容等の開示の適正性
 企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること。
(5) その他公益又は投資者保護の観点から当取引所が必要と認める事項


有価証券上場規程 第219条
 グロース市場への新規上場申請が行われた株券等の上場審査は、新規上場申請者及びその企業グループに関する次の各号に掲げる事項について行うものとする。
(1) 企業内容、リスク情報等の開示の適切性
 企業内容、リスク情報等の開示を適切に行うことができる状況にあること。
(2) 企業経営の健全性
 事業を公正かつ忠実に遂行していること。
(3) 企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
 コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が、企業の規模や成熟度等に応じて整備され、適切に機能していること。
(4) 事業計画の合理性
 相応に合理的な事業計画を策定しており、当該事業計画を遂行するために必要な事業基盤を整備していること又は整備する合理的な見込みのあること。
(5) その他公益又は投資者保護の観点から当取引所が必要と認める事項


上場基準のほかに遵守すべきこと

上場基準のほかに、有価証券上場規程に定められている行動模範としていくつかの項目をクリアする必要があります。以下は、東証での上場に関するその他の項目です。

会社の機関設計に関する項目
取締役会の設置、監査役会または委員会の設置、会計監査人の設置、
独立委員の設置



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