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いないいない、夏。

東京ミッドタウン日比谷へ。
ここを訪れたのはオープン以来。開業直後はそりゃもうにぎやかで、
人混みが苦手な自分は足が遠のいていた。
あれから2年。
近くで野暮用があったので寄ってみたらば。

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ガラ空きが過ぎた。

「ちゃんとご飯は食べているのかい? 夜は眠れているのかい?」

思わず、田舎のばあちゃんが
都会に出た孫を心配するかのような心境になってしまった。

「大丈夫だよ。なんたってばあちゃんの孫だからね!」

と、訪れる者のいない空の庭で、孫は優しい強がりを見せるのだろう。
今年の夏は遊びに行けないから、余計に。

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あまりのガラガラっぷりに、一瞬そんな妄想をしてしまったが、いやでも本当に、人がいない都会の夏はショッキング。
ガランとした空間に、そこはかとなく漂う侘しさに煽られて、思わず、いますぐビールが飲みたい、と思ってしまった。
仕事中なのに(ただ飲みたいだけ)。

ああ、空が青い。

来年の夏は、街に人がいるだろうか。
誰かと、夏を分かち合えるだろうか。

「ねえねえ、今年の夏、暑くない?」
「暑い。もうビールで暑気払いするしかない」
「ビアガーデンでも行っちゃう? 夏だけに」
「いいね、野外のビール最高!」

夏のビールは誰かと飲みたい。
暑いだの、うまいだの、
そんなあたりまえのことを言いながら。

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で、結局飲んだ(やっぱり)。

乾杯、いつかの誰かと。
乾杯、あの頃の自分と。
乾杯、まだ見ぬ君に。

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