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夏雲小僧  シロクマ文芸部


夏雲小僧    【493字】

夏の雲の雲梯にぶら下がって下を眺めていると、ぼくはまだまだだなって思うんだ。
夏の雲の上はモクモクでとても遊べないけど、底は真っ平でいい。
父ちゃんは下のことを何でも知っていて、ぼくに教えてくれる。

ぼくが好きなのは線の上を動いたり止まったりして、同じ色のものを取っていくゲームさ。あちこちに同じ車ってのがあってさ、後ろにどんどん放り込むんだ。たぶんいっぱいになったら勝ち。
すごく大きな音がするんだぜ。ギョーンとかビヨーンとか、ガッチャンとか。それも大好きさ。父ちゃんのはもっとすごいけどね。

ある日、獲物を飛ばしていっちゃったのを見つけて、ぼくは居ても立っても居られなくて手を離した。するとゆらーり降りていってガチャンと着地した。車ってのは意外と大きかった。ぼくよりずっと。
ぼくはおっちゃんに言ったぜ。
あっちに取ってないのがあるよって。
そしたらおっちゃんは「あれは規則を守ってないから、持っていかない」って言った。
ぼくはそのおっちゃんの車に乗せてもらった。
しばらく走ったかな。黒い雲から父ちゃんがすごい勢いで降りてきて、車はバキバキのビリビリで酷い目に遭ったんだ。
ぼくは父ちゃんに叱られた。
      了


小牧部長さま
よろしくお願いいたします


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