MBA志望者向け:テスト選択と学習計画 (1) 英語のテスト編

MBA志望者向け:テスト選択と学習計画 (1) 英語のテスト編

飯島哲也

Affinity英語学院の飯島哲也(学習カウンセラー)です。

MBA(Master of Business Administration:いわゆる「ビジネススクール」)出願を目指している方々を対象に「テストの選択」と「学習計画」について連載させていただきます。今回は「(1)英語のテスト編」です。

(1)英語のテスト編

前提として、MBA出願においてスコアが使える主な英語のテストは汎用性の高い順に「TOEFL, IELTS, PTE, Duolingo, TOEIC」です。一番汎用性が高いのが老舗のTOEFL(トーフル)でして、TOEFLスコアで出願できない学校は無いはずです。そしてIELTSも近年一気に広がりをみせており、私の知る限りIELTSのスコアで出願できないトップスクールはWhartonだけです。その次に汎用性が高いのがPTE(ピーティーイー)」でして、たとえばM7(=Magnificent Seven=アメリカのトップ7校=具体的にはHarvard, Stanford, Wharton, Chicago, Columbia, MIT, Kellogg)の中でPTEのスコアでは出願できないのはKelloggのみです。(ちなみに、後述の通りColumbiaとMITは英語のテストスコアの提出自体が不要です。)そして、Duolingo(デュオリンゴ)はNYU(Stern), Rochester (Simon), Warwick, 等の一部の学校のみで、さらにTOEIC(トーイック)はINSEAD, HEC, 等の一部の学校のみで使えるテストです。DuolingoとTOEICはMBA出願における英語のテストとしては例外の類だとお考えください。(2021年5月17日時点での情報です。)

私はMBA出願における英語のテストは基本的にIELTSを選択することをお勧めしています。TOEFLの本を出版していて、その自書を売り込みたいはずの私があえてIELTSをお勧めしているわけですので(笑)信用していただきたいです。ほとんどのMBAが「IELTS 7.0点=TOEFL 100点」または「IELTS 7.5点=TOEFL 105点~110点」という換算を採用しているのですが、この換算だとIELTSの方がデータ上明らかに有利なのです。私の研究では両テストの点数換算の実体値は「IELTS 7.0点=TOEFL 90点~95点程度」及び「IELTS 7.5点=TOEFL 100点~105点程度」であり、現時点で広く使われている「IELTS 7.0点=TOEFL 100点」及び「IELTS 7.5点=TOEFL 105点~110点」という換算だと客観的に考えてIELTSの方が有利です。ただし、例外があります。たとえばGeorgetown MBA (McDonough)は「IELTS 7.5点=TOEFL 100点」という換算を使用しており、この換算だと私の見解ではTOEFLとIELTSは五分五分です。つまり、仮にこの「IETSL 7.5点=TOEFL 100点」という換算がMBAの主流になれば私は「TOEFLとIELTSの選択はどちらでも良いです。皆さんにお任せします。」と発言することになるでしょう。ただし、現時点では私は明快に「MBA出願における英語のテストはIELTSを選択することをお勧めします」とお伝えしているのです。(注:面白いものでMBA以外の分野、たとえばLL.M(法律学の修士号)出願においては「IELTS 7.5点=TOEFL 100点」という換算が主流のようです。よって、LL.M留学を目指している方であればTOEFLを選択することも有力です。)

特に、いわゆる「純ドメ」タイプの方、あるいは英語の音声面(リスニング&スピーキング)に課題を抱えている方にとっては、IELTSの方が有利な傾向があります。(つまり、逆に言うと、ネイティブタイプ、あるいはいわゆる「帰国子女タイプ」の方は「純ドメタイプ」よりもTOEFLの方が高得点が出やすい傾向があります。)もう少し具体的に申し上げると、特にSpeaking SectionにおいてTOEFLとIELTSの違いが顕著に表れています。TOEFL Speakingにおいては発音やプレゼンテーションが重視されます。これは採点基準として明確に打ち出されているわけではないので、業界仲間からご批判をいただくことがありますが、TOEFL Speakingの採点者たちに「発音、プレゼンテーション重視の姿勢」が見られるというのが私の分析結果なのです。逆に、IELTS Speakingは「コンテンツ重視」の傾向が見られます。IELTS Speakingは採点基準の1/4が単語、1/4が文法です。つまり、採点基準の1/2(半分)が「単語と文法」なのであり、仮に発音に課題を抱えていても中身(単語と文法という「非音声面」)をきちんと修行すればSpeakingで7.0点を取得することも十分に可能です。純ドメの方がTOEFL Speakingで25点を取得するのは至難の業ですが、IELTS Speakingで純ドメの方が7.0点(=TOEFL 25点相当)を取得することは十分に可能なのです。(余談ですが、このSpeaking SectionにおけるTOEFLとIELTSの傾向の違いはアメリカとイギリスの考え方の違いが反映されていると私は考えているのですが、本稿は比較文化論を語る場ではないので別の機会に譲ります。)

では、IELTSに懸念事項が全く無いのかと言うとそうではありません。まず、IELTSはイギリス英語&オーストラリア英語がベースになっているので、アメリカ英語を中心に英語学習を進めてきた方はイギリス英語とオーストラリア英語に慣れるためのトレーニングが必要になる可能性があります。また、WhartonがIELTSスコアを受け付けていませんので、Whartonへしか出願しない方やWhartonの志望度が高い方はTOEFLかPTEのどちらかを選択する必要があります。

ということで、色々と細かい事情はあるのですが、ざっくり申し上げると「MBA出願における英語のテストはIELTSを選択すること」をお勧めしたいのです。

このような私の考え方を反映させて、現在Affinity英語学院においてはIELTS講座を開講しています。ReadingとListeningの講座「IELTS LRクラス」は日曜日の実施です。このクラスはGMAT VerbalとGRE Verbalの準備クラスの意味合いも兼ねていますので、英語力不足からGMAT VerbalやGRE Verbalの学習を開始することを躊躇している方にも「プレGMAT、プレGRE講座」という位置づけでの受講をお勧めしています。担当はIELTS関連書籍を多数出版している内宮慶一講師です。また、IELTS SpeakingとWritingの講座「IELTS SWクラス」も少人数制(4人限定)にて実施しています。火曜日のニッシュ講師クラスと木曜日のジェシカ講師クラスの2クラスがありますので、レベルやクラスの進め方などの好みによって選択していただけないでしょうか。ニッシュ講師クラスの方がどちらかと初級者向け、ジェシカ講師クラスの方がどちらかと言うと上級者向けです。

私(飯島哲也)は現時点ではIELTS関連クラスは担当していませんが、以前はIELTS SWクラスを担当していました。また、私はAffinity英語学院の「カリキュラム・ディレクター」でもあるので、全クラス&全講師の監修をしています。私はIELTSクラスのなかで皆様に直接お目にかかることは基本的にはありませんが、学習カウンセリングの中でIELTSの勉強法等についてご相談にのることはできます。また、私はかつてはTOEFLを中心に指導していました(特にSpeakingとWriting)ので、TOEFLを選択している方のSpeaking指導(特にテンプレート指導と発音指導)及びWriting指導(特にe-raterから高評価をもらうためのコツの指導)を個別に担当することも可能です。

最後に、MBA出願においては英語のテスト受験自体を回避することも可能であることに触れさせてください。そもそも英語のテストスコア提出が不要なMBAも少なくないのです。たとえばMIT, Columbia, Duke, Yaleは英語のテストスコア提出自体が不要です。また、英語のテストスコアを必要としている学校でも、面接において高度な英語力を示すことができればテストスコアが低くても合格することがあります。複数のMBAアドミッション関係者から「英語のテストスコアが低いというだけの理由で出願を見合わせないでください。面接で高度な英語力を示せれば合格する可能性はあります。学力テスト(GMAT/GRE/EA)の代わりはありませんが、TOEFL/IELTSの代わり(=飯島注:面接のこと)はあるのです。」という主旨のコメントをいただいています。よって、「TOEFL/IELTSを完全に終わらせてからGMAT/GRE学習を開始すべき」という戦略jを採用することが無難ではあるものの、必ずしも万人に当てはまる考え方ではありません。たとえば、EA (GMAT EA)のスコアだけでColumiba MBAへ合格された方もいらっしゃるのです。

ということで「そもそも英語のテストを受験するのか否か」、「英語のテストを受験するとしたらどのテストを選択するべきのか」、そして「学力テスト(GMAT, GRE, EA)の対策は英語のテストを完全に卒業してから始めるべきなのか」、等々の決断は「出願戦略論」に関わる領域であり、「人次第、状況次第、戦略次第」なのです。

私はTOEFL/IELTSのスコアが伸び悩んでいる方や対策に行き詰まりを感じている方は、TOEFL/IELTS対策をいったん中断してGMAT SC&CRの対策を実施することをお勧めすることがあります。それはSC(Sentence Correction)とCR(Critical Reasoning)の学びがTOEFL/IELTSのスコアメイクに良い影響を与えることが多いからです。ただし、基礎英語力が低すぎるとSC&CRの学習自体が成立しませんので、せめてReading SectionだけもTOEFL/IELTSを「卒業」していることがGMAT学習開始の目安になります。Affinity英語学院のSC戦略クラスCR戦略クラスの受講条件は「TOEFL Reading 25点以上」または「IELTS Reading 7.0点以上」を取得済みであるか、あるいは同等の英文読解力があると認定可能な場合とさせていただいております。TOEFL Reading 25点、IELTS Reading  7.0点は本当に「最低ライン」でして、この点数で「TOEFL/IELTS Readingを卒業している」と言えるのかは微妙なのですが、目安としてこのようにお伝えしている次第です。また、仮にGMAT/GRE対策を見切り発車させる場合でも、英会話のトレーニングだけは地道に継続してください。どんなにテストの点数が高くても、英会話力が低すぎると面接で落とされる可能性があるからです。

以上が現時点での私の「学習カウンセラー」としての見解です。「IELTSがお勧め」とは書きましたが、仮にTOEFLで短期間に目標点数が達成できそうなのであればTOEFLを選択しても(当たり前ですが)全く問題ありません。また、「TOEFL/IELTS対策をいったん中断してGMAT SC&CRの対策を実施することをお勧めすることがある」とも書きましたが、英語のテストを完全に終わらせてから学力テスト(GMAT/GRE/EA)対策を開始することが理想的であることは自明の理です。このあたりの決断は本当に「人それぞれ」ですし「出願戦略次第」ですので、詳しくは学習カウンセリングにて個別にお話をさせていただくことをお勧めします。

MBA出願はビジネスパーソンにとって大きな「投資」です。そして、ビジネスにおける「投資」に上手い下手があるのと同様に、テスト学習という「投資」にも上手い下手があります。そして、学習カウンセラーとしての私の「ミッション」は「テスト学習における投資の最適解を提供すること」なのです。適切なテスト選択をすること、適切な学習戦略に基づき適切なリソース配分を決めること、適切なクラスを適切な時期に受講すること。実はMBA出願プロセス自体が「投資能力」を問われる「場」なのです。

次回は学力テスト(GMAT, GRE, EA)について書かせていただきます。






飯島哲也
Affinity英語学院を主宰しています。「テスト対策講師(主にGMATとGRE)」「学習カウンセラー(主に英語と数学)」「メンタルトレーナー(呼吸法、瞑想、等)」として大学院留学(MBA, LL.M, Public Policy, etc)のお手伝いをしています。