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ジョン・ガリアーノはマルタン・マルジェラと同じ道を辿る


*このテキストは「AFFECTUS subscription」「AFFECTUS letters」の有料ニュースレター「LOGICAZINE(ロジカジン)」で、2019年10月29日に配信されたタイトルです。

【こんなニーズをお持ちの方に】
・デザインやトレンドの分析・考察が大好きで毎週読みたい
・専門学校生・大学生でファッションデザインの勉強に使いたい
・アパレル営業・販売の方で、モードファッションの情報収集と商品の言語化の参考にしたい

本文は以下から始まります。

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「メゾン・マルジェラ(Maison Marigiera)」が進化を見せ始めた。私は今、そう実感する。ジョン・ガリアーノ手がけるメゾン・マルジェラのことを「これはマルジェラではない」と否定する話は、もう終わりにしよう。私たちが呼ぶところのマルジェラというブランドは、二度と戻ってこない。たとえ、仮にマルタン・マルジェラ本人が復帰したとしても、それは叶わない願いだろう。それほどに、マルタン・マルジェラが1989SSシーズンにデビューしてからおよそ10年間に渡るコレクションは、奇跡の産物だった。

ガリアーノは、マルタンが去った以降、過去のコレクションを焼き直しているだけに思えた「メゾン・マルタン・マルジェラ(現メゾン・マルジェラ)」に、創造性を吹き込むことに成功している。マルタンが引退してからはデザインチームがコレクションを制作したが、当時のコレクションにはたしかにマルジェラらしいエッセンスはあっても既視感が多く、「一体どうした?」と疑問が浮かぶクオリティであった。いくら素晴らしいデザインであっても、過去のデザインにアレンジを加えて発表するだけでは、人の心に響かないことを私は学ぶ。

だが、ガリアーノは自分の武器をメゾン・マルジェラと一体化させ、時間をかけてブランドに創造性を取り戻す。

以下、ガリアーノのデザインについて所見を述べていきたいと思う。独断的・偏見的になることがあるかもしれない。あくまでこれは、私自身の個人的解釈であることをあらかじめ断っておきたい。だが、世界で自分一人、そう思える自らの世界を勇気を持って語っていくことが、テキストに独自性を加える上で重要だろう。

インターネットによって誰もが自由に発言できるようになった。だが、その反動で自分の考えとは異なる考えに対して、過剰なまでに批判的に反応することが増えてしまった。インターネットの力によって様々な視点と解釈に触れる楽しみができたのに、このままでは自由な意見が控えられ、無難な意見ばかりになるリスクが高まる。

「あなたの考えに共感はできないけど、異なる考えが共存する世界には共感する」

この姿勢が大切なんだろうと思う。

話がずれてしまった。本題に戻ろう。

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