20181204_エモい

エモいことがカッコいい時代 -あいみょん、BTS、ディオール メン-

 2019SSシーズンのコレクションが終わり2ヶ月。もう来月の下旬からは、メンズコレクション2019AWがスタートする。ファッション界の時間の流れは早い。目下注目なのはヴェトモン=ストリート以降のスタイルと言えよう。2019SSシーズンではニューヨークから「NYアヴァンギャルド 」と言えるデザインの新潮流が見られた。

 これまでの装飾性が高くビッグシルエットのストリートスタイルから、シンプル&クリーンをベースにアヴァンギャルドな要素を極小に表現したスタイルが現れた。それが私の言うところのNYアヴァンギャルドになる。

 2019SSを振り返ると、デコラティブ&ストリートは継続されながらも、シンプル&クリーンを押し出すブランドが明らかに以前より増加し始めていた。

 果たして、デザインの潮流はこのままNYアヴァンギャルドを代表とするシンプル&クリーンへ完全にシフトしていくのだろうか。そしてヴェトモンの次に、時代の覇権を握るキングはどのブランドになるのだろうか。

 今、そこに私は注目している。

 ファッションの未来は読めない。けれど、未来は必ず訪れる。その未来を考えてみたいと思う。

 今日、あるツイートを見て興味深いデータを知る。SNSを利用する、450人のミレニアル世代に聞いた2018年の流行語に関する調査だ。こういう世代を絞ったデータは貴重で、様々な考察を得るきっかけになる。とりわけ時代を象徴する存在である若者たちのデータはありがたい。Z世代がどうなのかも気になるところではある。

 この中で興味を惹かれた流行語が二つあった。それが「あいみょん」と「BTS」だった。なぜその二つに惹かれたのか。それは「音楽」だったからだ。音楽の現象を追うことは、時代の若者たちの感覚を捉える絶好の資料となる。また、ファッションと音楽は密接に関係し、音楽の影響はファッションへ浸透することは歴史が証明している。

 他にも音楽に関する流行語はあった。しかし、私はあいみょんとBTSのミュージックビデオを視聴し、この二つに惹かれる。そこにある共通点を感じたからだった。

 そのため、さらに両者のミュージックビデオを複数本観ることにした。下記は実際に観たリストである。

・あいみょん
『生きていたんだよな』
『愛を伝えたいだとか』
『君はロックを聴かない』
『マリーゴールド』

・BTS
FAKE LOVE
FIRE
DOPE
Blood Sweat & Tears
DNA
Boy In Luv
Not Today
Save Me
Spring Day
I NEED U
War of Hormone

 両者の各曲をフルで観てみた。

 ここで断っておきたいが、私は音楽に関してはまったく詳しくない。あくまでファッションデザイン視点で、あいみょんとBTSのミュージックビデオを視聴し、これからのファッションデザインの未来を考察することが狙いである。

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