ゲームの導入・序盤について①

「開始数分でなにが面白いのか教えろ」

これに尽きます。
もちろんいろいろ例外はありますが、あとにしましょう。

ちなみに、内容はフリーゲームなどの個人制作者を主に想定しています。
また、筆者は基本的に専門はRPGになります。

・すぐ操作させろ
当然ながら、ゲームをはじめるプレイヤーはゲームをしたがっています。
「ゲームをする」とはどういうことかというと、「操作できる」ということです。

RPGなら歩き回ってタンスを調べたいんです。
アクションならジャンプをしたいんです。
すぐにでも敵を殴って倒せるなら最高ですね。

延々とクリックするだけのオープニングが続くとそれだけで嫌になります。

・チュートリアルってつまんないよね
だからといって、操作さえできればいいというわけではありません。

ソシャゲやネトゲのチュートリアルは顕著ですが、本当につまらない
「攻撃」ボタンを押してみよう!
(攻撃ボタンがハイライトされ、それ以外押せない)
次は「編成」だ! 「強化」だ!
言われたとおりにやれば失敗したり負けたりといったことはなく、とりあえずゲームは進みます。

わかりやすいかもしれません。
しかし、本当に面白くないので、頭に入ってこないこともしばしばです。
というよりこれは「操作できない」のと同じことです

ソシャゲの場合は仕方ないかもしれません。
長期間プレイに耐えうるコンテンツ量確保のためシステムは複雑化しがちで、理解してもらえないよりはマシでしょう。
まったくのゲーム初心者もターゲットに見据える場合は、丁寧なチュートリアルも必要です。
チュートリアルがまったくなかったり不親切だったりすると、なにをしていいのかわからずに投げ出すこともあります。
「面白い」という噂を聞いてプレイし始めることも多いので、チュートリアルがつまらないからといって投げ出すこともないかもしれません。

ただ、個人制作のフリーゲームですと、開始数秒で見切りをつけることすらしばしばです。
序盤がつまらないというのは致命的です。

ではどうすべきか?

「チュートリアル感がなく、自然に誘導される形にする」
「説明なしでも直感的に理解できるUI・システムにする」

言うは易く行うは難し。
僕もこれまで何作かつくっていますが、未だに最初からうまくいくことはありません。

友人にテストプレイしてもらい、その動きを眺めて、
「あ、そういえば説明不足だった」
「この説明だとそう解釈してしまうのか」
などと反省を重ね、調整を重ねていきます。

もう一つ。
「チュートリアルを誘導してくれるキャラクター」がいると便利です。
これについては、『elona』というローグライク作品を例に出しましょう。

ゲームが始まると、あなたはロミアスという男に話しかけられ「まずはチュートリアルだ」「そこの肉を食ってみろ」といわれるままに食べます。

これは人肉だ…うぇぇ! あなたは気が狂った。

「不安定」「朦朧」「恐怖」など様々な状態異常に見舞われます。
そこでロミアスは一言「…本当に食べてしまったのか?」

このチュートリアルでプレイヤーは察するわけです。
「ノースティリス※はきびしい大地だ」と。
(※『elona』の舞台となる地名)

丁寧なチュートリアルであれば、「ものによっては食べると大変なことになるよ」と教えてくれるかもしれません。
ですが、百聞は一見に如かず
実際に食べてしまって、ひどい目に遭って、終いには「…本当に食べてしまったのか?」とまで言われる。

「痛くなければ覚えませぬ」の精神です。

「やってみよう」→やった→「よくできたね!」
この流れがチュートリアルの基本で、特に「褒める」というのはとても重要なことです。

一方、「いきなり痛い目を合わされる」というも強烈な印象を残します。
もちろん「ふざけんなクソゲー!」とぶん投げられるリスクもあるので、そのあたりはテストプレイヤーの反応などを見つつ、慎重に調整しましょう。

また、「チュートリアルを小分けにする」というのも有効です。
たとえば、「状態異常」があるとしましょう。

「このゲームには様々な状態異常があるよ」
「毒:毎ターンHP減少」
「麻痺:2~3ターン行動不能」
「睡眠:2~3ターン行動不能(ダメージで解除)」
「病気:全能力値が半減」
「戦闘終了後も継続したりしなかったりするのもあるよ」

いきなりこんなことを言われてもまず覚えられません。
ゲーム慣れしているプレイヤーなら「毒」「睡眠」「麻痺」くらいならだいたい察せるでしょう(でも「病気」はなんだろう?)。
とはいえ、具体的にどのくらい継続するのか、どのアイテムで回復できるのかなど、そういったルールはゲームによりさまざまです。

よって、どこかで説明する必要があります。
そのタイミングを最序盤のチュートリアルで一気に、ではなく、「はじめて状態異常にかかったとき」にするという手法があります。

「おや、毒になってしまったみたいだね」
「毒になるとじわじわHPを削られてしまうよ」
「早めに治しておきたいところだ。毒消しを持っていればいいんだが……」

状態異常にかかる前に聞かされても他人事ですが、かかったあとであればそれがどういうものなのか気になるはずです。
あるいは、そこまでテクニカルにしなくとも単純に説明のタイミングを遅らせるだけでも有効です。

さて、「チュートリアルのあり方」みたいなのはまだまだ自分でも研究不足ではありますが、要点だけまとめると
「基本的につまらないくせに、そこでつまらないとプレイを投げ出される」
という、制作側としては最高難度のポイントになるということです。

よって、制作リソースの多くをチュートリアルに注いでください。
これだけは確実にいえます。


・序盤のレベルデザイン
「序盤は易しく」「難易度低めでまずはルールを覚えてもらおう」
多くのゲームはそうなっていますし、よくいわれていることでもあります。
ですが、必ずしもそうではないと考えます。

重要なのは、「なにが面白いのか」を伝えるということです。

アクションゲームは門外漢にはなりますが、ジャンプして敵を踏みつけたり、武器を振り回して敵を倒したり、その動きだけでまず楽しいと思います。
なので、序盤の難易度は易しめで、まずは動きの楽しさを体験してもらう。
そういうレベルデザインは正しいと思います

一方、
「戦術を工夫して敵を倒すのが楽しい」
「あれこれリソース管理を考えるのが楽しい」
「あれが欲しいこれが欲しいとダンジョンを探索するのが楽しい」
というコンセプトのRPGであれば、序盤からその体験をさせるべきです。

それはプレイヤーにとってやや苦しい体験かもしれません。
でも楽しいなら、それがそのゲームの楽しさなら、真っ先にぶつけてあげましょう。

そして、序盤はプレイヤーの状態が予測しやすいため、その体験を設計しやすくなっています。

たとえば、ゲーム開始直後のプレイヤーは「武器」を持ちません(そういう設定であれば)。
となれば、プレイヤーはまず「武器」を求めて旅立つでしょう。
「武器」を手に入れるまでに敵モンスターなど様々な障害が待ち受けます。
それでもプレイヤーは「武器」を探すしかありません。
そして、ついに「武器」を手に入れたとき、あんなに苦戦した敵モンスターが一撃で倒せるようになっているではありませんか!

序盤であればこそ、こういった体験は比較的容易に設計できます。
中盤~終盤であると、せっかく強い武器を宝箱に入れていたのにスルーされたり、レベルを上げすぎて強敵のはずのボスがあっさり倒されたり、プレイヤーの動きは予測や制御が難しいものになります。
プレイヤーによって体験が異なるため、制作者の考える「最高に面白いゲーム体験」を必ずしも提供できない可能性があります。

なので、序盤でそれをやってしまおう。
苦しい思いをしながらも敵を倒し、強くなっていくのが楽しいゲームなら、序盤から苦しませてしまおう。
「ちょっと考えれば進めるけど、ちょっと考えないと二進も三進もいかない」
そのくらいのバランスがちょうどよいのではないかと考えます。

『魔王物語物語』というRPG作品には、この点で非常に大きな影響を受けています。
このゲームでは、まずエンカウントのシステムが独特です。
シンボルエンカウントですが、敵シンボルの位置をうまく誘導しないと一度に大勢と戦うことになったり、囲まれたりします。
そうなってしまうとたかがネズミ相手にボコボコにされ、あっという間に殺されてしまいます。

プレイヤーは、慎重にネズミを避けながら進むか、あるいは一体ずつ処理していくか、という方法を学ばざるを得ません。
この体験の面白さは本作の根幹にある部分です。

この作品からも僕は「痛くなければ覚えませぬ」の精神を教わりました。

もちろん、実も蓋もない言い方ですがゲーム次第です。
いきなり難しいといきなり面白いかもしれませんが、いきなり投げ出されるリスクも高くなります。さじ加減が難しいですね。

重要なのは考えて作るということなので、一つの考え方としての提案です。

さて、あとは次回に続きます。
次回はシナリオ導入とかの話をします。


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