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地ビール時代から生き残った長野の雄。志賀高原IPA。 1000BeerChallenge(6/1000)

■「クラフトビール」ってなんなんでしょう

ここ数年「クラフトビール」という名称が定着し、たくさんの種類のクラフトビールが溢れ、まさにクラフトビールブームと言える状況です。
クラフトビールというのは、もともとは大量生産されるナショナルブランドのビール銘柄に対して、作り手のこだわりを強く反映したビール、というような意味合いだったようです。その名称が2015年ころから主にアメリカを中心に広がりだし、日本にも伝わりました。

そして、
・昔のようにビールをがばがば飲む人が減っている、という環境
・どうせ量は売れないんだから単価を高くしたい、という売る側のニーズ
・少しで良いから満足度の高いものを飲みたい、という買う側のニーズ
の3つが偶然合致したところが、差別化を図った特別なビールだったのではないかと考えています。勝手な仮説ですけど。


■むかしむかし地ビールというものがありました

でも実はクラフトビールの前身と呼んで良いのではないかと思われる存在がありました。
それが「地ビール」です。
1994年以前は、ビールは年間2000キロリットル作らなければ、製造免許はもらえませんでした。350ミリのボトルで570万本以上です。大手酒造メーカー以外には無理な量です。
それが、一気に60キロリットルに引き下げられました。これによって、小さな会社でもビール製造販売ができるようになったのです。その結果、全国いろいろな場所でビールが作られるようになりました。もともと日本酒や焼酎をつくっているメーカーは全国に無数にあったので、オリジナルのビールをつくるのも比較的簡単です。また、各地方で独自にビールメーカーを立ち上げる事例も数多く生まれました。
これら、それぞれの土地土地でつくられたビールが、当時「地ビール」と呼ばれました。
しかし、わりと安易に作られたものが多かったため、地方の名産品とまでなる例はほとんどなく、別に美味しくもないお土産品にしかなりませんでした。
そして2005年頃には早くも淘汰期に突入。現在でも一部の有名観光地などではお土産品クオリティで生き残っているものもありますが、いわゆる「地ビール」はほとんどなくなりました。質も十分な「クラフトビール」でなければダメな時代になったのです。


■[beer006]志賀高原IPA

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志賀高原ビールは、そんなお土産物クオリティの地ビールがバタバタ倒れ始めた2004年に生まれました。逆風が吹き荒れる中だったでしょう。まさにビール界のロストジェネレーション。
しかも地の利もさほどない。一応はスキー場を中心とした観光地ではありますが、バブル後スキー客は減るばかり。お土産物としてだけ売っていては成立しないはず。
でもきちんと生き残った。さすが1805年創業の酒蔵が気合入れてつくったビール。
生き残った理由ははっきりとはわかりませんが、ともあれ後の「クラフトビール」につながる品質の高い「地ビール」の走りだったことは確かなのでしょう。


■ビール情報

名称:志賀高原 IPA
メーカー:株式会社玉村本店
産地:長野県 志賀高原
タイプ:IPA
アルコール度数:6%
価格:450円くらい
入手場所:信濃屋

原料になるホップ、麦も自家栽培とのこと。


■味わいメモ

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外観:濃い琥珀色。若干赤みかかっている感じ。
アロマ:フルーティーさと華やかさ。トースト香もあるような。
味わい:ホップの苦味は十分。熟成香と酵母っぽさも出てくる。
ボディ:フルボディ

どっしりくる迫力。IPAらしい苦味もどっしり。
ボディには華やかさと熟成香、酵母っぽさもある。そして後味までしっかり苦味が残る。
力強く攻めてくる。こちらもゆっくり味わう。ビール苦いからきらーい、とか言う人には絶対に勧められないけれど、それで良いじゃないか、というやつ。

好き度:★★★★


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ビール代になります。