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夫の死【7日目】

夫が寮に置いてある車とバイクは手放す。
乗ってあげられたら良いのだが、
軽四を乗っている私に、夫のSUVはハードルが
高い。


運転席に座ってみたがムリムリムリムリ。
幅が広い、車高が高い。乗って帰宅した頃には
ぶつけて原型留めてないだろう。

家族で話して処分は決めているが、売買で必要な
書類やスペアキーが寮で見当たらない。

じゃあ、自宅かな。
警察から返却された鍵は6個。
この中にあるのか?

夫の自宅に向かう。
子供が自宅に招かれ連れて行った事があるので
場所は知っていた。

持ってる鍵を順番に挿してみる。
カチャッ。開いたー!

「おじゃまします」
住人の居ない部屋。躊躇しつつ入る。
趣味の良い家電。こんな風に住んでいたんだね 。


必要なものは見つかった。
それを持ち1人で寮へ走る。
車は買ったお店に連絡し引き取ってもらう事と
なった。

中型バイクは今年買ったばかりで
ピカピカなのだが 。。。ごめんね、売るよ。

寮の管理男性が一緒に見てくれた。
手放すのを惜しがるから迷ってしまう。
夫の宝物を手放すのは気が引けるが、
私が乗れる訳でもない。
トラックで運び地元のガレージに飾っておくか?
税金を払いつつ?


そうだ!この方にあげよう。
お世話になった方でバイク好き。
形見に貰ってもらうと主人も喜ぶのでは?


姉の許可も出たので本人に伝える。
が高価なものだからとお断りされた。


購入したバイク屋に連絡。
その日のうちに引き取ってもらった。

管理人「こんなに急いで処分しなくても 。。。」
叱られた気がした。そんなつもりは無いんだろうが私の罪悪感がそう思わせた。


「お家を建てられたとか」 
彼がおもむろに言う。
はぁ!? 「そう聞いてますけど」
別居中だから、そういう話にしてるの?
先に言っておいてよ、と動揺。無理な話だが。

他にどんな話しになっているやら 。。。
うかつに返事ができない。
ニッコリ笑顔で話しを流した。ドキドキ

月に1度の史談会。その仲間3人が電話をくれた
今年の春からの参加で、お会いした回数は6度
くらいか。


信頼関係は、さほど築いていない。
私の親よりも年上。
なのにパートナーの死という、かける言葉も
難しいだろう状況に掛けてきてくれた事が嬉しい。
孤独だったので尚更 胸を打たれ、このご縁を
大切にしていこうと思った。


寮を片づけ中
夫のバイク仲間が来られた。


今週末に一緒にツーリングに行く予定だった。
夫に勧められ、バイク用インカムを取付けたばかりでペアリング相手も夫だけ。


週末のツーリングは夫を感じながら走りたい。
そう言われ、購入したがまだ取り付けて無かった
ナンバープレートホルダーを持ち帰った。
共に走ってくれてありがとう。

夜、管理人のお言葉に甘え、残りの処分はお任せし持ち帰れる分だけ車に運び寮を後にした。

ここ最近、毎日「1122」ナンバーの車を見る。
話題にした人の離婚日も1122。
昨日の知人の車も1122。
エンジェルナンバーを調べると「原点回帰」だった。

俳優 山田孝之のチームも「原点回帰」
自給自足を目指すチーム。

何のメッセージだろう?私の原点?
DVを受ける母や弱者を助けたいと思いながら
生きてきた。これかな?
自給自足の道に進めかな?

夫が亡くなった今、何のために生きればいいんだ?一瞬そう思った。

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