長男とスワンボートを協力して漕ぐ

春になってきました。

桜が咲きそうな暖かい春の日があるので、長男(もうすぐ4歳)と大きな公園まで遊びにいきました。我が家には、電動自転車があり、後ろに長男を乗せて走ります。本日は、そこそこの遠出となり、それなりに坂道もありますが、電動モーターによるアシストのおかげで、たいした苦労なく公園までたどり着くことができました。

公園には大きな池があり、外周が約1kmぐらいあります。ボートが30台ほど整備してあり、うち10隻ほどが”スワンボート”です。それは、白鳥をあしらったもので、高さは日本の標準的な女性ぐらい。別途、通常のボートもあったのですが、長男が、「スワンボートが良い」と言うので、スワンボートに乗ることにしました。

その日はうららかな春の日でした。お昼頃についたのですが、桜もそろそろ咲きそうで、人が多く、スワンボートに乗りたい人で行列ができていました。行列には、パパママ+子供二人という構成が多く、定員は4名と予想されます。

行列では、イライラしながら待つ家庭とそうでない家庭がありました。「子供が騒ぐ家庭は、親の言葉遣いが乱暴である」という相関を見つける等しながら、30分ほど待つとスワンボートに乗れました(乗船時間は30分制限)。

長男と私で乗り込みます。乗り込んで初めて分かったのですが、スワンボートは、家族4人乗り。横幅は、大人二人、子供二人が横一列にのれるほどの大きさです。

動力は、自転車と同じペダル。ちょうど、教習所の自動車のようで、教習者のアクセルブレーキの代わりに自転車のペダルがついている形。3−4名の家族向けに出来ていて、運転席+助手席の二つに自転車と同じペダルがついています。標準的には、「パパとママが両端に座ってペダルを漕ぎ、真ん中に座る子供がハンドルを操作するのをパパが補正する」仕様と思います。

長男と私が両端に乗り込み、私がペダルを漕いでボートが走り出します。息子は中央ハンドルを持ちたいので、中央によってきて、ボートは心持ち私の方に傾きます(傾きは微々たるものです)。

最初の漕ぎ出しは順調で、長男は、池にいる魚や亀等を観察しながら、楽しんでいるようです。

やがて、ボートは乗り場から一番遠い地点にさしかかります。そして、奥までいくと、どうやら橋の下をくぐり抜けられないことが分かり、小回りの利かないスワンボートを反転させるのに苦労をしました。さて、これからは帰路と言うところにさしかかると、そこで、私は気づきます。

逆風です。

今まで比較的問題なくボートを漕いで来れたのは、風が順風で押してくれていたからでした。(順風ではあまり風は感じないものですが)逆風になり気づいたのは、スワンボートは風に弱いということです(正午を超えると風が強くなることが多いことを思い出しましたが、時既に遅しです)。

二人動力のボートに長男と二人で乗っているので、我々のボートは動力が貧弱です。しかも、私が自転車を漕いではるばる来たので、ボートでペダルを漕ぐのはしんどく感じました。

ちょっとパパは疲れてきました。ペダルを漕ぐのをやめると、どんどんと横を向いて風に押し戻されます(スワンボートは、ミニバンのように背が高いので、風の影響を受けやすいのです)。

足が疲れてきたので、手で漕ぐことにしました。

長男:「パパは、どうして手を使っているの?」
パパ:「パパは、ちょっと疲れちゃったんだよ。長男も漕いでくれない?」
長男:「うん」

息子は、パパをまねして、足でペダルをこごうとしますが、届きません。そこで、椅子の下に降りてみると、少し漕ぐことができました。パパが疲れて手でペダルを漕いでいると、息子も真似して、手で漕いでくれます。

そんなこんなで、逆風にも負けず、ボート乗り場の近くまでやってきました。パパは普段の運動不足を反省し、疲れました。ボート乗り場の近くでまだ時間があまったので、遊んでいましたが、相変わらず、風にボートは流されます。

という、「無事にボート乗り場まで時間内に戻れて良かった」というとりとめのない話でしたが、私は、長男が自発的に自分を助けてくれて良かったなと思いました。"One boat sprit"という言葉を聞いたことがありますが、「同じ船に乗ると、共同の目的に向って努力をするものだ」と思うと共に、長男が自発的に私に協力してくれたのが嬉しくありました。

私の父は高圧的な人ではなかったので、私も勝手に色々やっていたような気がします。父親が「おまえ漕げ!」と言うより、同じボートに乗せて、長男と状況を共有し、自発的な行動を待った方が、結果が良いような気がしました。

同じボートに乗る父と子という運命共同体に対して、自発的に貢献する長男を見て、「良く成長してくれたな」と満足に浸る春の日の午後でした(これも、アドラー心理学信奉のおかげだと私は思っています)。


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