見出し画像

一人ひとりのお客さんが撮った写真の中で、お店は輝き、生き続けるんだ

カフェに限らず飲食店を訪れたときに、注文した食べ物や飲み物の写真をスマートフォンで撮影するのは、一昔前と比べるとずいぶんポピュラーな行為になりました。

スマートフォンの普及や、スマホカメラの性能アップ、それにInstagramをはじめとする「写真を披露する場所」が広まってきたことなど理由として考えられますが、単純に「飲食店での撮影」という文化自体が浸透してきたのが一番だと思います。

しかし、そんなムーブメントの中においても「撮影しない」という人も少なくありませんし、そういう方々はきっと、必死こいて写真を撮影する我々のような人のことを見て「何が楽しいのやら」と呆れていることでしょう。

いつもすいません。

店の写真を、店の人以外の視点で残すということ

写真を撮りたい人がいれば、そうでない人もいて、どちらも尊重すべき(裏を返すと、互いに干渉しあうべきでもない)だと思うんですが、最近「お店の写真を、スタッフ以外のお客さんの視点で残しておく」ということが、実はとても素敵なことなのではないか?と思うのです。

また東京の「コーヒーハウスニシヤ」さんのお話なんですが、現在臨時休業中ということもあり、「お客さんがうちで撮った、お店の写真を送ってください」という企画をInstagram上で行っていました。

そして、送られてきた写真を見た感想が、こちらの投稿です。

要点をまとめると(1つ前の投稿の内容も含む)

・自分は訪れたお店で飲食物の写真撮影をしないし、撮ってどうするんだろうと思っていた。作ったドリンクやフードは作品なので、「早く召し上がってください」と促したこともある
・他店では「撮影禁止」を掲げるお店もあり、どうするべきか悩んでいた
・しかし、送ってもらったお客さんの写真はそれぞれの目線で撮影されていて、しかもそこに多くの思い出が文章として添えられていた
・それを見て、「注文の背景には想いがあって、撮影はそれを記録する行為なのだ」「写真撮影お断りをしなくてよかった」と心から思った

といった内容です(とても心に響くお話なので、ぜひ全文読んでください)

僕はこれを見てまた感動したわけですが、ものすごく大切な示唆が含まれていると感じました。

(ここから先は、僕個人の見解です)

カフェというのはやはり、お客さんが「幸せになるために来る」場所だと思っています。一番大事な"目的"。

で、その中でも運ばれてきた商品の写真を撮っている瞬間というのは、「その空間に身をおいて、雰囲気を堪能することでまず癒されて、そしてそのお店の美味しいものを飲食するという、幸せが最大化する直前」なのです。

だから、その幸せの絶頂の直前に撮られた写真に写っているもの、それはお客さんの目から見た、その店の最高に素敵な表情ではないかと思うのです。

画像1

そしてもっと大事なのは、その"表情"というのは、一人ひとりのお客さんによって違うということ。

お客さんそれぞれのフィルターを通して写された写真に、店主が頑張って作ったそのお店の様々な表情が収められます。

これは時間が経って、枚数が積み重なるほどに、お店にとって本当に尊い宝物になるのではないかなと思います。

いくら高いお金を払ってプロのカメラマンを読んでも出すことができない、一人ひとりのお客さんとの間にだけ生まれる、プライスレスな価値です。

今、A Day in the Cafeのリニューアルのための工事をしていて、開設当初の投稿までさかのぼって見直しているのですが、そこにはすでに残念ながら閉店してしまったお店の写真もあります。

「人は2度死ぬ」と言ったりしますが、お店も同じだと思います。

様々な事情で営業を終えてしまったとしても、人々の記憶から消えなければ、そのお店はまだ誰かの心の中で大事な役割を提供し続けている。

「あの店、素敵だったね」
「あそこのあれ、美味しかったよね」
「あの店のあの席で過ごす時間が、当時は何気ない日常だったけど、幸せだったなぁ」

そんな素敵な思い出として、思い出し、話す人たちの心を温めるならば、それも「人を幸せにするためのカフェ」という役割を果たし続けていることになると思います。たとえ、閉店してしまっていたとしても。

そして、その記憶を思い出すフックになるのが、他でもない写真なのです。

写真は、記憶の扉を開くためのドアノブ。

そのドアの向こうにたくさんの素敵な思い出を作れるお店が、お客さんを幸せにするという最大の"目的"を果たすことができている、良いお店ということも出来るかもしれません。

くれぐれもお店のルールを守って…ですが、僕たちお客さんの1枚1枚の写真がこのような形で役立つこともあるので、撮影しておくのも悪くないんじゃないかなぁと思います。

「せっかくなら素敵に撮影したい!」と思われる方は、こちらの動画が参考になるかもしれません(この流れで最後に宣伝…申し訳ねえ……)

☆Links

・Instagram:@aditc__

・Twitter:@horicafe12

「札幌のカフェとあなたをつなぐメディア」A Day ithe Cafe

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?