『人形姫』

山本幸久さんの作品。

180年続く老舗人形店八代目の恭平。彼は出身高校のボート部のコーチをしている。


ボートは息を合わせないと進みたい方向に進まないということで、人形づくりでも頭・髪・服・手足などさまざまな工程で息を合わせないといけないところが似ていると感じた。

クリシアが百人一首をすべて覚えているのがすごいと思った。私もクリシアのようにすらすらと出てくるわけではないので、勉強しようと思った。

伝統工芸の職人の高齢化問題というのは、なかなか解決が難しいと感じた。

恭平と寿々花は周りから色々と言われて、大変そうだと思った。


印象に残っている文

座面に座ったら、ワイヤーに繋がったバーを握り、すねが垂直になるまで膝を曲げ、そこから足を伸ばし、上体をうしろに運んで、腕を胸まで引っ張る。このとき背中の肩甲骨が中心に寄った状態でなければならない。そしてゆっくり前に戻る。これで一回だ。

ボート部の大会では、漕艇場のコース横に伴走路と呼ばれる整備された道がある。そこをレースに参加する各チームの監督やコーチが自転車に乗って、ボートと並走し指示を飛ばす。競漕距離はオリンピックや世界選手権、全日本選手権などは二〇〇〇メートルだが、高校生はその半分、一〇〇〇メートルだ。

「雛人形の中でいちばんお金がかかるのが衣装です。それだけ他の職人よりも責任が重いと言ってもいい」

「ウチのひとは着付師として腕がいいのはたしか。でも職人は自惚れが強くて独りよがりになりがちで、自己満足に浸ってしまい、手癖がついてマンネリ化しちゃうこともあるの。だから駄目なところは駄目、ここはこうするべきだって言ってあげないと、せっかくの腕も意味がなくなってしまうのよ」

「だいたい人形に魂を注ぎこむのは頭師だとか、着付けの過程で人形に魂が宿るだとか、よくもまあ、恥ずかしげもなく言えたもんですね。自惚れもいいところだ。我々職人は人形のカタチをつくるだけでしかありません。そこに持ち主が愛情を注いでくれてこそ、人形は魂を持つことができるんです。より深く愛してもらえるよう、人形をつくってこそ職人だとは思わないのですか」

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