『かか』

宇佐見りんさんの作品。

母と娘の関係が生々しく描かれていた。

タイムラインに「母が亡くなりました」と書き込むシーンが印象的だ。

SNSが何度も登場するのは、今どきだと感じた。


印象に残っている文

はっきょうは「発狂」と書きますがあれは突然はじまるんではありません、壊れた船底に海水が広がり初めてごくゆっくりと沈んでいくように、壊れた心の底から昼寝から目覚めたときの薄ぐらい夕暮れ時に感じるたぐいの不安と恐怖とが忍び込んでくる、そいがはっきょうです。

フックにリュックサックをおしつけて、家を出てからずっと着たまんまだっあダウンコートとパーカーを脱ぐ、なんだか肉や白い脂身を切りひらくような心地がします。

現代の怪談を構成する要素のひとつに、「圏外」があります。

沈黙はおりるのではなく、背中から追い付いてくるんです。

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