『たゆたえども沈まず』 3 佐平荘具 2022年10月24日 21:37 原田マハさんの作品。フィンセントとテオのゴッホ兄弟。日本人画商の林忠政とその助手である加納重吉。この4人が物語を通して、関わり合っていく。テオのフィンセントに対する献身的な行動が、心に深く刺さった。フィンセントが息絶える前に、テオと会うことができて本当に良かった。フィンセントが生きているうちに作品が評価されていたら、彼はどのような作品を残していたのだろうか。読み終わったあと、そう思わずにいられなかった。冒頭をもう一度読んで、会話の意味を理解した。印象に残っている文「……イギリスには、パリがないからです」暗い海から突然引き上げられ、今度は光り輝く遊園地の真ん中へ放り込まれた、という感じだった。冨嶽三十六景は追加で10増えて、最終的には四十六景になった。一心不乱に、描いていた。殴りつけるように、泳ぐように、踊るようにーー絵筆をカンヴァスにぶつけていた。誰が誰を紹介するのか、どの入り口から入っていくかによって、新規のゲストの立ち位置が決定的なものになる。それがパリ社交界のルールだった。どんな画家も、ここに来れば、まずはあっけにとられる。そして、次第に慣れてくると、夢をみ始める。いつか自分の作品がこの美術館の壁を飾る日がくる夢を。それがどんなに難しいことか、誰にだってわかる。けれど、その日を夢みない画家は、画家ではない。 ダウンロード copy #原田マハ #たゆたえども沈まず 3 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート