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長崎散歩 異国への玄関は「坂」の街

長崎を初めて散歩した時、「あぁ、この街は観光するにはちょうど良い街だなぁ」というのが最初の感想だった。
コンパクトにまとまった街は、1日で観光するのにちょうど良い規模なのだ。

長崎は坂の街

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プラプラと歩いていて、ふと前を向いた時に衝撃を受けた景色。
写真でみると何の変哲もない風景の一つかもしれないが、向く先は登り坂
さらに遠くをみると、まるで壁の如く山が迫り、その頂までも建物が連なる
しばらく滞在した長崎の地、どんな街?と聞かれたら、私は「こんな街」と、この写真を差し出したいと思った。
街は平地だけでなく、山の斜面にも所狭しと続いているのだ。

坂と言えばオランダ坂

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長崎+坂と聞いて、私が思いつくのはやっぱり「オランダ坂」
どんな観光ガイドにも乗っているメジャーな坂だろう。

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実際、オランダ坂が長崎で特別勾配が急かというと、恐らく上位にはなるだろうが一番では無いと思う。それでもこの傾斜である。

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公道では見たこともない勾配標識。

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こんな勾配の先にも平気で民家は建っている。
ここに住めば嫌でも健脚になりそうだ。
とは言え、坂の街長崎。観光スポットに行くには大体坂を登ることになるのだが・・・


異文化から始まる長崎の歴史

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長崎という地名を、人生の中でよく目にするのは歴史の教科書だろうか。
私自身いつこの地名を認識したかと思ってみるとやはりそうだと思う。
江戸時代の長崎にはご存知の通り、「出島」という人工島が存在した。
江戸町から橋1本で繋がれた小さな人工島には、当時国内唯一の貿易地として世界とネットワークが結ばれていた。
その期間は200年以上に及び、海外の文化の輸入から伊万里焼を始めとする日本の文化もここから世界へ運ばれていった。

今は埋め立てられてしまい「島」という印象は無いが、注意深く観察すると「島」時代の痕跡を国道に見ることができる。


路面電車で巡る濃密な時間旅行

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長崎は全国でも残り少なくなった路面電車の走る街だ。
しかも、この路線が痒いところに手が届く路線網が展開されている。
坂の多い街であるが故、勾配には強く無いものの、こと「観光」をするにあたっては非常に心強い交通機関となる。

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そして、レトロな車内と吊り掛け駆動の唸り音が、市民にとっては生活の足である路面電車を、観光客には旅情として強く記憶に刻まれることになる。
500円の一日乗車券を利用すれば、平地を歩く労力を節約でき、坂を登る力に集中することができる。
江戸時代の歴史から、昭和の遺産まで、幅広い時間旅行を助けてくれるのだ。


坂本龍馬が見た景色

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長崎には坂本龍馬も所属した「亀山社中」跡がある。
これもまた坂の上にある。路面電車の「新大工町」から息を切らしながら延々と坂を登っていく。

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最初に目にするのはこの「亀山社中資料展示場」だ。
ここは有志が行っている展示場らしく、中に入るとアットホームに迎えてくれる。

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古地図や昔の長崎の風景写真も展示されており、気軽に長崎の歴史を知ることができる。亀山社中跡に行く際は併せて寄ると理解が深まることだろう。

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向かう道はいよいよ狭くなっていく。
こうなってもまだまだ民家はあるもので、一体どうやって資機材を運んだのかと不思議になってくる。
この道を抜けると、龍馬のブーツ像に出会うことになる。

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そして、やっとの思いで目的地に到着だ。
ここを訪れたのは初夏だったので良かったが、真夏に行くとなると服を絞れるほどの汗になってしまいそうだ。


教会の見下ろす街

ところは変わってここは平和記念公園からの眺めである。

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長崎は教会やキリスト教にまつわる建物が多い。異国の文化を取り入れた街柄もあるのだろうが、山を後ろに抱えて穏やかに街を見下ろす姿は本当に美しい。

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青空のもと、浦上教会のシンメトリな赤煉瓦の建物が本当に美しかった。
残念ながら内部の撮影は禁止だが、子供頃から映画などで見たような、外から差し込む太陽がステンドグラスを通って色とりどりの光の筋となって差し込むあの「教会」が広がっていた。


港町でもある長崎の顔

坂ばかりをピックアップしてきたが、長崎は港街でもある。
海から少しの埋立地を経て急峻に立ち上がる山の地形は、日本独特の地形とも言える。

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所々に臨海鉄道の橋梁跡も見ることができる。
本当に長崎という街の歴史の広さに驚かされる。
江戸・明治の遺構もあれば、近代の遺構もあるのだから。

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港町・長崎を感じるには湾内の遊覧クルーズを利用するのが手っ取り早い。
アナウンスを聞きながら景色と答え合わせができる。
出港してすぐに目に入るのは「出島ワーフ」
ベイサイドエリアのオシャレな商業施設は、海を眺めながら食事のできる空間が広がる。

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三菱の造船所を眺めながら徐々に沖合に進む

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個人的なトピックスは、女神大橋をくぐれることだろうか。
徒歩や車で近くに行くことができるが、「くぐる」という行為は船でしかなし得ないのだから。

ビーナスウィングとも呼ばれる美しい斜張橋は、国内で6番目の長さを誇る。
両方の主塔が海中ではないので、のびやかな印象はないが、白く凛々しい姿はビーナスと呼ぶにふさわしいもので、とくに夜間はライトアップされて夜景に華を添える存在となる。

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海からだと、また違った長崎を見ることが出来る。
時間が許すなら、体験して欲しい。

夜景スポット稲佐山に沈む夕陽を眺めて

長崎は夜景の街でもあるだろう。
また時を改めて載せたいと思う。
今回は夜の帳を下ろす前、街から湾を挟んで反対側の「稲佐山」に太陽が沈んでゆく夕陽で締め括りたいと思う。

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日が傾き始めたころ、海が照らされてキラキラと輝く

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ちょうど稲佐山に太陽が沈む
ダイヤモンド富士ならぬ、ダイヤモンド稲佐とでも言おうか

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完全に太陽が稲佐山に隠れた、残照が山のシルエットを優しく包む
夕陽はiPhoneでの撮影だったので、少し色味が変だが・・・

美しい夕陽を、何の心配もなく、好きな人と穏やかな気持ちで眺めることの出来る日が、早く戻ってくることを心から望みたい。

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