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イブサンローランとLove

サンローラン回顧展の続き。
後半にサンローランが親しい人に毎年贈ったというLOVEをモチーフにしたカードの原画が展示されていた。展示されていたのは70年代から2002年の中から数点。

このLOVEをテーマにしたカードと私の中で直結した香水がin love again。
サンローランがディオールのもとでクリエイティブをスタートして40周年という記念の年、1998年にリリースされた。
サンローランのクリエイティブの根幹はLOVEだったのかもしれない。
amourでもなく、大きくて快活な響きのLOVEという言葉は、意外にもサンローランにマッチしているように思える。

私ごとだけれど、この香りに出会った時、恋人にするならこの香りが似合う人でなければならない、と思った。男性用フレグランスではなかったけれど、ほんのりとしたスイートさ、涼やかさを伴うフローラル、背後に控えめに走るムスクや白檀。
パッケージはサンローランのコスチュームジュエリーをかたどったようなゴージャスでビビッドなデザイン。ボトル全体がハート型に成型されてキャップにもマットで明るいハート。
一方で香りはフルーティ、スパイシー、フローラル、アニマリックとともすれば胸焼けしそうな調合をこの上なく品のあるものにまとめている。
強いアピールがないのに、どこから見ても良質。
それはなんだか、当たり前のようにもたらされる繊細な優しさや、あまりに自然な他への尊重や、触れてきた情感豊かな世界がもたらすムードを持った人のための香りのようだった。

久しぶりにこの香りに触れてみた。印象は変わらない。
調香師がジャンクロードエレナだから、この結果もうなづける。
繊細で自然への敬意を失わないアーティストとサンローランのLOVEの最高のコラボだ。

調香はジャンクロードエレナ。現代の巨匠は、「何をやっても香りが軽くなる」と
言われるほど、ライトで繊細な創作に定評がある。
このテーマ、この時代背景で、創作された香りが
今でも品格に溢れる逸品であることは巨匠のなせる技。

サンローラン展、note一つ目はこちら↑

#note100日
#コルクラボ
#adams

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