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ルガリオンのコロン 8月4日~365日の香水


オーデコロンの多彩な世界
オーデコロンという世界に顕著なのは、人が微妙な香りの違いにこだわり、より自分らしいものを選んでいこうとする心理だと思う。

何より柑橘系のオーデコロンは、ケルンの水のジャンマリファリナ以来、メインに使う香料もおおよその香料濃度も変わっておらず、大きなテーマは変わらない。
それでも、その他の香料の組み合わせによって、実に多彩な変化を生み続けている。

スターウォーズ
例えるなら、映画のスターウォーズのようなものかもしれない。
圧倒的なテーマと、どのシリーズにも固有の面白さがある。
けれど、やはりスターウォーズであることに変わりはない。
柑橘系のオーデコロンというのは、ブランドも調香師もみんなそれぞれ違いつつ、ジャンマリファリナに始まる歴史の線上で、個性を発揮し続けている稀有な存在感を持つ香りなのかもしれない。

ルガリオン
1930年にパリに創業したこのハウスは、1970年代頃からに低迷し現在はアメリカ資本で創業時の風格を意識した展開をしている。
以前にも扱ったけれど、ブルカントでたまたま見つけた往年のルガリオンの代表作がラインナップされたボックスを手に入れることができて、これはとても大切なコレクションになっている。
金のボックスの美しさ、箱を開けた内側に描かれるパリの空とエッフェル塔のシンプルな絵の美しさ、まさに総合芸術という感じのつくり。

cologne/le galleon/1950-〜60
シトラスタイプのオーデコロン風でありながら、フゼア系のトップ、ミドルからはクマリン、ヘリオトロープなどが香る。まったりして、懐古的なムードがただよう香り。
おそらくは紳士の身だしなみを意識したメンズだったのではないだろうか。
むしろパコラバンヌプールオム登場前の伝統的なフゼアに近い。
チェックしてかなり貴重なコレクションであると発見した。
現在、出先のためちゃんと資料を確認することができないけれど、おそらくはポールバシェの調香と思われる。

シンプルでいて手がこんでいる、明白なようでいて裏切りがある。
こういう香水が登場できていた時代の豊かさを感じる。
このオーデコロンは現在リニューアルされたものが流通している。

香り、思い、呼吸。
8月4日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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