Voyager

思いついた物語を書いていきます。ほとんどがフィクションです。

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最近の記事

仮面舞踏会

自分でも驚いている。顔が引きつっていないかをひたすら自分で確認をする。予定だと楽しくご飯を食べる予定はずだったのに。 というのも、この子と面と向かって顔をあわせたのはこれが初めてだった。なにせ、このご時世である。マスクをつけなければいけないのは暗黙のルールだ。だが、他人の顔の鼻から下は想像の域になってしまう。 人は、不思議と見えないものを過剰に期待してしまう生き物だと思う。顔出しをしていない配信者などで顔を出した途端思っていた反応を貰えていないのはよくあることだ。そういう

    • 事実

       カラスの鳴き声が窓の向こうから響き渡る。大きなビルの建物で音が二重に聞こえる。住み初めの頃は七階のベランダから覗く景色が下を見ると小さく平行に見ると広く見えて優越感に浸れていた。しかし、慣れるとは怖いものだ。今では七階に行く時間でさえも無駄に感じるようになった。重い袋を両手に持ちつつ七階までの距離は途中で倒れそうになることもあるものだ。いや、そこまではないか。 そもそもこんなにも過ぎゆく日常を眺めるようになったのはいつからだろう。私が思うに結婚してからだと思っている。家事

      • タイムトラベル

        今まさに岡本太郎さんの 「自分の中に毒をもて」 を読んでいるのだが、本ってやっぱいい。このかたは僕の生まれる前に亡くなっている。はっきりいって 「芸術は爆発だ。」 の名言しか知らないような人生未熟者。だけど、岡本太郎の熱い気持ちはひしひし本で伝わってくる。彼の今まで生きてきた人生やモットーなどたくさんの事を書いてくれている。それは、もはや霊界との会話のように思ってしまう。彼は僕の事を知らないけれどこうして繋がっている。彼の芸術も今も形や名言として受け継がれている。この

        • 恋する寄生虫

          三秋 縋さん作の『恋する寄生虫』 僕はつい先日この本を読み終えまして気持ちが落ち着いてきたのでレビューを書いてみようかなと思います。 題名から手に取るのが躊躇されるようなものなのですが、それを大きく打ち破るような表紙に目をやられ僕は購入を決めました。 あらすじ  主人公高坂は潔癖症の持ち主だ。しかし、ちょっとやそっとの潔癖症ではない。周りの人間を汚物として捉えてしまい家に帰宅するたびに消毒スプレーを部屋いっぱいにかけて、手は一日に何十回も洗う。この悩みのせいで社会に馴染め

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        • ふくちく
          1本

        記事

          生き続ける言葉たち

          近年、誹謗中傷に関してよく耳にしてきた。SNSで大きな問題となっており、ずっと議論が続けられている。僕が思う考えとして文面に残す言葉は思っている以上に力を持っていることを伝えたい。 例えば、僕が特定の人物のコメント欄暴言を吐いたとしよう。その言葉は僕にとって一過性のものでしかないが、僕が送った人物にはそのコメントはずっとコメント欄に残ることになる。意図せず開いてしまいたまたま僕の暴言を見てしまうだけで自動的に傷つく。その時、当の書いた本人はそんな書いたことも覚えておらず生活

          生き続ける言葉たち

          ジャルジャルにハマったやつ

          僕は昨年からあるお笑いコンビに爆ハマりした。そのお笑いコンビは ジャルジャルだ。  それまでの前提知識として彼らはめちゃイケに出ているどこか好きになれないやつというレッテルがあった。それが去年ご飯を食べている時YouTubeで見てそこからドはまりした。それからは、毎日投稿6時には決まって見るような生活が始まり毎日それを見れる幸福に感謝している。  そんなジャルジャルを最近見始めた僕が僕的ジャルジャルオススメ動画を書いてみようと思う。これは僕の感性にピッタリだったものが多い

          ジャルジャルにハマったやつ

          不倫するひとの気持ち

          今まで生きてきてまだこれっぽちしか地に足つけて生きてないけれど、ここ最近は不倫の話題に敏感になった気がする。世間にバレたら干される。絶対にしてはいけないという風潮は明らかに形付けられた。 しかし、僕は不倫をする人の気持ちが分かる気がする。それは、決して彼らを肯定しているわけでは無く恋に依存している彼らの状態のことだ。 不倫の経験でもしたのかと言われると一切していない。一冊の不倫についての小説を読んだことがきっかけだ。 東野圭吾さんの『夜明けの街で』だ。 既婚済みの主人公アラ

          不倫するひとの気持ち

          RAIN

          窓に飛び散った雨粒は綺麗な世界を見せた 家の椅子に腰をかけ、ただ外の景色を眺める。自転車置き場の屋根に雨が音を 立てている。 いつもの鳥の鳴き声が無くなり、雨が外の 世界を独占している。 いつもの道は姿を変えていた。 水溜まりにの向こうにある世界が波紋を 立てては形成し直す。 傘に当たる雨の音がぽつぽつ音を立てて 滴り落ちる。 静かな世界が広がっている。 雨が周りの音を吸収しているこの感じが好き ベランダから地に落ちていく雨が何故か好き ベランダから眺めていると外に傘をさし

          映っているはずなのに

          一年前、僕の視界の隅っこに君が映っていた。 意識が自然とそっちに映るんだ。 目の前の友達と喋っていることなんかより 君が何を喋っているのかが気になっていた。 あの日、行事で君と喋る機会があった。席替えだ。 君と席が横になる日が来るなんて、 よろしく~ 言葉に詰まるも喉からこみ上げさせた。 、よろしくッ! 文化祭の案を出すために横の席の人と 話し合いが行われた。 企画の案を君と出し合う。微かに鼻を刺激する君の服の匂い。 僕と喋る君。甘い匂いが漂う。 君と目が合う。2秒

          映っているはずなのに

          いつしかのあの日の僕

          それはずっと素敵なものだと思っていた。 高校野球は先輩がやるものだと思っていたが 気づいたら同級生が戦っていた。 今の気持ちははっきり言うと恐怖に近い。 それになるのに、資格も必要ないし、 ましてや正式な境目などないはずだ。 でも、周りは自然と変わっていく。 昔見ていた景色が小さく見えるんだ。 周りの人たちは僕よりも背が大きく毅然とした態度だった。 12歳まで学校のルールでとなりの駅がすごく遠く感じていた。 中学生になり、ルールは消えて隣の駅でよく遊ぶようになった。 あ

          いつしかのあの日の僕

          午前2時

          午前12時30分 スマホを手に掲げては下ろして また掲げては下ろす。 スマホの画面には2人分の外食が 映っている。 いきなり孤独感が目の前から飛び込んできた。 つい先週まで仲良く喋っていたあなた これは一体なんの投稿だ。 体を横に向け寝る姿勢に入る僕 先週の日曜日一緒にドライブにも行ったあなた 幸せな投稿とは真反対に尚早な出来事に 理解が追いついていない ひとまずトイレに向かって用を済ます。 午前1時 今週の水曜日 僕の話よりスマホに目がいっていたあなた 眠りに付けずま

          午前2時

          痛いことを書く、でも みてほしいっぴ