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創造性とは何か - 生成AIと著作権法の在り方について文化庁審議官と議論しました - (動画+文字起こし)

生成AI、ChatGPT、日本の著作権法に関する文化庁に対する国会質問。プロの間でご評価をいただいているようで、有難いです。

ついては、キャプション入り動画に加えて、文字起こしを掲載しますので、ご活用賜れれば幸いです。

AIについての野党の取り組みが余りにヤバいレベルなので、「いっちょ噛み」したてみた程度ですが、政府のスタンス(総理官邸、内閣府、文化庁、経産省、自民党)を総覧した上で、現時点での総括的な方針を打ち出しています。

引き続き、精力的に取り組んで参りたいと存じます。

○足立康史委員(衆議院議員、日本維新の会)

しばらく前に、オープンAIのアルトマンCEOが日本にいらっしゃった。これはやはり日本の著作権法がなかなか興味深いからだと私は思っているんですが。そして、昨日かな、グーグルがバードの日本語対応のサービスを始めたということで、大変この話題で持ち切りであります。

ただ、大変心配しているのは、何か、規制しようという、平さん始め自民党の皆さん、それから政府は、基本的には踏ん張っていると思いますよ、踏ん張っていると思いますが、例えば、平さんがまとめられたこの自民党のホワイトペーパーを拝見しても、例えば知財については、ちょっと微妙なことが書いてあるので。

本年四月に、自民党デジタル社会推進本部、AIの進化と実装に関するプロジェクトチームの座長が平さんだと思いますが、それのホワイトペーパーの十四ページにこう書いてあります。「生成系AIをめぐっては知的財産法の解釈に関する議論も注目されている。」と。それで、ブラブラブラと「ガイドライン等を積極的に活用するといった工夫も考えられる。」。全て受け身なんですよ。受け身というのは、注目されている、じゃ、自分たちが注目しているとは絶対書かないんですよ。いや、世の中で議論があるから、注目されている。

先日、山田太郎議員が参議院の決算委員会で岸田総理に同様の質問をしたときも、岸田総理はこうおっしゃっています。「AIとこの著作権制度との関係につき、まだ整理されていない課題がある」とは言わないですね。いや、本当にうまいというか、「AIとこの著作権制度との関係につき、まだ整理されていない課題がある「という指摘については承知している」」、こう言うわけですよ。本当にどうでもいい答弁ですよね。指摘があるのは新聞を読んでいたら分かりますやん、それは。だから、そういう議論があるのは分かっているけれども、私が今日伺いたいのは、今日、中原さんも来ていただいていますが。まず著作権をやります。ちょっと大臣に行って、ちょっと休憩していただいて、最後ということになりますが。

中原審議官、文化庁ね。総理はこうおっしゃっているわけですよ。「AIとこの著作権制度との関係につき、まだ整理されていない課題がある」という指摘が世間にあるということは総理も知っているんだと言っている。でも、岸田内閣、今の文化庁は、AIと著作権制度との関係について、まだ整理されていない課題があると思っているんですか、ないと思っているんですか。そのあるかないかだけ、まずちょっとお願いします。

○中原裕彦政府参考人(文化庁審議官)

AIを開発する場面では、他人の著作物をデータとして読み込み、情報解析に用いる必要がございます。このような、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない行為とみなされる場合については、著作権者の利益を害するものではないため、著作権法三十条の四におきまして、原則として著作権者の許諾なく著作物の利用が可能であるというふうにされております。

他方、AI開発の場面ではなく、AIによりコンテンツを生成し、それをインターネット上で公開したり販売したりするといった利用の場面におきましては、著作物の通常の利用と同様に、著作権侵害となるかが判断されるものでございます。

具体的には、著作権法で著作物の利用が認められている場合を除きまして、生成されたコンテンツに既存の著作物との類似性や依拠性が認められれば損害賠償請求や差し止め請求が可能となりますほか、刑事罰の対象ともなるということでございます。

○足立委員

今、中原審議官がおっしゃったことは、現在の著作権法を解説し、それは、いわゆる機械学習、深層学習、ディープラーニングみたいな技術で、いわゆる生成系AIと言われているもので生まれた、そこで学習する行為について、あるいはそこで生成されたものについて、今の著作権法の解釈を述べられました。それはそれでいいじゃない。だから、それで課題ないよね、それは。だから、思い当たる節はないと。

いや、いろいろな方が、例えば権利者団体とかクリエーターの皆さんとかが、脅威におののいていらっしゃるわけです、今。その恐怖感から、様々な個人、団体が政治に対して規制強化を求めてきていらっしゃいます。しかし、私は、私はですよ、課題が思いつかないんですよ。何が問題なんだと。

今まさに中原さんがおっしゃったとおりで、著作権法三十条の四で学習については法的にきれいに整理をされている。むしろ、世界最先端の…。昔、グーグル検索が始まった頃に、なぜグーグル検索のようなサービスが日本でできないんだといったら、著作権法が悪いんだといって糾弾されて、私も糾弾しましたよ、経産省から。文化庁が悪いんだといって。できた条文が今の条文で、これは世界最先端の、AIにフィットした条文なんです。だから、学習のところはきれいにできている。生成物については、現行法が適用される。私は課題が思いつきませんが、中原さん、思いつきますか。

○中原政府参考人

著作権法は、著作物の利用実態や技術の進展などの社会の状況の変化を踏まえまして、権利者を含む関係者の御意見を伺いながら、著作物の保護と利用のバランスを取った規定となってございます。

生成AIとの関係における著作物の具体的な利用の適用については、これらの規定を踏まえまして、最終的には、事案に応じた司法の判断になるものというふうに存じております。

文化庁としましては、現行の制度について正しく理解していただくことが重要であることから、著作権法三十条の四などの関係条文の考え方やあるいは解釈につきまして、「基本的な考え方」というものを示しまして、ホームページなどにおいてその周知を行っております。

今後も、AIの進展や新たな技術の展開等も踏まえ、随時研究を行いまして、引き続き、著作権制度について分かりやすい説明に努めてまいりたいというふうに存じます。

○足立委員

今、中原さんがおっしゃったことは、山田太郎さんの質疑でも、岸田総理にいろいろ聞いて、AI開発での著作物利用の適法性については、個別具体の事案に即して最終的には司法判断になると。当たり前ですよね。加えて、文部科学省において、関係条文の解釈の周知などを行っていますと。

今おっしゃった「基本的考え方」、昔出たやつですよ、ホームページに行ったらあります。三十条の四というのはこういうものなんですよということが書いてある。周知するんです。

だから、今政府に必要なことは、恐れおののいている方々に、怖がらないでと、時代は変わっていくんだから、かつて写真技術が生まれたときに、写実的な、職人的な仕事をされていた絵描き職人の人たちが、写真に仕事を奪われて、印象派、もっとクリエーティブな絵画の世界を切り開いていった。それが文明、文化の発展ですよ。だから、ここで恐れおののいて規制をするんじゃなくて、まさに、写真技術が新しいクリエーティビティーを生み出していったような形を、日本政府は徹底して取っていくべきだと思います。

今日、大臣にこの経済産業委員会でこういう質問をさせていただいているのは、著作権法が分かりやすいんですが、知財法というのは、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、(不正競争防止法、)広く言えば、AIと関係あるかないか分かりませんが、半導体集積回路配置法、あと、農水省の種苗法。いろいろありますが、経産省が中心です。

だから、もう細かいことはいいんですが、今、私、中原さんに伺ったように、私は思い当たる節がないんです。知的財産法制について、課題が思い当たりません。むしろ、今大事なことは、今の法律を周知すること。みんな分かっていないから。

そして、ちょっと手間がかかるけれども、侵害があると思われるのであれば司法に訴えていただいて、判例を重ねていく、これが大事だと思いますが、経済産業大臣のお立場でお答えいただけることがあればお願いしたいと思います。

○西村康稔国務大臣(経済産業大臣)

著作権法とそれから私どもの特許、意匠、商標権。これは、ちょっと法体系が変わっておりまして、もう御案内のとおりだと思いますけれども。特許、意匠、商標のそれぞれの権利においては、侵害したとされる側が自ら責任がないということを立証しない限りは、その行為に責任があったと認められる規定がありますので、権利はある意味でより保護されている、適切に保護される仕組みになっているということだと思いますので、ちょっと違うんですけれども。

著作権法は私は直接所管しておりませんので、私の立場で答弁するのは控えたいと思いますが、足立議員の御質問でございますので、雑談風に申し上げるとすれば、はやっている音楽があって、それに似たような音楽を作るとこれは著作権侵害というふうになる可能性があるわけですね。生成AIが、世の中におよそはやっている音楽を全部データを取って、そこからはやっている音楽を作ってきた、それをベースに、ある人がはやる音楽を作った場合に、その権利は一体誰にあって、あるいはどの著作権を侵害しているのかというのは、正直、私自身が今、そういうことは起こり得るだろうなと思って、今、足立議員の高邁な質問を聞いておりまして、頭で少し頭の体操、こういうのもあるのかなと思っていたところであります。

いずれにしても、判例が積み重ねられることによって権利保護というのはなされていくと思いますので、時代もどんどん変わっていきますし、技術も進化すると思いますので、その中で適切な法制を作っていくということだと思います。

○足立委員

今、大臣からちょっと広げて話をいただきましたが、大事なことは日本政府の方針です。

私は、平さんたちがおっしゃっているように、ハードローでの対応は反対です。じゃ、ソフトローというけれども、じゃ、ガイドラインというけれども、私は、政府がリードして、要は、例えば判例を解説することは大事ですよ。今、法律はこうなっています、行政府はこう解釈しています、判例が積み上がっていて、あるいは積み上がっていなくて、司法府ではこういうふうになっているんですよ、大体こんなことになっているので、皆さん、それをよく理解して経済活動してくださいね、ということを周知することは必要だと思います。

でも、そこにまだルールがないものを、政府が前に出て、私が心配しているのはブルーレイ政令指定ですよ。ああいうしようもないことをやるんだ、文化庁は。だから、時代錯誤の権利者団体の言うことを聞いて、権利者団体の首まで締めていくんです。それがこの三十年なんです。

だから、私が中原さんに一言いただきたいのは、そういう、今のところですよ、今のところ、新たな規制、ハードであれ、ソフトであれ、新たな規制を講じる予定はない、そう言ってほしいんですけれども、どうですか。

○中原政府参考人

著作権法の改正に当たりましては、我が国における著作物の利用実態や技術の進展など社会の状況の変化を踏まえまして、多くの関係者の皆様の御意見を伺いながら保護と利用のバランスを取る必要があるものというふうに存じております。

私どもとしましては、こうした議論をしっかりと注視し、そして、委員御指摘のありましたように、現在の著作権制度の分かりやすい説明にも努めてまいりたいというふうに存じます。

○足立委員

いや、だから、新たな規範というものを中原審議官は今考えていないね。ちょっと、考えていないなら、いないと言ってよ。一般論、抽象論はいいから、今日は、だって、私、ここで質問しているんだから。今の時点で、思い当たる何か追加的な規範を政府主導で作るつもりはないと言ってくださいよ。

○中原政府参考人

現時点の政府の決定その他におきまして、著作権法の本件に関する改正というものが予定されているものはございません。

○足立委員

予定もされていないし、水面下でもまだテーブルにのっていないね。

○中原政府参考人

現在、先ほど申し上げましたとおり、予定されているものはございませんので、しっかりと分かりやすい説明に努めてまいりたいというふうに存じます。

○足立委員

ありがとうございます。

今日確認できたことは、とにかく、岸田総理がおっしゃったとおりで、周知なんです。今大事なことは、現行ルールの解説、周知。これは政府がしっかりやっていく。そして、恐怖におののいていらっしゃる方々に安心をしていただく、あるいは、新しい世界に踏み出していっていただく。こういうリードを、岸田内閣、また西村大臣にやっていただきたいと思います。

最後に、司令塔の議論があります。何か、会議をつくって終わりじゃないですよね。

コロナのときも、何かいろいろやって、最終的には、大臣、いろいろコロナでやっていただきましたが、司令塔ができました。そういうしっかりとした行政組織、会議体じゃなくてしっかりとした行政組織が、AIは俺たちが責任を持って見ているんだという官僚チームがなければ、これは、すぐ内閣府、内閣官房と行くんですが、私は、もう文化庁を吸収合併して、経産大臣が、もう中原さんはどうせ経産省の人なんだから元々。だから、文化庁を吸収合併して、知財含めて、AIは経済産業大臣が司令塔なんだと、私は日本の未来のためにそういうしっかりとした体制をつくるべきだと思うんですが、いかがですか、大臣。

○西村(康)国務大臣

御指摘のとおり、昨日、官邸でAI戦略会議、開かれたわけであります。私も出席をいたしました。会議の中で、まさに活用の在り方とか懸念、リスク、あるいは対応策、開発に向けて取り組んでいくべきかどうか、こういった幅広い議論が行われたところであります。

AI政策ですけれども、今も御議論あったように、知財にも関わります。プライバシー、あるいは教育分野における利用の在り方にも関わります。正直なところ、経産省の所掌だけでなかなかとどまらない課題がたくさんあるなというふうに認識をしております。実際、G7のデジタル・技術大臣会合でも、私も出席しましたが、総務大臣、デジタル大臣と合同で、三省庁合同で対応したところであります。

昨日の会議の場で岸田総理から指示があったとおり、政府全体の議論は、方針に関する議論は、総理の下でAI戦略会議やAI戦略チームを中心に進められると。その事務局は、お気に召さないかもしれませんけれども、内閣府が担っていくということであります。

当然、経産省として、このリスクとか、将来のイノベーションの可能性の利活用ということも促していきたい、リスクを認識しながら促していきたいと思っておりますが、競争力ある大規模な言語モデルの開発とか、計算基盤の整備とか、様々な対応をしていきたいというふうに思っております。


いずれにしましても、まずは、このAI戦略会議において、各省庁と連携しながら対応していきたいというふうに考えております。

○足立委員

ありがとうございました。

終わりますが、私は、AIについて何も議論しなくていいと言っているわけじゃないんです。知的財産法制については周知が大事だ。

やはり、大議論になっているのは、発明とは何か、あるいは創造とは何かということが問われているわけですね。例えば、よく言われているのは俳句ですよ。五七五ですよね。五七五の五十音ですから、四十六文字かな、掛け算したら。もうこの世に存在している俳句は全てそこにあるわけです。あとは、クリエーティビティーというのは、そこから選択するだけになる。

「何なんだ、創造性って、何なんだ」ということが今問われているわけでありまして、そういう新しい時代に、日本維新の会も、平さんに負けないように、党としてしっかりAIについて取り組んでいくことをお誓いして、質問を終わります。ありがとうございます。

令和5年5月12日 衆議院経済産業委員会


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