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SMB営業鉄板クロージング 〜私が合意前に申込書を出す理由〜

昨日、何気につぶやいたツイートが自分史上最高の反響を呼びました。

せっかくですので、この手法を使って1秒でも早くご契約をいただくために、SMB営業として必須なクロージング手法についてまとめました。

ちなみに本note書いてる自分。こんな奴です


なぜ合意前に申込書を出すのか

こちらまず結論から言うと理由は以下の2つです。

①お客様に負担をかけないため
②どちらに転んでも、話が前に進むため

「お客様に負担をかけないため」というのはどういうことか。

逆に「なぜ口頭で意思確認をするか」というところから考えるとわかりやすいのですが、「(不安なので)確信を持ってからお申込書を出したい」という気持ちが営業側にあるからです。

結果的に「口頭での意思確認」という行為は、こちらがビビってしまってるその不安を、お客様に押しつけて解消しようという行為なのです。

お客様視点からすると「本当にやりますか?」という意思確認は、お客様に重大な決断しなくてはならないのかもと不安を起こさせ、ストレスをかける行為になります。

実はこれは、初デートの女性へのアプローチと一緒で、例えるなら、いちいち「○○していいですか?」と事前確認をとってアプローチをする男子がスマートかという話に近いです。

なぜなら、これは一見、相手の意思を尊重するよという風に見せかけて
「あなたがいいって言いましたよね?」と言質取って、自らの不安を解消したいというこちら都合でしかないからです。

営業が自分の不安をぶつけてお客様に負荷をかけることなく、また、たとえ断られたとしても、「勘違いでした!」と自ら泥を被る勇気を持つことで

いかにお客様に対し、あっさり決めていいんですという空気を演出できるかが、SMB営業の腕の見せどころだと思ってます。

断られてからが本番。

先ほどの男女のたとえを使った後に「断れてから本番」などと言うと、ますます色恋系のお話ぽく聞こえますがそうではないです(^^)

もしかしたら、合意する前に申込書を出してしまうというツイートをみて、やばい!申込書をさらっと出せば受注率めっちゃ上がるってこと?と思われた方もいるかもしれませんが、残念ながらそういうことではないです。

確かにきちんとご案内して価値合意できていれば、こちらがビックリするくらい、あっさりスラスラその場で書いてもらえて無事、即決受注になることも結構あります。(そういえば、即決したの初めてと言われることもしばしばありました)

提供サービスのメリットを一刻も早くお客様に享受してもらうために、1秒でも早く売ることは大切です。

そういった意味では、この方法は、すでにすぐ申し込んでいいと思っているお客様をよりスピーディにお申込に誘導できます。

一方で、その場での申込は、実際には断られることの方が多いです。

でも、そこからがこの手法の真骨頂。
今、申し込めないですと言われる際に出てくる言葉が、お客様が申し込むことに対しハードル感じている本音そのままだったりするのです。

この本音を聞き出すことこそ、合意前に申込書を渡す手法を仕掛ける最も大きな理由です。そしてこの手法を私は「仮クロージング」と呼んでいます。

お客様はハッキリ断るのが苦手

昔、グルメサイト営業時代に、東京からある地域の営業所立ち上げのために転勤して、早速、意気揚々と商店街に飛び込みまくったのですが、「これええやん!」「前向きに検討しとくヮ」の好感触の連発をもらって、Aヨミたくさんできた!と思っていたのに、全然受注できなかった苦い思い出があります。

ここまで極端ではないにしろ、ハッキリと「ここが気になっているからやらない」とか「こういう理由で申し込むのは難しい」と自ら言ってくれるお客様は少ないのです。

でも、もし我々営業が自然体で悪気もなく「当然、申込んでくれるんですよね」という信じ込んでいる体で「仮クロージング」をしてきた時、断りたいお客様だったら、どんな反応するか。

申し訳ないので、どうにかハッキリ断りの意思を伝えようと、きちんと理由を伝えて断ってくれようとするのです。

この時、「申し込むって言っていないじゃん!(怒)」となることはほぼなく、勘違いさせて悪いけど、今は申込出来ないよとむしろ謝られるケースが多いので、そこは安心してください。

今は申し込めないと断られたときに、具体的な理由を聞き出す言い方はこんな感じです。

「すみません。ちょっと待ってください。今は申込み出来ないんですよ」
「え?  あ、失礼しました。いつも大体書いていただけるので。
 ●●さんが今、お申込み出来ない理由って何があります?」

ここも当然かのように、涼しい顔でサラッとお伝えします。そうすると、アレコレNG理由を本音で教えてくれます。

ということでその場で申込書出すと、下記のようにどちらに転んでも、話が前に進むのです。

OK  → その場で受注
NG  → 正直なNG理由が聞ける

お客様には思っているほど伝わっていない

断られてしまうのに話が前に進むと書いたのは、この仮クロージングで一歩踏み込みことで、実は予算がないとか、話を聞くだけで申し込むつもりはない(冷やかし)とか、まだ引っかかるところあるとかざまざまな本心が言葉として返ってくるのですが

もし「ここが引っかかる」と言うハードルがハッキリ答えてさえしてもらえれば、あとはハードルを1つずつ解消し、クリアしていけば受注というゴールにまた一歩近づくことになるからです。

そんな時に、一番勿体なく、怖い状態が、「お客様がハードルと思っていることが、実はハードルでない時」です。

禅問答のような書き方になってしまいましたが、これはどういうことかというと、お客様は私たちのように私たちのサービスを熟知していませんし、今日初めて聞いてすぐに理解できないこともたくさんあります。

だから、理解できていないが故に、こちらが思ってもみないNG理由が帰って来ることもしばしばあるということです。。

例えば、初期費用はかかりませんと直前に伝えていても、初期費用がネックだと思っていますとか、契約期間の縛りがないと説明していたにも関わらず、「契約期間がなければね」とか、ご案内する側としてはえっと思うような、さっき説明したばかりのところに懸念を持たれていることが普通にあります。

当然、そんな誤解に対しては、それは違いますよといえば、そうなんだと済む話なのですが、そう言ったお客様の先入観や小さな誤解をされたまま検討されて、一度、NG回答を決定事項とされてしまうと、その答えを覆すのはもう大変。そう考えると、お客様のそういった小さな誤解を気づかず放置するということは本当に怖いところです。

こうして一歩踏み込むことで、明確になった不安感や問題などのハードルは、その場で解消できるものは即座にその場で解消します。そして、もしその場で全部クリアできたのあれば、「他にご不明点やご懸念点はないですか?」と聞いてから、自信を持って「では、お願いします」とまた申込書を出しましょう(^^)

自分が決裁者という人は疑え 〜決裁者見つける聞き方〜

その他に、今申込書をかけない理由として多く出てくる理由が「自分だけでは決められない」というパターンです。

こういった「自分だけで決められない」と言われたときや、決裁者が別にいそうなとき、また、稀にいるここまで踏み込んでもなかなか断る理由を言ってくれないお客様に遭遇したら、こちらからこう切り出しましょう。

「決める前にどなたかとご相談されますか?」

これは経験上、SMB営業において、もっとも正しく決裁者を聞き出せる聞き方です。そして、この回答で出てくる人こそが口説くべき、真の決裁者なのです。

このフレーズを使うまでは「決められるのは●●さんですか?」とか「以前、これ(類似サービス)の導入を決められたのは●●さんですか?」とか色々試しましていました。しかし、それで確認した上でOKだったはずの答えが覆る痛い目に何度も会いました。

個人の飲食店に対しての営業でよくあったのは最終的に判断し、ハンコを押すのは確かに社長だけれども、奥さんにNGと言われて答えが覆ったケース。同様に自分はいいと思ったんだけど、現場に聞いたらNGと言われたんだよねみたいな現場から覆されるケースも多かったです。

そんな風に決裁権が複数人に分かれているケースは意外と多く、どなたかと相談しますか?質問で挙がってくる「決裁者たち」とも言える方々には、なるべく全員に直接あって口説いた方が確実性は上がります

余談ですが、私が扱うような業務システムは現場に決裁権が分かれているような傾向が強く、飲食店向けに販売していた時も代表を口説いたのに、現場のヌシと呼ばれていたアルバイトスタッフ1人にくつがえされたことがあります。

逆に経験上は、聞いてもいないのに、「こう言うのは大体自分が決めているから」みたいに、自ら決裁者と名乗る人は要注意です。単に自分をぞんざいに扱って欲しくないがゆえにオーバートークしていることも多く、そういう人によく騙されましたw 

また、こういう人と同じく、先の社長のようにお客様自身が自分を決裁者と誤認しているケースも多いので、直接、決裁者かどうかを尋ねるより、相談者を確認する方が確実です。

あとがき 〜推定承諾を制するものがSMB営業を制する〜

今回の手法にはいくつか前提があります。

当然ですが、「それが普通ですという当たり前感」を出すこと。そのためには、まず自分がオススメするものが、お客様にとって本当に良いのであると心から思えるものであること。

また、ご案内の内容がその場で申し込んでもらってもトラブル起きないようなMECE(もれなくダブりない)なものに洗練されていることも大切です。

特に意外と抜けがちなのが「受注後の流れ」の説明です。具体的な「受注後の流れ」を合意前に説明することはトラブル防ぐだけでなく、お客様に実際にサービスを利用していくイメージを掴んでもらい、申し込みたい気持ちを高める効果があるので、必ず忘れずに行いましょう。

今回の手法を通して説明してきたこの「当たり前感」「OKという前提で話を進める」というのはとどのつまり、「推定承諾法」と言われるものです。

推定承諾はアポ取りから交渉までそれを意識できるかどうかでSMBにおける受注率は大きく変わると思います。まさに推定承諾を制するものはSMB営業を制します。推定承諾については下記のnoteの④で書いてますので、よろしかったら、そちらも参考にしてください。

今まで、この合意前に申込書を渡す仮クロージングはいろんなメンバーに教えてきましたが、素直で吸収しやすい新人営業の方がマスターしやすく、べテラン営業ほど抵抗があり、できない傾向があります。(なぜか不思議なことに新人もキャリア積むと、できなくなったりしますw)

しかし、今回書かせてもらったように、たとえ断られても得られる情報が大きい、どちらに転んでもメリットしかない手法だと思います。また、慣れてしまえば、それが普通になり全く抵抗がなくなります。

ということで、よろしければ明日からのSMB営業で、ぜひ一度お試しいただければ幸いです。

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