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Haunoldのフェルトスリッパ

中央ヨーロッパは昔から寒いこともあって、古い建物でも二重窓になっていたりセントラルヒーティングシステムで防寒対策はバッチリのところが多い。外は寒いけれど、意外と建物の中に入れば大丈夫である。日本に住んでいた時は隙間風なのかどこからか冷気がやってきて温めても温めても寒い時は寒かった気がする(北海道などはまた事情が違うのかもしれないが)。

しかし家の中はフローリングだったり場所によっては石のフロアもあるので、素足はもちろん靴下で歩いているとさすがに寒い。そもそも日本と違うので靴を脱ぐ習慣がないお家も多いが、私はそういうところであっても衛生面と防寒対策の両方の理由で毎回室内履きを使っていた。

最初の家に住んでいた時はイケアの安いスリッパで生活して、とりあえずの室内履きとしては良かったが足が暖かくなることもなく、すぐ汚くなってしまうことが気がかりであった。洗ったりもしたが、あんまり洗うとそれはそれで消耗するので、持って一年ぐらいで買い換えなければならなかった。

その後転々と住居を移った際に、色んな室内履きを試してみたが、私が購入したのはせいぜい10〜20ユーロぐらいの安いものだったので、結局耐久性がなく、何せすぐに匂いがつくので頻繁に汚れてすぐに買い換えることが多かった。化学繊維の履き物は匂いが蓄積しやすいのだろうか。

そんな中今年初めにウィーンにある(ドイツ系の)雑貨屋ManufaktumでHaunoldのフェルトスリッパに出会う。

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イタリアとオーストリアの国境あたりにある南チロル地方で兄弟五人と従業員三人で生産している手作りのフェルトスリッパである。すごく素朴な作りで、Manifaktumの他の洒落た室内履きと比べても地味に見える。地味に見えるがストックが一番多くあったので、おそらくよく売れているんじゃないかと推測する。詳しいストーリーはこちらのブログが詳しい。

このスリッパを使い始めてから、足の冷えに悩むことがほぼなくなった。履き心地はチクチク痒くなることもなく、フカっとして気持ちがいい。素足で履いても大丈夫だが、私は冷え症なのと長く使いたいので靴下を履いている。このスリッパで歩いているとフローリングや石のフロアからも冷たい温度が伝わってくることがなく快適である。一番いいのはお風呂上がりなどで足を温めた後に靴下を履いてHaunoldのスリッパを履いていれば相当長い間足はポカポカに保たれる。

靴底も特別加工されていないので、最初は少し滑りやすい。オンラインショップでは滑り止めを施して使っているという人もいたが、私の場合は数回履くとそのうち床の汚れを拾って滑りにくくなるので、わざわざ滑り止めをしなくても大丈夫であった(ただし走ったりすると危ないので、よく動く人は滑り止めをつけた方がいい)。

特に気になっていたのが匂いなのだが、一ヶ月毎日履き続けても全く嫌な足の匂いがしない。知らなかったがウールは匂いがうつりにくく、風に晒すことで脱臭できるらしい。フェルトなので水洗いなどは出来ないが、軽いブラッシングや毛玉になったところは毛玉取り機で除去すれば綺麗なまま使い続けることができる。

とても気に入ったので今灰色と白いの二足を一ヶ月ごとに交代で履いている。デザイン的には白色の方が可愛くて好きなのだが、白なだけあって靴の底はもちろん上側も何か汚れがつくと目立ちやすい。一方灰色は地味だが、汚れがついても分かりにくいので、汚れが気になる人は灰色か色の濃いスリッパが良いと思う。

ちなみにウールは縮みやすいので、自分の足のサイズより一回りか二回り大きいものを買うのがおすすめである。お値段は高め(62ユーロ)なのだが、大切に扱えば一年、二年以上と長く使っていける品質の良いスリッパ。毎日帰って足を入れるのが楽しみになるなんて思っていなかったほど履き心地が良い。こういう小さな幸せを教えてくれる手仕事に出会えるととても嬉しい。