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プライド月間@ウィーン

六月はプライド月間ということで、ウィーンの町中がレインボーフラッグに溢れている。プライド月間とは、様々なイベント(デモ行進、映画祭、美術展、コンサートなど)を通して、LGBTQの文化や活動を伝え、称えるものである。

六月に入ってからトラムにはウィーン市の旗の隣にLGBTQを表すレインボーの旗がたてられ、レインボーのトラムが街中を走っている。また、歩いていても各店舗や建物が全体がレインボー色に染まっていることもある。

Neubauにあるとあるカフェ

インターネット上を見ても、オーストリアでよく使われるwillhabenという物件探しや中古品の売買サイトを見ても右上にプライド色のハートマークがあることに気づく。

6/10にはプライドマラソン、6/11にはプライドパレードも行われて、街中でたくさんの人がプライドの活動に携わっていることがより可視化された。

私は当事者ではないが、周りには当事者の人たちもいるし、社会全体が良くなっていくためには当事者でないマジョリティーを巻き込むことが大切なのであって、そういう意味ではプライド月間は私の問題であることも違いはない。広く言えばマイノリティーの主張であり、権利のための活動なのだから、そういう意味では私も当事者なのである。

日本にいるときから何かしらのマイノリティーだったと思うのだが、今から考えるとほとんどの事柄に関してマジョリティーに属していた、そしてなるべく属すように行動していたので、あまりマイノリティーの立場で物事を考えることがなかった。今は外国人であったり、アジア人であったり、博士学生であったり、自分の所属大学を出てしまうと同じような状況にいる人に会うことが少ないので、権利を尊重されなかったり不利益を被ることもたまにある。

ウィーンはリベラルな街なので、全ての国や都市でこのような大々的な取り組みが行われているとは思わない。例えばウィーンから二時間程度の隣国ハンガリーの首都ブダペストでは、たとえハンガリーの中で一番リベラルな街であっても、今の政権の方向性から、街中で大々的にプライド月間をサポートしているようなことはないと思う(活動自体はもちろん行われているが)。同じEU内でもLGBTQに対するサポートは全く異なる。

マイノリティーについてわかったり受け入れたりすることは難しいし、時間がかかることかもしれないが、そもそもこういう表現をすること、できること自体に意義があるのだと思う。二年前からウィーンに住んでいるがコロナの影響もあってこういう大々的な取り組みが見られたのは、引っ越してきてから初めてである。街中がレインボーカラーで包まれるのは視覚的にも心地よいものだ。