見出し画像

ヘイヨーさんの人生外伝 キザオ君とチガサキ君 5~キザオ武者修行

※ 今回の夏休み中はチガサキ君はほぼ出てきませんが、後々の話を分かりやすくするために割愛せず載せています。ご了承下さい。

さて、探偵見習い尊氏のビデオ作成は本編で紹介されている通り上映には至らず御蔵入りになりました(ザックリ 笑)😅

尊氏もキザオも、個性はバリバリ出しているのですが経験値は低く、芝居というよりは一人よがりのブチ切れコントと言った感じです。芝居は客の視点で見た時に、違和感なく時間を流さなくてはなりません(勿論喜劇などで逆手にとる例外的な見せ方もありますが)。例えば……。

公演の砂場に犬と犬のリードを引いた男性が現れる。そこには先に遊んでいた園児がいたとします。なんと犬は砂場で脱糞を始めました。飼い主はしまったと思いながらも、その場で糞を片付けず砂を被せて去ろうとします。園児は汚い、片付けてよと怒ります。こんなシーンを演出してみましょう。

ここでの見せ場は犬の脱糞、そして飼い主の隠蔽、被害児童の怒り という流れになります。つまりシーン毎に主役と引き立て役が入れ替わります。これが脱糞中に飼い主や園児が過度に目立ってしまう行為を及ぼすと、観る側に?マークがつきます。すると?マークを消化してる間に客を置いて話が進行し、部分的には笑える要素があっても全体的には 何だかわかんね~って話になります。 レベルの低いキザオではオカマの変態詐欺師という役で、尊氏では妖怪のような風貌で、部分的な笑いを取る位しかできなかったのです。

寧ろ脚本を書いた詐欺師役海村さんや、給料を当面払わず探偵見習いを使おうとする探偵役、ヘイヨー青年の方が生き生きと撮影に取り組んでいました。

作品は失敗でしたがヘイヨー青年は面倒見がよく、彼の住むトイレ入口共同のオンボロアパートにキザオ達を招待し、ガスコンロ一台しかないのに唐揚げを作って振る舞ってくれる等人間らしい温かみがあり、物事を利害関係でばかりみているキザオにも多少の人間味を与えてくれていたのです。

さて、もう一点は夏休み講習です。なんと広島や九州の分校からも気合い入った声優志望者が集まり、多少演技指導レベルの高い講師方が、演技を教えてくれます。この時期でやっと時間を上手く流す術を未熟ながら獲得していきます。

更に広島、福岡分校の男女6人と仲良くなり最終日には打ち上げ、更に何故か尊氏のマンションで男女でAV鑑賞会迄してしまいます😓

ザックリいきますが、その中の福岡分校から来ていたナミさんとキザオは1年間お付き合いする事になります。

そんなこんなで夏休みが終わり、演技の授業を受けるとクラスメート各人から キザオ君演技上手くなったね と言われるようになりました。相手を立てながら自分も魅せる時は魅せ、場の雰囲気を壊さない。キザオは役者の基本がわかってきたと感じていました。当然稚拙ではあったのですが、小さな池の中で自信を付けていったのです。 

しかしながらチガサキ君は一言たりともキザオを褒めません。当たり前です。彼の中では自分こそが主人公なのですから、ライバルの成長は面白くなかったでしょう。物凄く表情にでる彼の気持ちは、キザオ以外にも人間観察をする人から見ると容易にみて取れた筈です。

続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?