アクティビストマニア@Constructivist, Destructivist

投資銀行にてM&Aや資金調達を経験、現在は経営管理回りのお仕事を少々。三度の飯…

アクティビストマニア@Constructivist, Destructivist

投資銀行にてM&Aや資金調達を経験、現在は経営管理回りのお仕事を少々。三度の飯よりアクティビストやコーポレートガバナンスの話が好きです。その熱い想いを書き殴ります。 activistmania@yahoo.co.jp

記事一覧

太陽を盗んだ男

四大法律事務所の一つである森・濱田松本法律事務所(通称「MHM」)が直近公表したメモに面白いものがありました。 タイトルは「アクティビストによる既発行の新株予約権等…

【記事紹介】「建設的アクティビストの活動の活発化と日本の実務への示唆」(旬刊商事法務)

本日は年末に公表された記事のご紹介です。 商事法務研究会による機関誌「旬刊商事法務」のNo.2248, 2249に掲載された「建設的アクティビストの活動の活発化と日本の実務へ…

ゆく投資くる投資

激動の2020年あけましておめでとうございます。2021年になりました。2020年は新型コロナの流行を端緒に、本当に色々なことがあった年でしたが、日本のアクティビズムの観点…

【書籍紹介】三位一体の経営

前回投稿からかなり間が空いてしまいました。 この約4か月間だけでも、 ・伊藤忠によるファミリーマートへのTOBに対するファンドの介入 ・コロワイドによる大戸屋への敵対…

コロナ禍のアクティビズム

独立系投資銀行のLazardが、2020年1Hのアクティビズムの状況に関するレポートを公表しています。 Lazardは四半期ごとにこのレポートを公表しており(2020年4月からはCOVID…

6月末だし上場企業の大株主を調べよう③

第3弾です。一旦今回で最終回にしようと思います。 なお、これらの他に、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとシルチェスター・インターナショナル・インベスターズとい…

6月末だし上場企業の大株主を調べよう②

第2弾です。ここからは粛々と有報の「大株主の状況」に名前が登場するファンド等の保有企業を並べていきます。 これらは一般に公表される開示情報ベースですが、東洋経済新…

6月末だし上場企業の大株主を調べよう①

2020年も早や半分が過ぎました。 ということで、この6月末で3月決算企業の有報がほぼ(※1)出揃ったため、アクティビストマニアの基本動作として、「大株主の状況」から特…

天馬行空

2020年6月26日にプラスチック成形加工メーカーである天馬(7958)の株主総会が開かれ、株主提案されていた取締役候補は全員否決された一方、会社提案の取締役候補も8名中3…

東芝 ~アクティビストとの終わりなき戦い~

東芝(6502)が2017年に、上場廃止回避のために海外投資家に新株を割り当てる形で増資を実施し、結果としてElliott, Third Point, Oasis, エフィッシモ等、アクティビスト…

ACA vs 共同印刷

足元、日本の上場企業に対して多くの株主提案が実施されているのは各種報道の通りですが、今回は報道されているメジャーなケースではなく、適時開示で気になったもののご紹…

乾汽船 vs アルファレオHD①

中々まとまった記事を書く時間が無いため、今日は小ネタです。 アルファレオによるYoutube動画アルファレオホールディングス(https://www.alphaleo-hd.jp/)は、海運・倉…

Suggestivist

Activist Insight(欧米のアクティビスト情報プロバイダー)によるポッドキャストの最新版がアップされていますが、その中で"Suggestivist"なる概念が紹介されていました。…

マネックス・アクティビスト・ファンド②

①の続きです マネックス・アクティビスト・ファンドに関連して日々こちらのチャンネルで動画が公開されています。 今回はこの動画内で説明されている、本ファンドの運用…

マネックス・アクティビスト・ファンド①

直近の話題といえばとにかくこれでしょう。 大手ネット証券の一角であるマネックス証券の松本大社長が自ら積極的に関与して立ち上げた、「マネックス・アクティビスト・フ…

Constructivist, Destructivist

アクティビストは善か悪か2020年、コロナ禍による株価の激動を経てもなお、「アクティビスト」と呼ばれる投資家が日本の株式市場を賑わしています。 「アクティビスト」と…

太陽を盗んだ男

四大法律事務所の一つである森・濱田松本法律事務所(通称「MHM」)が直近公表したメモに面白いものがありました。
タイトルは「アクティビストによる既発行の新株予約権等の行使に対する差止仮処分の申立てを却下した決定とエクイティ・ファイナンスへの実務上の影響」(長い…)。

https://www.mhmjapan.com/content/files/00047197/20210119-025031.p

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【記事紹介】「建設的アクティビストの活動の活発化と日本の実務への示唆」(旬刊商事法務)

本日は年末に公表された記事のご紹介です。
商事法務研究会による機関誌「旬刊商事法務」のNo.2248, 2249に掲載された「建設的アクティビストの活動の活発化と日本の実務への示唆」です。

上・下に分かれており、上はファラロンキャピタル(直近東芝に臨時株主総会開催を請求したことでも話題になりました)の日本代表の今井氏、下はアンダーソン・毛利・友常法律事務所の仁瓶弁護士・生方弁護士が、それぞれ筆者

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ゆく投資くる投資

激動の2020年あけましておめでとうございます。2021年になりました。2020年は新型コロナの流行を端緒に、本当に色々なことがあった年でしたが、日本のアクティビズムの観点からも様々な動きがありました。
ざっと例示するだけでも、
◆敵対的TOB関連
・コロワイドによる大戸屋への敵対的TOB成立
・島忠に対するニトリの対抗TOB提案と賛同、そして成立
・京阪神ビルディングに対するストラテジックキャピ

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【書籍紹介】三位一体の経営

前回投稿からかなり間が空いてしまいました。
この約4か月間だけでも、
・伊藤忠によるファミリーマートへのTOBに対するファンドの介入
・コロワイドによる大戸屋への敵対的TOB
・オアシスによる東京ドームへの株主提案
・ストラテジックキャピタルによる京阪神ビルへの敵対的TOB
など、資本市場を騒がせるディールが目白押しで、個人的にも日々ワクワクしながら見ていました。
ボチボチ新しい記事も書いていこう

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コロナ禍のアクティビズム

独立系投資銀行のLazardが、2020年1Hのアクティビズムの状況に関するレポートを公表しています。

Lazardは四半期ごとにこのレポートを公表しており(2020年4月からはCOVID-19の影響を踏まえ一時的に?毎月更新に)、世界、特にアメリカのアクティビズムの状況を知るのに非常に役立つ情報源となっています。

詳細な内容はレポートの内容をご覧いただければと思いますが、個人的に気になった事

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6月末だし上場企業の大株主を調べよう③

第3弾です。一旦今回で最終回にしようと思います。
なお、これらの他に、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとシルチェスター・インターナショナル・インベスターズという2社の有名どころの投資家が居るのですが、保有する企業が多すぎ、リスト化を断念しました…。「タイヨー」「タイヨウ」「TAIYO」や、「SILCHESTER」「シルチェスター」などで検索をかけてみてください(この2社はそもそも大量保有報告を

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6月末だし上場企業の大株主を調べよう②

第2弾です。ここからは粛々と有報の「大株主の状況」に名前が登場するファンド等の保有企業を並べていきます。
これらは一般に公表される開示情報ベースですが、東洋経済新報社の大株主データというデータベースでは、更に企業によって11位以下の株主まで深堀りすることができ、今後これらのファンドが大量保有報告書を提出する、もしくは何らかのキャンペーンを仕掛ける可能性がある企業をいち早く調査することが可能です。

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6月末だし上場企業の大株主を調べよう①

2020年も早や半分が過ぎました。
ということで、この6月末で3月決算企業の有報がほぼ(※1)出揃ったため、アクティビストマニアの基本動作として、「大株主の状況」から特徴的な株主(ファンド)を拾っていきたいと思います。
こうした企業に今のうちから投資しておき、ファンドがバリューアップしてくれるのを待つ、いわゆる「金魚のフン」(フリーライド)投資法も個人ならではのアプローチとして考えられるかと思いま

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天馬行空

2020年6月26日にプラスチック成形加工メーカーである天馬(7958)の株主総会が開かれ、株主提案されていた取締役候補は全員否決された一方、会社提案の取締役候補も8名中3名が否決される結果となりました。

アクティビストに縁のある会社天馬は2007~2008年頃にも当時隆盛を誇っていたスティール・パートナーズの関連企業と言われたリバティ・スクエア・アセット・マネジメントに一時10%を超える株式を

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東芝 ~アクティビストとの終わりなき戦い~

東芝(6502)が2017年に、上場廃止回避のために海外投資家に新株を割り当てる形で増資を実施し、結果としてElliott, Third Point, Oasis, エフィッシモ等、アクティビストのオールスターに株を保有されたのは記憶に新しいところですが、引き続き一部の株主からは厳しいアプローチを受けているようです。
6/22、東芝は株主から2つの株主提案を受けていること及び反対意見を公表しました

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ACA vs 共同印刷

足元、日本の上場企業に対して多くの株主提案が実施されているのは各種報道の通りですが、今回は報道されているメジャーなケースではなく、適時開示で気になったもののご紹介です。

ACA aka Activist?共同印刷(7914)が、6/26開催予定の定時株主総会において株主提案を受けたこと、及び当該総会での検査役選任の申立てを受けた旨を開示しています。

提案株主は「アジアグローバル6号投資事業有限

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乾汽船 vs アルファレオHD①

中々まとまった記事を書く時間が無いため、今日は小ネタです。

アルファレオによるYoutube動画アルファレオホールディングス(https://www.alphaleo-hd.jp/)は、海運・倉庫事業等を営む乾汽船(銘柄コード:9308)の株式を2014年頃から市場で取得し始め、足元では約29%の株式を保有するまでに至っています。

アルファレオは度々乾汽船に株主提案を実施しているのですが、彼ら

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Suggestivist

Activist Insight(欧米のアクティビスト情報プロバイダー)によるポッドキャストの最新版がアップされていますが、その中で"Suggestivist"なる概念が紹介されていました。

私は初めて聞いたのですが、検索してみるとちょこちょことは記事等がヒットします。

アクティビストほど強圧的ではなく、パッシブほど受け身ではなく、ソフトに対象企業に「提案」をしていく、というアプローチを指すよ

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マネックス・アクティビスト・ファンド②

①の続きです

マネックス・アクティビスト・ファンドに関連して日々こちらのチャンネルで動画が公開されています。
今回はこの動画内で説明されている、本ファンドの運用方法についてまとめます。

運用者も第一線級の猛者が揃う
ファンドの中心メンバーとなる「カタリスト投資顧問」のメンバーは動画にも出演しています。無敵超人のような経歴の数々で、さながら資産運用業界のオールスターチームといった趣です。
・平野

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マネックス・アクティビスト・ファンド①

直近の話題といえばとにかくこれでしょう。

大手ネット証券の一角であるマネックス証券の松本大社長が自ら積極的に関与して立ち上げた、「マネックス・アクティビスト・ファンド」(愛称:日本の未来)。このファンドについて、Youtube上で様々な関係者と松本社長の対談動画が大量に公開されています。

現状公開されている動画を全て視聴しましたが、とてもワクワクしてくる内容でした。

松本社長自ら前面に
この

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Constructivist, Destructivist

アクティビストは善か悪か2020年、コロナ禍による株価の激動を経てもなお、「アクティビスト」と呼ばれる投資家が日本の株式市場を賑わしています。

「アクティビスト」とは、上場企業の株式を一定程度取得した上で、当該投資先企業に対して何らかの提言・要求を行い、それによる株価の上昇でリターンを得ようとする投資家の類型をいいます。
通常の投資家は株価に変化をもたらすきっかけ(カタリスト)を受動的に待つこと

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