
Jobyの空飛ぶ車、Googleの量子チップなど【2024年12月16日号 #3】
アクティ部のニュースまとめでは、ものづくりやロボティクスに関するニュースや最新の技術トレンドに関する情報をお届けします。
🗞️ 今週の注目ニュース
1. Joby launches $300M public offering ahead of 2025 commercial eVTOL release
Jobyは、商用eVTOLリリースに向けて普通株式$300Mドルを上限とする公募を開始しました。
JobyはeVTOLいわゆる空飛ぶ車を開発する企業です。デルタ航空やウーバーがパートナーとなり、都市交通用の「エアタクシー」サービスを予定しています。

10月にはトヨタからも$500Mドルの追加出資を受け、翌月日本で初めての試験フライトも行われたそうなので、空のモビリティが選択肢になる未来もそう遠くないかもしれません。
2. Meet Willow, our state-of-the-art quantum chip
Googleが量子チップ「Willow」を発表しました。
量子チップは量子コンピュータの中で動作し、量子ビット(キュービット)を用いて情報を処理します。従来のコンピュータが0と1のビットを使って計算を行うのに対し、キュービットは同時に複数の状態を取ることができるため、並列的かつ高速な計算が可能です。
Willowは大きく2つの成果を実現しています。
キュービットを増やすにつれてエラーを指数関数的に削減
今日で最速のスパコンでは約10^25年かかる計算を5分以内に実行
Willowの技術は将来的に、新薬の発見・自動運転車のバッテリー設計・核融合や新エネルギーなどの実用的な問題解決への応用が期待されています。
3. Sora is here
OpenAIは、動画生成AI「Sora」をリリースしました。ChatGPT PlusおよびProユーザーが利用可能です。
テキストから動画を作成することに加え、手持ちの画像・動画をインポートしてプロンプトを作成できます。また、Webインターフェスで複数の動画をシームレスな1つのクリップに再編集するなどの機能も提供しています。

生成された動画には、物理世界で起こり得ない動作をするなど多少の違和感がやはり残ります。より自然な動画にするためにチューニングを繰り返しているといつのまにか付与されたクレジットを消耗してしまうこともありますが、人の手を加えた再編集によって理想的な動画に近づけることはできるかもしれません。
4. The next chapter of the Gemini era for developers
GoogleがAIモデル「Gemini 2.0 Flash」と、AIコーディングエージェント「Jules」を発表しました。
Gemini 2.0 Flashは、1.5 Proと比較して2倍の速度を実現し、マルチモーダル出力(テキスト、画像、コードなど複数のメディアを同時に扱う能力)を強化しています。
その中でも特にMultimoal Live APIは、人とAIが同じものを「見たり、聞いたり、話したり」しながらリアルタイムな会話を実現できるAPIです。これまで主流だったチャットボットのようなインターフェースではなく、もっとシームレスにAIとコミュニケーションができる体験を構築できる可能性を感じます。
Julesは現在一部のテスターにのみ公開していて、2025年初めに一般の開発者に公開される予定です。(ウェイティングリストはこちら)
5. Raspberry Pi 500 and Raspberry Pi Monitor on sale now
Raspberry Pi財団が「Raspberry Pi 500」と「Raspberry Pi Monitor」を発表しました。
Raspberry Pi 500はキーボード一体型のコンピュータで、マウスとモニター以外の必要なハードウェアが一体化しているため、ユーザーがすぐに作業を開始できる点が特徴です。

Raspberry Pi Monitorは、通常のRaspberry Piからも電源供給できる15.6インチのフルHDディスプレイとなっています。
6. Solos challenges Meta’s Ray-Bans with $299 ChatGPT smart glasses
Solosがカメラ付きスマートグラス「AirGo V」を発売しました。
AirGo Vは、内蔵されたAIモデル(OpenAIのGPT-4oやGoogleのGeminiなど)により、テキストの翻訳や近くのランドマークへの道案内、見ているものについての詳細な情報を提供できるそうです。
7. Eureka Robotics、シリーズAラウンドで1,050万ドルの資金調達を実施
B Capitalがリードし、Airbus Venturesなどが参加しています。
Eureka Roboticsは、高い精度と高い柔軟性(High Accuracy & High Agility、通称 “HA-HA”)が求められる作業を自動化する3D画像認識技術を提供しています。
8. ANYbotics Raises Additional $60 Million to Drive U.S. Expansion
ANYboticsが、シリーズBラウンドで$60Mドルを追加調達しました。Qualcomm VenturesとSupernova Investがリードし、TDK Venturesなどが参加しました。
ANYboticsは、「ANYmal」という四足歩行の自律検査ロボットを製造しています。工場や現場での点検や保守作業を自動化し、ガス検知や高精度カメラによる3Dスキャンが可能です。
次号もお楽しみに!