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オープンソースの物理AIシミュレータ Genesis【2024年12月23日号 #4】

アクティ部のニュースレターでは、ものづくりやロボティクスに関するニュースや最新の技術トレンドに関する情報をお届けします。

🗞️ This Week in Robotics

1. Genesis: A Generative and Universal Physics Engine for Robotics and Beyond

新しいオープンソースの物理エンジン「Genesis」が発表されました。NVIDIAや大学の研究者たちによって開発された、汎用ロボット・フィジカルAIアプリケーションのために設計された物理プラットフォームです。

Image: Genesis

自然言語によるデータ生成などのAI機能をネイティブでサポートしているなど、他の物理エンジンにはない特徴を持っています。

  • 🐍 100% Python

  • 👶 簡単インストール&シンプルなAPI設計

  • 🚀 並列化シミュレーションによる高速化

  • 💥 多様な物理現象を扱う統一フレームワーク

  • 📸 フォトリアルなレイトレーシングレンダリング

  • 📐 微分可能なシミュレータ

  • ☝🏻 物理的に正確で微分可能な触覚センサー

  • 🌌 自然言語でさまざまなデータを生成可能

Genesisの長期的なミッションも記載されていました。個人的に物理シミュレータを使う機会はあるのですが、専門でない自分にとっては学習コストが高さがネックだと感じていたため、これのミッションには共感しました。

  • 物理シミュレーションの利用を簡単にし、ロボット研究を誰でも利用可能にする

  • 最先端の物理ソルバーを統一し、高精度な仮想空間で物理世界を再現する

  • ロボット工学や他分野のデータ収集・生成における人間の負担を最小化する

GitHubリポジトリは公開2日ですでに12kスターを超え、期待値の高さが伺えます。

2. Partnering with Nihon Kotsu and GO on our first international road trip

Waymoは、日本交通・GOと連携して東京での自動運転タクシー導入に向けた試験走行を始めると発表しました。

2025年初頭に、Waymoの自律走行システムを搭載したジャガーの電気自動車「I-PACE」が都内に投入されるそうです。

試験走行(ロードトリップ)では最初に手動でデータ収集を行い、その後自動運転テストを進めることで安全性を確保しつつ技術と体験を改良していきます。

3. Announcing 150M developers and a new free tier for GitHub Copilot in VS Code

GitHubは、Visual Studio Code上でGitHub Copilotの無料プランを利用できるようにしたと発表しました。

これまでは最低でも$10ドルの課金が必要でしたが、個人開発者向けの無料プランによってリアルタイムコード補完など基本的な機能が使えるようになります。

4. Apptronik Partners with Google DeepMind Robotics to Accelerate Advancement on AI-powered Humanoid Robots

AIヒューマノイドロボット企業のApptronikは、Google DeepMindロボットチームと戦略的パートナーシップ契約を締結したことを発表しました。

Apptronikが開発する「Apollo」は、製造業やロジスティクスの初期用途向けに設計され、3月にメルセデスベンツの生産ラインにテスト導入された実績があります。

Image: Apptronik

5. Pudu Robotics Unveils PUDU D9: A Full-Sized Humanoid Robot Driving Commercially Viable Embodied Intelligence

サービスロボットを開発するPudu Roboticsは、フルサイズ二足歩行ヒューマノイドロボットPUDU D9を発表しました。

Pudu Roboticといえば、日本のガストに導入されている猫ロボット「BellaBot」を見たことがある方も多いかもしれません。PUDU D9は、"Born to Serve."の理念のもと人間中心に設計された実用的な支援ロボットになります。

6. 自動運転開発のための動画編集機能を備えた生成AIモデル、GenSim-2

Helm.aiは、自動運転開発のための生成AIモデル「GenSim-2」を発表しました。

GenSim-2は、AIベースの動画生成・編集機能を備え、天候や照明条件の調整、さまざまなオブジェクトの外観変更、一貫性のあるマルチカメラサポートを実現します。

Image: helm.ai

これにより、自動車メーカーはAIモデルのトレーニングに必要なデータセットを効率的かつ低コストで強化し、自動運転開発および検証における難解なコーナーケースに対応できます。

💰 資金調達ニュース

1. Engineered Arts restructures with $10M to create humanoid robots

Engineered Artsは、シリーズAラウンドで$10Mドルを調達しました。Helium-3 Venturesがリードし、AppDirect CEOのNicolas DesmaraisやBelvoir Investmentsが参加しています。

2004年に設立してから20年以上ヒューマノイドロボットを開発していて、2年前に掲載されたAmecaのデモを見た方もいるかもしれません。

今回の資金調達により、フルサイズロボットやデスクトップロボットの利用拡大のためのクラウドベースAIサービスを拡大するそうです。

2. $28M Raised to Drive 10x Speed & Safety

Slip Roboticsは、DCVCをリードに$28MドルでシリーズBの資金調達を行ったことを発表しました。

Slip Roboticsは、倉庫内のパレットを運ぶことができる大型の床のようなロボット「SlipBots」を開発しています。

これまでは作業員によるフォークリフトの往来作業が必要でしたが、動く床にパレットを載せて移動させることでトレーラーへの積み込みまでの時間を短縮します。

3. Mantis Robotics Secures $5M to Redefine Robotics through Physical AI

Mantis RoboticsがEmerald Technology Venturesをリードに、$5Mドルを調達しました。

Mantisは、ビルトインのセンサーやセーフティモーションコントロール技術により、フェンスやレーザーバリアのような外部の安全装置を必要としない安全な産業用ロボットアームを製造しています。

4. T-robotics Secures $5.4M Seed Funding and Applies AI to How Industrial Robots Understand, Learn, and Adapt to Complex Manufacturing Environments

ロボット向けのノーコードソフトを開発するT-roboticsは、シード資金として$5.4Mドルを調達しました。Emergent VenturesとEngine Venturesが共同でリードし、Berkeley SkydeckとRaisewell が参加しました。

T-roboticsのソフトウェア「ActGPT」は、ロボットにとらわれずロボットアームや移動ロボットなどと統合し、視覚・触覚・言語入力によるマルチモーダルなデータに対応してロボットが行うタスクを自動化します。


次号もお楽しみに!

Writer: @nszknao_jp
HP: https://www.activeclub.jp



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