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お山のご縁 妻目線


週末は旦那と山登りをしている。
今週末は、岩場で有名な某山に登る予定だったが
金曜日の夜、旦那が急に
「近場で、低い某山に変更しよう」と言い出した。

登山日、当日。
深夜2〜3時、左耳の激痛で夢から覚める。
左耳の痛みはよくあることだが、
(先月耳鼻科受診済み。異常なし)
今回の痛みはあまりにも堪え難いものだった。

そんなこんなで朝は寝坊。
予定よりも30分遅く出発。

玄関で、なぜか【今日はマスクが必要】と感じる。
(普段、登山中はマスクをしていない)
でも、わざわざマイ・マスクを自分の車まで取りに行くのが億劫で、
いそいそと旦那の車に乗り込む。

某山への山中。毎度のことだが酷く酔う。
山道はどうしてもカーブが多い。
木材を積んだトラック一台と行き交ったくらいで
珍しく人気を感じぬ山道。
この時期はどこの山も登山客でごった返す印象があったので、不思議に感じる。

登山口、の標識が目に入り、一度車を停め下車。
すると旦那が山の地図を取り出して
もう少し車で登った方が山頂まで近いそうだよ、と提案。
わたしも地図を見てみると
現在地から→徒歩一時間半で山頂
旦那提案場所から→徒歩30分で山頂。
いつもは少しでも長く登りたい夫なのに珍しいなと思いながらも、
距離が短いのはラッキーと思い快諾。

すると地図上の、【休憩】の青い文字が色濃く浮かび上がる。
山頂にはトイレがあるんだろうな、と薄汚れた公衆トイレが頭に浮かんだ。

目的の登山口まで辿り着くと、
すでに2台の車が停まっている。
私たち以外にもひと気があることに安堵を覚える。

木の、浅い階段を登ると
辺り一面、すすき、すすき、すすき。
ようこそ、と出迎えてもらった。
爽やかな景色に心躍る。

すすきを掻き分け登り坂を進んでいると、
一眼を持った男性とすれ違う。
小慣れた感じ、いつも自然界で撮影されている方なんだろうな、素敵だなと感じる。

男性と行き交ってから、ものの二、三分で山頂。
あれ?笑
若干にの物足りなさはあったものの、
ま、いいか笑と開き直る。

ここでゆっくりしようよー、と旦那に言うと、
もう少し周辺を歩いてみよう、と返答。
ちぇ、と思いながらも歩き進めると、
【トイレ】右側へ の看板が目に入る。
比較的、きれいな木材でできた看板だ。

ふと看板が指す方へ目をやると、
木造の古い小屋が目に入る。
小屋の中に黒い服を着た男性の後ろ姿があるではないか。
吹き抜けで、立位の状態で背中の下辺りまでよく見える。
うっわあ、男性が用を足してるのか、丸見えじゃん…と
気分が悪くなり、目を逸らす。

逆方向へ歩き出す。

すると旦那が一言。

首吊って、死んでる人、いたよね。

全身に衝撃が走った。
先ほどの男性の後ろ姿を、再度凝視する。
ほんとだ、吊られた首が傾いている。
この人、静止している。

さっきすれ違った男性を呼びに行こう!と旦那。
急いで、すすきの道を下山。
恐らく出発寸前だったであろう男性を間一髪呼び止める。

3人で、ご遺体をやや離れた位置から確認し、
手分けして110番、119番通報。人生初。
現場の詳細をうまく説明できないときは、
男性に言葉を補ってもらい、何とか任務完了。

するとものの10分で、サイレンが響き辺り山中をこだまする。
当たり前だが、この不穏な音は何度聞いても気持ちが悪い。

しかし、どういったことか、中々到着しない。
一抹の不安を覚える。
サイレンのこだまが止まる。
焦る。
頭の中で、警察との会話を繰り返し再生する。

ー山頂まで、車で行けますか?
いいえ、行けません。登山口に車を停め、そこから徒歩5分程度です。
ーあなたの車は何色ですか?
○色です。○色の(車種)です。

あまりにも到着が遅いので、
男性が登山口まで様子を見に行ってくれる。
しかし、警察が来る気配無し。

しばらくして、今度は交代でわたしが下山。

すると、運が良いことに、
ツーリング中の若いバイカーがこちらへ向かってくるではないか。
急いで呼び止め、声をかける。
ーパトカーや救急車を見ましたか?
はい。ついさっき、山道に停まっていましたよ。
ー実は、(中略)という事情で…
では、俺、戻って誘導します。

そこからは早かった。
登山口では電波がなく、
電波を求めてまた山中を登り
旦那に状況報告をして
また登山口へ向かいバイカーを待つ。

ふと、山に呼ばれた。
風が吹き、木々が鳴った。
導かれるように旦那たちのもとへ戻ると
なんと正規ルートからせっせと登頂した警察御一行の姿が。

わたしは簡単に事情を聞かれただけで
その後間もなく解散。
何かあったら警察から電話が来るとのこと。

男性に礼を言い、別れる。

車で下山中、ご遺体の後ろ姿が脳裏に浮かぶ。
言葉ではないが、
気持ちが、想いが伝わってきた。
諦め、見つけてほしかった、最期はそこまで苦しまなかった、
家族、この山への温かい想い、最期の情景。

と同時に、一気にむかむかした気持ち悪さが増して
表情が思うように作れなくなるのが分かる。
魂が抜かれたような初めての感覚。
でも、幸い今朝方の耳の痛みは治まっていた。


午後は、旦那一家がご縁のあるお寺へ直行。
義母がアポをとってくれたのだ。

ありがたい説法を受ける。

○今回は、良い行いをしましたね
○きっと、ご遺体(彼)が貴方方を呼んだのですね。
前世で繋がりがあったお方でしょう。
今は貴方方が、彼を助けた側でした。
でも前世では、彼に助けてもらう側だったかもしれませんね。
○彼の気持ちに気付き、受け止めてあげたこと。
彼は報われたと思います。
○お祓いはしません。
全てを取り除くことになってしまいますから。
心の中でゆっくり彼のことを消化、浄化してあげてください。

そう、今回の出来事は、全部必然だったのだ。
全て。全て。一つ一つが。

その夜は、山で出会った男性と、
あるお力をもつカウンセラーへ
説法の概要や一連の出来事を伝える。

カウンセラーから、深夜にメッセージが届く。

最後に引き合わせた彼は、沢山の無念から
感謝に向かい歩もうとしているね。
お疲れ様、そしてありがとう ーー


今回のことを機に気付いたことがある。
やはりわたしは、色々キャッチできる(してしまう)性質があるのだ。
普段はその感覚?声?を無視すること多いけれど、
きちんと自分の感覚に耳を傾けてあげよう、と。
感じたことを人に言ったら変と思われると思い、封じ込めるのはやめよう。。

そんなことに気付かせてくれた【彼】に、感謝。
選んでくれて、呼んでくれて、出会わせてくれて、こちらこそ、ありがとう。


追伸
お寺の帰りに、心身のリフレッシュのため
あのカフェへ行き
季節のパフェを食べました にやり

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