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1日10分の免疫学(28)T細胞と免疫⑩

本「パーフォリン、グラニュリシン、セルグリシンが標的細胞の細胞表面に結合すると細胞膜に穴を開けグランザイム細胞内部に注入される」
大林「アポトーシスの始まり…!」
本「そう。グランザイムが標的細胞の内部に達するとタンパク質分解カスケードが開始される」
大林「おぉ……タンパク質が分解されていくのか」
本「細胞分解するアポトーシスの過程は感染病原体に対しても作用する」
大林「えっ、細胞内部に侵入した病原体も分解されるの?!すげぇや、被害は内部限定の自爆スイッチみたいなもんだな」

本「細胞傷害性T細胞標的細胞5分間接触するだけで標的細胞を細胞死へと完全にプログラムする」
大林「最初で最後の5分の濃厚接触……!!!!!」
本「そして、細胞傷害性T細胞は次の標的細胞へと……」
大林「ということは、けっこうすぐに顆粒が増産されるってこと?」

本の図「最初の標的細胞は死に至り、2番目の標的細胞は死につつあり、3番目の標的細胞は攻撃されている」(「エッセンシャル免疫学第3版」P222、図8.24)
大林「言い方!!!!!!!!!!!!!!!!!」

本「CD4Th1細胞の最も重要な機能は感染部位でマクロファージが病原体を排除できるようにその成熟を助けることである」
大林「Th1はマクロファージの活性化かぁ……Th1細胞はキラーT細胞(CD8T細胞)の活性化をするって書いてる本を複数読んだことあるのだけど……」
本「エフェクターT細胞によるマクロファージの機能の統合的な亢進は、マクロファージ活性化macrophage activationと呼ぶ」
大林「そのまんまですな。NK細胞もマクロファージ活性化するんじゃなかった?CD4T細胞の方が活性化がすごいとかそういうの?」
本「マクロファージ活性化には2つのシグナルが必要で、2つともエフェクターTh1によりもたらされる。IFN-γ、CD40リガンド

◆復習メモ
サイトカイン(cytokine)
:細胞が分泌する低分子のタンパク質で生理活性物質の総称。細胞間の相互作用に関与する。
cyto(細胞)+kine(作動因子※)の造語
※kinein:「動く」(ギリシア語)に由来する

サイトカインの種類
ケモカイン(Chemokine)
:白血球(免疫細胞)を遊走させる(=感染現場に呼ぶ)

インターフェロン(Interferon;IFN)
:感染等に対応するために分泌される糖タンパク質※。(※タンパク質を構成するアミノ酸の一部に糖鎖が結合したもの)
  typeⅠはIFNα1~13、β1、ω1、ε1、κ1
 ★typeⅡはIFN-γ
  typeⅢはIFN-λ1~3

インターロイキン(Interleukin;IL)※見つかった順でナンバリング
:リンパ球等が分泌するペプチド・タンパク質。免疫作用を誘導する。
 現在同定されている(≒把握されている)のはIL1~30

腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor;TNF)
:その名の通り、腫瘍を壊死させる機能を持つ。
 TNF-α、β(LT-α)、LT-βがある。


大林「IFN-γTh1のサイトカイン代表格ですな。CD40リガンドということは、その受容体はマクロファージ側にある?」

wiki「リガンド(ligand; ライガンド):特定の受容体(receptor; レセプター)に特異的に結合する物質のこと」


本「そう。マクロファージ表面にある受容体CD40と結合する」
本「ちなみにCD8T細胞が分泌したIFN-γもマクロファージ活性化に寄与する」
大林「イェエイ!推し~!」
本「エフェクターTh1細胞とマクロファージの共役対が形成されてから、エフェクターTh1細胞がサイトカインを合成するのに数時間を要する」
大林「おぉ……、けっこうかかるな」
本「その間、2つの細胞は強固な接着を保ち、新たに作られたサイトカインは接着しているマクロファージにのみ作用する」
大林「えっろ!独占なの?!」
本「これはつまり、病原体由来の抗原を提示するマクロファージだけが選択的に活性化されるということ」
大林「おぉ…なるほど、活性化マクロファージの攻撃力はすごいもんね、やたらめったらと活性化するわけにいかない」
本「活性化マクロファージのつくる毒性のある殺菌物質はヒトの細胞や組織に対しても有害なので」
大林「よくできてるなぁ……人体、免疫システムは」

本「少し詳しく確認しておこうか。マクロファージ病原体ペプチドを提示しているということは?」
大林「マクロファージが病原体を貪食して、病原体はマクロファージの小胞内にいる状態……あ、なるほど!それで、その病原体に特異的なTh1細胞がぴったりくっついて、そのマクロファージを活性化することで、マクロファージの病原体を殺菌する能力を高めてるわけか!少し言い換えると、Th1細胞は自分にとっての特異抗原を提示してるマクロファージを認識したら、くっついて活性化させて貪食した病原体を完全に殺させる!」

本「特異抗原により活性化されたT細胞の一部は、Tfh細胞に分化する」

濾胞性ヘルパーT(Tfh: T follicular helper)細胞:B細胞の成熟と活性化,抗体産生を制御するヘルパーT細胞。


大林「Tfh細胞は、B細胞に抗体産生を促すんだよね」
本「それがT細胞のヘルパー活性として最初に同定された」
大林「へぇ~、最初にヘルパー細胞として認定されたのはTfh細胞によるB細胞活性化だったのか」
本「Tfh細胞は二次リンパ組織のT細胞領域からB細胞領域の近傍へ移動する」
大林「循環してるナイーブB細胞は、特異抗原に出逢ったらBCRでつかんで細胞内部に取り込み、ペプチドまで分解してMHCクラスⅡ分子で提示……同じ抗原に反応するTfh細胞と出会うと」
本「共役対を作る」
大林「するとどうなる?」
本「Tfh細胞CD40リガンドを作り、B細胞のCD40と結合し、この相互作用によりナイーブB細胞の増殖と分化を促し、形質細胞へと……」
大林「形質細胞は、B細胞の最終形態であり、抗体産生に特化した細胞ですよね。結合することで成熟するとか……えっろ。というかまた出たな、CD40リガンド。覚えておかなきゃ」

今回はここまで!

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