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#2. 孫正義さん、 消えないシロクマ 〜言葉のチカラ〜

人間は「言葉のエキスパート」

「え、ソフトバンク社長の孫正義さんと、シロクマって何か関係があったかな?」「ソフトバンクのCMに出ていたお父さんは、白イヌだよな?」と思いますよね?

ここに、人間のココロの悩みを生み出すメカニズムがあるというお話です。

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私たちは、生まれてからずっと、言葉のトレーニングをしています。お母さんが赤ちゃんに「これは、あんよだよ」というと、赤ちゃんは、足(体の部位)=ANN YO(発音)が同じものだと分かります。成長して文字を書くようになると、足(体の部位)=A SHI(発音)=あし・アシ・足・脚(文字)が関係づけられます。

私たちがマスターしているのは、言葉だけではなく、言葉を使ってモノとモノを関係づけるアタマの自動操縦機能なのです。だから、「孫正義さん」「シロクマ」と何の関係もないものどうしでも、単語を見た瞬間に、何かの関係を持たせようとしてしまいます。

この言葉のチカラはかなり強力で、私たちの行動すら変えてしまうのです。(え、本当?)

おばあちゃん=キムチ=韓国

10年ほど前のカンブリア宮殿で、孫正義さんが、小さい時に大好きだったおばあちゃんが、嫌いになってしまった理由をこう話されています。

「あれほど大好きだったおばあちゃんが、物心ついた時には嫌いになってしまいました。おばあちゃん=キムチ、キムチ=韓国。そうするとそれ(韓国籍)に関するさまざまな生きていくのに辛いことがあるんです。」(Youtube 引用

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孫さんにとって「おばあちゃん」は愛する家族だったのに、「生きていくのに辛いさまざま」を連想させてしまうために、ネガティブ感情をもつようになってしまった。ここで孫さんの行動を変えたのは、言葉のチカラ、つまり「おばあちゃん=キムチ=韓国=生きていくのに辛いさまざま」という関係づけです。

この関係づけの対象は、自分自身にもなります。「私=みんなに愛されてる=価値のある人間」とか「私=失敗だらけ=価値のない人間」「私=太ってる=魅力のない人間」など・・大抵、私たちが悩みをもつのは、この関係性が強固で簡単に変えられない自分のストーリーになっていたりします。

え? じゃあ、この関係性を消せば、ココロの悩みは消えるの?

思考はコントロールできない

ここで実験をしてみましょう。「まず、この写真を見てください。次に、画面から目を1分ほど離して、シロクマ関係の物事を絶対に考えないでください!」

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どうですか? 考えるなと言われても、「白くまって、アイスあったよなぁ〜」とか「シロクマがダメなら、ペンギンでも考えるか。あれ、ペンギンがいるのは南極で、シロクマは北極か」とか、何となく関連する物事が出てきてしまいませんか?

私たちは自分の思考をコントロールしようとしても、できないのです。関係づけを働かせるアタマの自動操縦機能があまりにも便利なので、知らないうちにこの機能を使ってしまい、シロクマを消せないのです。

では、消えない悩みはどうするの? 考えないようにすればするほど、考えて悩みますよね。(次回に続く)


--本記事のイラストはfreepikおよび著者よりライセンス取得済みです--

カンブリア宮殿:https://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/

2010/0830/

Youtube画像:https://www.youtube.com/watch?v=fBNs_S2Cqs8

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