【インタビュー】音声ガイドナビゲーター・神尾晋一郎さんに聞く。京都市京セラ美術館で開催「上村松園展」の魅力
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【インタビュー】音声ガイドナビゲーター・神尾晋一郎さんに聞く。京都市京セラ美術館で開催「上村松園展」の魅力

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京都市京セラ美術館がリニューアルオープンしてから約1年。現在、「京都市京セラ美術館開館1周年記念展 上村松園」が開催されています。1974年に同館で開かれた「生誕100年記念 上村松園展」から約50年ぶりの松園展で、最初期から絶筆にいたるまでの代表的な作品100点余りが大集結!話題の展覧会です。

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本日は、その「上村松園展」で音声ガイドナビゲーターをつとめる、声優・神尾晋一郎さんのスペシャルインタビューをお届けします!収録後に、特別にお話しを伺いました。

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■人に向けて文章を読む、イコール一番自分が内容を理解してないといけない

―美術展の音声ガイドナビゲーターを務めるのは初めてだそうですね。収録を終えて、いかがでしたか?

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神尾さん こういった美術館の音声ガイドなど、アカデミックな仕事に元々興味がありました。ですからこの機会を頂けて本当に嬉しいです。普段ナレーションを読む時もそうですが、人に向けて文章を読むイコール一番自分が内容を理解してないといけないと思っています。このお話が来たときに、たまたま上村松園の文章を結構読んでいたので、「砂書きの老人」を朗読したり、「今日になるまで」を読んだり、やはり朗読する過程でどういった人だったのか調べる作業と同じで、この音声ガイドに向けて上村松園の人となりや人生なども調べたこの2、3週間だったような気がいたします。

■松園さんの作品から、最終的に僕の中で見えたのは「女性の力強さ」

―なるほど。そうした松園さんの人生について知ったうえで、作品からはどんな印象を受けましたか?

神尾さん 松園さんの若い時から、だんだん年が重ねていくにつれて、はじめは装飾であったり、お着物だったり、髷など、自分の見せたいものが明確にあるところから、徐々に女性としての全体像みたいなものに、どんどん迫ってきて、最終的に僕の中で見えたのは、女性の力強さになります。絵のタッチは繊細、肌もすごく白い、それなのに美しいよりも健康に見えるというか、エネルギーを感じるようなものになっていくというのが、本当にあの時代背景でしか生まれ得ない絵なのではないか、というふうに感じました。

―収録では、どんなことに気を付けて読まれたのでしょうか?

神尾さん 音声ガイドには、一切自分の想いは入れないというところと、しっかりと言葉の意味を理解してナレーションするということ。根底にはあるんですが、音に自分の想いがない分、聴き手にちゃんと考える余白が生まれるんじゃないか。そういうところを意識いたしました。ナビゲーションというところで、主役ではないので、絵の理解が進むような読み方だったり、聞きやすい発音・高低を意識しております。

―音声ガイドをお聴きになるお客様に、どんな風に展覧会を楽しんでほしいと思いますか?

神尾さん 例えば、もともと上村松園さんに興味があって来場する方に関しては、本当に自分の音声ガイドを聞いて、「上村松園についての理解が深まった、楽しく作品を見れた」という感想をいただけたら、それが一番です。または、たまたま神尾というフィルターをきっかけで見に行くよという方がいらっしゃったら、それが動機となって、上村松園さんはもちろん、日本画であったり、明治から大正にかけての美術、芸術という分野に興味を持って頂けたらうれしいなって思います。

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神尾さん 可能であれば2回見てほしいというようなイメージを持っています。まずは音声ガイドを使わずに自分の目で見たものをそのまま感じてもらって、それを頭の中で色々とこうふくらませてから、改めて「ちょっと音声ガイドも聞いてみようか」という、一つの選択肢として使っていただけるのが・・・本当はもっと勧めなきゃいけないのかもしれないんですけど。見るたびにイメージも変わるし、自分が持つ感想も変わる、またはその逆で何度見ても同じように感じる作品もあるかもしれません。そういった楽しみ方というのを、若者の美術館離れではないですけれども、やっぱりこう誰しもが行くような場所じゃなくなっちゃっているのが寂しいので、ぜひぜひみなさんに来ていただいて、たくさん見聞を広げて頂けたらいいなぁなんて思っています。

―普段それほど美術に興味がない方でも、こういう機会に楽しんでいただけると良いですね。

神尾さん そうですね。何より自分を応援してくださるファンの方たちは女性が多いので、この時代の上村松園さんの生き方だったりとか、意志の強さを感じてもらいたいです。また、上村松園さんは「筆を持てば、真に念頭に塵一つとどめず絵三昧の境地に入れます」という言葉を残していて、本当にもうそのためだけに生きています、みたいな。とても強い言葉ですよね。上村松園さんから何かしらの興味っていうのが生まれて他に派生していったら、こんなに嬉しいことはありません。

■お気に入りの作品は「焰」

焔


《焰》1918年 東京国立博物館蔵 ◎前期展示:~8月15日(日)まで

―今回展示される作品の中で、特に気になるものはありましたか?

神尾さん
 お気に入りの1点は「焰」です。以前「葵の上」に関わる朗読をする機会があったので、その流れもあってか「焔」は、本当にこうイメージがしやすくて、頭に内容や物語自体が入っている分、絵一枚ですべてを表現できている気がしてしまうというのが衝撃でした。この絵から受ける印象はまず怖さなんですけれども、怨念側に立った美しさじゃないですけど、相対したときの正面から見た美しさじゃない、裏側から見た美しさみたいなものも感じます。これは彼女の作品の中でもちょっと異色に見えて、かつその並べられたときの絵力の強さが半端じゃない。僕は一番この絵が好きかもしれないです。あとは後半の方の普段着でうつっている人たちですかね。あの晩年に描かれた方の絵は、全体的に本当にエネルギッシュなので。見てるだけで力をもらえるような気がいたします。

―神尾さん、どうもありがとうございました!

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神尾さんお気に入りの作品「焰」は、~8月15日(日)までの前期展示でみることができます。後期も名作揃いですので、ぜひ2度、3度と足を運んで楽しんでみてはいかがでしょうか?それでは、また😉👋(ウエムラ)

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―展覧会情報

松園京セラ

「京都市京セラ美術館開館1周年記念展 上村松園」
会期:2021年9月12日(日)まで開催中
   ◎前期 2021年7月17日(土)~8月15日(日)
   ◎後期 2021年8月17日(火)~9月12日(日)
会場: 京都市京セラ美術館 本館 北回廊1階(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで。
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)

―音声ガイド情報

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▶サンプルボイス試聴はこちらから
ナビゲーター:神尾晋一郎(声優)
特別出演:
山田諭(本展企画・監修)/上村淳之(日本画家、松伯美術館 館長)

収録時間:約30分
当日貸出価格:600円(税込み)※おひとり様1台につき。
前後期の展示替えに伴い、一部ガイド内容が変わります。

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