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うつ回復期に発見した喜び

 さて、タイトルはそれぞれ違いますが、うつの話が好評なので、4回目に突入です。とはいえそろそろ最終回です。違うことも書きたいので。

 前回は、料理で発見したことを書きました。病気になったから、きっとよく体に沁みて分かったことなのです。

 料理以外の生活面でも、いろいろ発見することは多かったので、そのあたりを今回はまとめて書きたいと思います。

「道具」は不自由な人にこそ!

 トップの写真は、私が10年以上愛用している自転車・サブナードです。そろそろタイヤがやばいみたいなのですが、この機種は販売終了してしまったので、またタイヤを替えて乗り続けようかなと思うぐらい気に入っています。

 ママチャリとスポーツ自転車の間、のサブナードは、大きな籠がついているので、もちろんママチャリとして使えます。

 タイヤが細めだからか、走りは快調。スピードが出ます。

 重量が軽い。ラクラクと持ち上げられるので、過密状態のスーパー前自転車置き場で奥に押し込められていても、持ち上げて取り出すことが可能です。坂が多い町に住んでいるので、夫からは、「電動自転車にしたほうがいいんやないか」とよく言われるのですが、できれば私は自分の足で漕ぎたい。運動不足解消にもなるし。そして、電動自転車だと、スーパーで奥に自転車を押し込められた時に取り出すのが大変だと思うのです。

 この軽やかに走れ、動かすのも簡単なマイ・サブナード。こいつのおかげで、うつの苦労が何割かへったに違いありません!

 というのは、前にも書きましたが、うつが悪いときって、体力が異常にへっているので、ちょっとした動作でも息絶え絶えになってしまうんです。

 当然、歩くのも大変です。休憩を何度もしなければならない場合もありますし、時間もかかる。元気な時には、かなり速足で人を追い越してばかりの私とは別の人のようになっていました。

 でも、自転車に乗れば、ペダルをこぐだけでラクなので、スイスイどんどん走れるのです。それもスピードが出るサブナード。風を切って元気な人のようにどんどん進めます。しかも視界も高くなる。自然と下を向きがちな顔も上がって、周囲の景色を楽しんだり風を感じたりします。

 もちろん籠があるので荷物も入れれば重さを感じません。買い物のたびに活躍する、ちょっと遠出して遊ぶときなんかも大助かりです。自転車のおかげで、日々の用事をこなす、遊ぶ、いろいろな面で本当に助かりました。

 家事とはちょっと違いますが、パソコンも、「これこそお助け道具!」と思いました。仕事のやり取りって、昔は電話が基本でした。私はどちらかといえば電話を掛けるのに勇気を必要とするほうなので、電話の時代だったら仕事を続けていくことはもっと困難だったでしょう。

 でもメールだと、相手の状態を推し量ることなく、自分の好きなタイミングで、文章も整理してきちんと伝えることができる。用件を書いたメールから、それを書いている私が、ドロンドロンな気持ちを抱えていたり、涙の跡がついていたりすることなんて、相手には分からないでしょう。そう、メールだと体調がバレないのです! そして、電話ほど勇気が必要ないから気軽に連絡ができるのです。

 声色でいろいろバレてしまう電話はもちろん、ヘタすると人格までバレてしまう手書きの手紙だって、困ります。ネットの時代になってよかった。

発見した、家事の達成感

 料理ができなかった時期にも、ほかの家事は分担通りやっていました。寝ている時間が長かったときも、寝たきりではなかったし、夫の負担があまりにも大きくなりすぎるからです。

 「名前のない家事」は手が回らない場合もありましたが、メインの掃除・洗濯はありがたいことに、家電というすばらしい助っ人がいます。掃除は手を掛けようと思えば際限がない分野です。幸い、私はそれほどきれい好きではありません(笑)。

 掃除機をかけるだけなら、邪魔なものをどかせる面倒以外はまあ、大丈夫です。頭も使う必要があんまりありません。ただ掃除機かけるだけですから!ゴミは機械が吸い取ってくれます。

 でもたまに雑巾をかけるなど、手を動かす掃除もやってみると、何だか思った以上の達成感があります。「私はやれた!」と思えちゃうのです。そして散らかりがちな部屋が、実はかなり汚れていた床が、きれいになっている。その爽やかさ!

 洗濯も、主には洗濯機がやってくれます。細かい部分洗いなんて、この頃はまったくしませんでした。今もシャツの襟ぐらいしかやりませんが。これは病気の前も後もそうなのですが、私はベランダで干しているときが好きなんです。特に今みたいな気候のいい時期。「家事している感」があるからでしょうか。洗濯物の水気が爽やかなのでしょうか。

 家事には面倒なことがたくさんあるし、やりだしたらキリがありません。どこまでやるかは自分の裁量ですが、家族の好みや協力によっても変わってきます。しかし、基本は「生活を整える」ことです。環境を整えることによって、スムーズに何かができる、気持ちがよくなる、満足する。そうして、食事を楽しんだり、寝そべってみたり、おしゃべりしたり、テレビを観たりと生活ができる。私の場合は仕事する、というのも入ります。

 その環境が整ったことで安心する、達成感がある。家事が目的なのではなく、あくまで手段です。だからそればかりやっていると虚しくなることもありますが、整ったのちの生活を考えれば楽しくなる時もあります。そういう「義務」をきちんと果たせた自分は偉い!と褒めてやることも、ときどきは必要なのではないでしょうか。そういうことを発見させてくれたのが、私の場合、うつという病気でした。




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