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鼻下長紳士回顧録が泣けてしまう話

安野モヨコの最新作コミックが完結し、先日発売された。

安野モヨコ世代としては嬉しいかぎり!マッシモ!!(byハッピーマニア)
やっぱり、出てくる女の子は可愛いし、男の子は甘いマスクでドキドキしてしまう。

ただ、今回、読んでいて泣けてきてしょうがなかった。


20世紀初頭のパリ。娼館「メゾン・クローズ」で働くようになったコレット。おかしなプレイをねだる変態紳士たち、恋人と自由を諦めない友人、
そして他の女へ入れあげ、2ヶ月も訪れて来ない恋人…。
連載開始から5年、変態紳士の集う娼館を通して、「欲望」とは何か?を
問うてきた物語が、ついにグランドフィナーレ。(某書店サイトからのパクリ)

20世紀初頭のパリの娼館なんて異世界の話もいいところなのに。
登場人物の心情やストーリーに感情移入してしまったのか。それとも作者のストーリーに対して勝手に共感してしまってなのか。


読んでいく途中で、
娼館で働いている女の子はよくいる普通の女の子たちだし、全財産を食いつぶして没落していく小説家も、残酷で人でなしの男も、全く現実離れした架空人物という訳ではないんじゃないか、と気付く。

多分、登場人物の心情やストーリーの中に、心の奥底に持っている感情の一部を見つけた気分になるのかな、と。


「娼婦になるような娘ってのは決まってる」
「美味しい食べ物やアルコール
  華美な衣服や鼻などに際限もなく金を費やし」
「部屋は散らかし放題」
「おしゃべり好きで落ち着いて何かをすることができず」
「絶えず刺激を求める」

つまりそれって割と普通の女の子でしょう。


人生に何の希望も持っていない、「そこまで」の欲望のない娘たち、
底なし沼にとどまってしまって夢の中から出てこれなくなってしまう女の子、

自分の心の奥底をひっくり返され日のもとに晒される気分。
(果てしない自意識がなせる技。)


欲望の為の物語は完結しない

「幸せ」について、じゃなく「欲望」について、てのがなんか良い。

つまり自分の求めているものは何か、自分の欲望やありたい姿について向き合い考えることは、多くの人にとって永遠のテーマなのではないかなと。

自分に向き合い続けるなんて、とても時間も根気のいることで、できない理由を見つける方がよっぽど簡単な気がする。
それをやり切れることは確かに変態的と言えるかも。

欲望とはなんなのか、自分は何を望んでいるのかを理解している、
そんな変態紳士たちには憧れさえ抱いてしまう。


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最近なかなか漫画も読む余裕ないな、と思っていたんだけど、
今回、思わず買いに走ってしまったのは、長年担当編集として携わっていた方のnoteを読んだから。


物語について、その世界観に浸るという意味では、作者自身のストーリーが事前に頭にある、って初めての体験だったかもしれない。

なので、この感想文はその作者自身のストーリーありきなところが大きいかも。

先に漫画読んでその感想をメモしてから、このnoteを読んで、そのあとに改めて読みたかったなあと思ったり、それだとまず漫画を手に取ることが先伸ばしになっていたかな、とも思ったり。

まあでも結果、このタイミングで読めてよかったのかもしれない。


最近、自分を向き合う、自分を深く知って言葉にする、という本や言葉によく巡り会う。

前々から多かったのかもしれないけど、今自分に取ってそれが必要なところにきているのかな、だからよく見かけるのかな、とも思う。

今年に入って、この担当編集さんである #佐渡島庸平  さん が主催している #コルクラボ  というコミュニティに参加させてもらったことも、深い理由も紹介もあった訳ではなく、ほんとたまたまではあったんだけど、いまの自分が求めている環境に飛び込むことができたのかな、と考えている。

この機会に徹底的に考えてみよう。変態的に。


「二番目に好きな女」が一番好き 

ああもうなんかこの一文だけで泣ける。

何があったんだ私w


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