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【WTCS横浜レースレポート“男子エリート”】

2024パリ五輪に直接関係するレースではありませんが、世界ランキングを上げて今後の選考対象大会に出場していくためにポイントを加算するレースになります。スタートリストがはWTCSランキングを優先したナンバー順になっているため、後半のレースナンバーでも有力選手がいるのが今大会。QF係数を用いてレースの選手層の厚さを測ります。

◯QF係数(Quality of Field)
レースにおける選手層の厚さを示す数値。今回は世界ランキング 1〜20位の選手の出場有無で算出しました。20名全員が出場すればQF係数100となり、この数値が高ければ高いほどレベルの高いレースとなります。

《QF係数82.0》
非常にレベルの高いレースになります。
東京五輪を制したブルンメンフェルト🇳🇴は欠場ですが、先週のIRONMAN世界選手権を制し二刀流を成し遂げました。2位のイー🇬🇧(No.29)、3位ワイルド🇳🇿(No.14)は出場、Super Leagueを盛り上げた2人がどんなレース展開を見せるのか注目が集まります。
日本勢は7名が出場し、中でも北條 巧(No.12)は昨年World Triathlonでも飛躍した選手として紹介されるなどトップ選手の仲間入りを果たしています。東京五輪代表の小田倉 真(No.43)は昨年、最終選考となったこの大会で一発逆転ともいえる16位でフィニッシュし、東京五輪の切符を手にしました。

◯注目選手
スイム:ルイス🇫🇷(No.5)・バンリール🇧🇪(No.27)
バイク:ワイルド🇳🇿(No.14)・ショームブルグ🇩🇪(No.20)
ラン:イー🇬🇧(No.29)・ミスローチャック🇨🇦(No.8)

SUPER LEAGUEのような超短距離レースで絶対的な力を持っているルイスがスイムにおいてはレースを作っていくことが予想されます。バイクではマウンテンバイク選手でもあったワイルド、昨年途中まで逃げをみせたショームブルグ、ランでは5000m13分台ランナーのイーや東京OQE(2019)で優勝したミスローチャックがトップレベルの走りを見せてくれると予想します。

《日本出場選手》
北條巧:WTR 16位
ニナー賢治:WTR 38位
佐藤錬:WTR 57位
安松青葉:WTR 67位
小田倉真:WTR 68位、前大会16位
内田弦大:WTR 81位
古谷純平:WTR 106位

水温20.4度、気温21.9度のコンディションの中、ポンツーンスタート。

〜Swim1500m(750m×2周)〜
横一列からいち早く飛び出したのはガンデルセン🇳🇴。パリ五輪に向けてノルウェーという国として選手強化を図っているのがわかります。ブイ周りでのバトルが激しく北條はここで大きく順位を下げます。 1周目の終盤になるとスイム巧者のルイス🇫🇷が前にでて先頭で 1周目を終え、2番手に古谷🇯🇵が続きます。同じ集団に小田倉・ニナー・北條で2周目へ飛び込んでいきます。

2周目に入ると古谷が徐々にスイム集団に飲まれていきます。序盤のバトルで後ろの位置にいた北條が徐々に前にポジションを上げていきます。先頭のルイスは変わらず、2番手3番手もフランスのコナンやモルレックが泳いでいきます。バイク集団形成の切れ目はどこになるのか気になりながらスイムアップしてバイクへ移ります。先頭から13秒以内に北條・古谷・ニナー・小田倉、日本勢5番手の安松が21秒差の31位でスイムアップし、先頭集団に入れるかどうか。

〜Bike40km(4.4km×9周)〜
人数と足並みの揃っているフランス勢が少人数逃げを狙う中で、それを阻止するためにハイペースで進んでいきます。 1周目を終える頃には昨年に続き大きな集団となります。先頭31名には安松を含め5名の日本選手が入り、早くもランニング大会の予感。
Lap1
先頭31名ー+14s 5名ー+24s 4名ー+50s 3名
50秒差の第4集団で佐藤と内田を含んだ3名の集団が必死に前の集団を追います。

Lap2(5:58) /Lap3(6:16). /Lap4(5:56). /Lap5(6:10)
先頭38名 /先頭38名  /先頭2名  /先頭38名
10名 / 10名 /+3s 36名 / 10名
             /+52s 10名
2周目を終える頃には第3集団までが先頭集団に追いつき、38名の先頭集団。
大集団でサイクリング状態になった集団から4周目にパイエ(LUX)、ウィリアン🇦🇺が集団から抜け出しレースを動かそうと試みます。しかし後続がそれを許さず 1周もせずに吸収されます。

Lap6(6:05) /Lap7(6:00). /Lap8(6:16). /Lap9(6:06)
先頭38名 /先頭38名 /先頭38名  /先頭38名
10名 /+54s 10名 / 10名 /+46s 10名
バイク中盤以降は大きな動きはなくレースが進みます。最終周回に内田・佐藤と含む10名の集団が若干差を詰めてランに移ります。

〜Run10km(2.5km×4周)〜
優勝候補の1人であるワイルド🇳🇿が積極的にレースを牽引していきます。スイム・バイクを終えてからの最初の 1kmは2分49秒!ここにイー🇬🇧・ベルジェ🇫🇷・ルコー🇫🇷がついて先頭集団は4名になります。通過順位は北條・ニナー12秒差の9位・11位、小田倉18秒差の15位、安松39秒差の30位。なお、ペースの上がらないルイスは 1周目でリタイヤしてレースをやめます。
Lap1 7:04(2:49/km)

2周目はワイルドとイーの優勝候補のサイドバイサイドになります。後続でも有力選手の集団となり、表彰台争いも面白くなってきます。通過順位はベルジェ🇫🇷13秒差、ルコー🇫🇷21秒差、北條・ニナー・小田倉47秒差の9位集団。
Lap2 7:09(2:50/km)

3周目に入ると9位集団から北條・ニナーが遅れる中で小田倉は残り、ここで日本勢のトップを走行します。小田倉は昨年のこの大会で五輪切符を獲得したこともあり、相性の良いレースだと改めて実感します。
Lap3 7:18(2:55/km)

先頭の2人がどこで仕掛けるのかに注目が集める中で最後の最後までアタックせず、ラスト100mのブルーカーペットでイーが仕掛け、その切れ味にワイルドもお手上げして勝負あり。9位集団だった小田倉もブルーカーペットで最後の力を振り絞り、昨年の16位を大幅にランクアップさせる9位でフィニッシュしました。
Lap4 7:23(2:57/km)

優勝イー(🇬🇧)
2位 ワイルド(🇳🇿) +10s
3位 ベルジェ(🇫🇷) +29s
4位 ハウザー(🇦🇺) +39s
5位 ルコー(🇫🇷) +47s
6位 コナン(🇫🇷) +55s

トライアスロンのトップ選手層が若返っていくと共に、4位のハウザーはエリートカテゴリーでの自身最高順位でフィニッシュ。入賞圏内にフランスが3人入るなどトライアスロン大国を強さを見せつけた。

〜日本勢:エース的考察〜
9位小田倉真(+1:33):バイクでは集団後方待機が目立ち、足を使ってしまわないか不安視していたのを払拭する安定した走りで粘りある走りで9位。
17位北條巧(+1:52):序盤の1km2分50秒というハイペースに果敢挑んだ北條、今後のパリ五輪選考基準大会での活躍に期待。
27位ニナー賢治(+2:34):バイクでは集団の中で走行。3周目まで10位台で粘るもランの終盤で大きくペースが落ちてしまい、ラスト 1周で 先頭から1分近く離されてしまった。
34位古谷純平(+3:43):スイム序盤での好位置スタートからバイクでも積極的に集団牽引を行った。昨年はまさかのパンクリタイヤだっただけにこの大会の嫌な印象を払拭できた。
38位内田弦大(+4:21):WTCSレベルに初出場、第2集団でのレースなったが、経験とポイント加算し、戦えるレベルに上がっていってほしい。
41位佐藤錬(+5:03):スイムバトルによりスイムで出遅れてしまい、良い流れでレースを進めることができなかった印象が残る。
43位安松青葉(+7:02):WTCSレベルに初出場にして先頭集団でレースを展開。バイクが苦手なだけに集団後方に追いやられ、ランに移るまでに足を使い過ぎてしまった。

次のレースからはいよいよパリ五輪に関わるランキング対象大会となり2年間のランキング争い、そして国別の出場枠数争いなど注目していきましょう!

そんなこんなでエースレースレポートはコツコツ執筆していきます。

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