オールカマー ~G1馬レイパパレの武器とは~


お疲れ様です。
今週はオールカマーに出走したレイパパレに注目したコラムを書いてみようと思います。レイパパレはどんな馬なのか、なぜ敗れたのか、次はどこで走るのか考察しましたので、お時間ある方は目を通して見てください。


まず、このオールカマーというレースで僕はレイパパレをこう評価しました。

まず、この推奨文を解剖していきます。
レイパパレの武器は主に2つだと思っていて、
ギアチェンジ力
前半部のパワー型基礎スピード

では詳しく見ていきましょう。


ギアチェンジ力

この馬(ここでは気性面を省く)はストライド走法で走る馬です。

一般的に、

ストライド走法
→脚の回転が遅く、長く脚を使う持続力がある。
ピッチ走法 
→脚の回転が速く、コーナーを曲がったり瞬発力がある。

という解釈が競馬界には広まっています。ただ、個人的にはこの解釈には一石を投じたいと思っています。
その根拠として簡略に話すと、今年の皐月賞馬でダービー2着馬エフフォーリアに由来されるようにストライドが広くてもスッと瞬発的に加速出来る馬はいますし、本日の3勝クラスを勝ったレディバグのようにピッチ走法の馬でも加速が遅い馬も存在するからです。

つまり、走法というのは明確にその馬の適性を紐付ける程の根拠とはならず、あくまで"なりやすい"程度のものでしかないと思っています。

少し脱線しましたが、レイパパレは上記に記載したエフフォーリアと似た分類でストライドは広いですがギアの上げ下げが上手いタイプだと捉えています。(正確には違うが走法≠特性という意味で)

レイパパレが加速のスムーズさを見せたのが1勝クラス戦や2勝クラス戦で、特に2勝クラスの新潟外回りではスローペースからの急加速で加速力を見せていました。

僕の解釈では加速力→ギアを上げる
ギアチェンジ力→ギアを入れ替える上手さ
だと思っていて、この時点では「加速力がある馬だな」と思うに留まっていました。

その上でギアチェンジ力を証明したのが大阪杯。こちらは後述します。



前半部のパワー型基礎スピード

難しい用語が並びましたが、前半部のパワーというのはタフな馬場であること、基礎スピードというのは追走力があるということです。
つまりはタフな馬場&速い追走に対して耐性があるということです。

この武器が生かされたのが3勝クラスを突破した大原S。
京都外回りというのは3コーナーあたりの坂によって中弛みが起きやすく、速→緩→速のようなラップになりやすいコースです。
しかし、このレースを表すなら速→速→速で前半からタフな馬場で速いペースを刻んで更に加速を重ねるラップ構成でした。
前半スローペースで進めたなら理解はできますが、厳しいペースから脚を伸ばせたのはこの馬が前半部に対して耐性を持っていたからだと判定できるでしょう。


以上がレイパパレの武器だと思っていて、その2つが重なって強さを発揮したのが大阪杯であると思っています。

大阪杯レースラップ↓

12.4-11.1-12.1-12.1-12.1-
12.8-12.2-12.1-11.6-13.1

激しい降雨によってタフな状態となった馬場で、1000m59.8のペースを逃げたのがこの馬です。

まず、この時点で➁の武器(前半部のパワー型基礎スピード)が生きた格好でした。
他馬はこの馬場とペースという二重苦によってかなり苦しい走りになったのは間違いなく、最も先行負荷が大きかったのにも関わらず上がり最速タイが逃げたこの馬であったことからもそれは明らかでしょう。

そして、何より特筆すべき部分は12.8の中弛み部分。11.6の再加速部分です。

この12.8の中弛み部分で加減速負荷がありましたし、縦長だった隊列が凝縮したことで差しに向く流れとなりました。
更に違いを見せたのが11.6の再加速。ただでさえタフな馬場&速いペースの追走に苦労する状態でこの再加速に付いていくのはグランアレグリア、コントレイルすらも難しかったのが映像を見ると分かります。

このようにタフ馬場でペースを上げて基礎スピード面を生かしながら、ギアの上げ下げを上手く行うことで厳しい展開を作り上げて勝つ、という武器を生かす競馬が出来たからこそG1での圧勝だったと言えるでしょう。




以上のことを踏まえた上でオールカマーを見ていきましょう。

レースラップ↓

12.6-11.1-12.4-12.2-12.4-12.1-
12.0-11.8-11.5-11.7-12.1

まず、中山2200mはスタートから登り坂が長らく続くコースで前半のペースが引き上がることが殆どありません。
また、今回の馬場状態は良馬場、寧ろ高速馬場に近いコンディションで馬場的にも持続力>ギアチェンジ力。この時点で武器であるパワー型基礎スピード、ギアチェンジ力がそこまで強調されないバイアスでした。

その上で後半のスパートの形を見ても長く脚を使う展開。この馬の最大のパフォーマンスであった大阪杯と比較すると明らかに能力の方向性が異なっていました。

このレースで必要とされたのは、
ロングスプリント
コーナー負荷の少なさ
であったと考えられます。

➀としてロングスプリントですが、他馬比較で絶対的強みであるギアチェンジ力が問われなかっただけで、チャレンジCで見せたように持続能力も決して低い訳ではない馬です。
ですので、この点はさほど問題はなかったと思いますし、推奨文で記載したようにチャレンジC程度の能力はここでも見せていました。

ただ、単純に比較した時にチャレンジCはG3で、この馬より先着したのはG2制覇の二頭とG1馬ですから、この能力で勝負するレースではG2善戦程度であると考えるのが妥当でしょう。


➁はやはりコーナーで速いラップを踏んでいるので内にいた方が有利であったのは間違いありません。内ラチ沿いにいた1.2着馬よりは少差ではあるものの外を回した分は多少はあったかと思います。それでもその負荷を最も受けたのは該当ゾーンで外を押し上げていったグローリーヴェイズですし、言い訳は出来ない内容でした。



このオールカマーを終えての僕のレイパパレの評価はこうです。

1.武器を生かせればG1級だが、能力だけでG2勝ち負けとはならないレベルである。
2.他馬との相対的に武器が生きやすくなるため、馬場や展開はパワー質>スピード質
3.前半質>後半質でベクトルが反対に向きやすい東京コースなどでは疑問視


勿論、状態面や気性面、また逃げさせたくない川田騎手の意識もレースに考慮すべき点だと思います。レイパパレという馬は気性的にも行きたがるので前半部が速い展開を好むので。

ただ、あくまで今回はレイパパレの武器についての考察としたので、その点についてはあまり触れませんでした。次走以降はその点なども考慮するべきだと思います。
何にせよG1馬ですから、武器を生かして心が躍るようなレースを見せてくることを期待したいと思います。

それではまた週末にお会いしましょう。
読んで頂き、ありがとうございました。



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