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速読からの、解放。

読書は自由だ。

大人になるにつれて薄れつつあった感覚を呼び覚ます本と出会った。

京都大学在学時のデビュー作『日蝕』で”三島由紀夫の再来”と謳われ、
『マチネの終わりに』、『ある男』の著者として知られる平野啓一郎氏による
『本の読み方〜スロー・リーディングの実践』
を紹介したい。

本屋のビジネス本や新書コーナーで必ず目にする
”速読”
の反対であるスロー・リーディングを提唱する内容だ。

スロー・リーディングとは読んで字の如く、ゆっくり(じっくり)読むという手法。

本書では平野氏の読書への思いや同氏(そして作家)目線からの味わい方が優しい言葉で綴られており、非常に読みやすい

またスロー・リーディングを行うことで気づける
夏目漱石、森鴎外、カフカなどの名作に隠された仕掛けや超絶技巧が
わかりやすく解説されている。

個人的には本書を読む前にはなかった、
作家の超絶技巧に唸るという感覚を発見できたことが嬉しい。

そしてなにより本書は
速読できる人=デキる・センスある人というイメージからの解放
が大きなテーマだと感じた。

たしかに情報が溢れる今日、
短時間での情報処理は求められるスキルの1つであるため
速読は大変意義のあることだろう。

しかしデキる人・センスある人でありたいという
ある種の天才に憧れる必要はなく、
納得できる読書をすればいい。
”デキる人間でありたい”という強迫観念に流されない読書は
豊かな読書と呼べるのではないだろうか。

自分のペースでいい。

仕事はそうもいかないだろうが、
本を読む時間だけは自分らしく、そして本と自分だけの世界に浸りたい。

そんな思いを抱える人。

オススメです。

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