見出し画像

北野武『HANA-BI』この美しい冷たさは不幸なのか?

 再び観終わって、美しい終わりに、落ち込んでいた自分はまた気持ちが冷たくなる。どんな暴力的なシーンよりもラストの2つの銃声は悲しかったし、美しくもあった。
 キタノ・ブルーという海や空の青の色使いよりも、個人的には画面の動きに惚れ惚れした。薬師寺保栄との事件のシーンは重要なシーンだし、残酷なシーンだが、スローモーションによる役者たちの動きに、あり得ないほど釘付けにされた。
 逃避行中の岸本加世子との笑いのシーンは、本作で一番幸せなシーンであるし、ラストの抱くともなく抱く絵で、久石譲の音楽とともに、物語は集約された。
 この映画が北野映画の最高峰ではないだろうか?全てのシーンが筆で書き殴るように描かれ、そのそれぞれが共鳴し合って、一つの作品に編み上がっていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?