監査における不正リスク対応基準

取引先企業の監査人との連携は、守秘義務の解決すべき論点が多いことから、今後の検討課題とされ、現行の不正リスク対応基準は、いわゆる循環取引のように被監査企業と取引先企業との通謀が疑われている場合においも、監査人に対して、取引先企業の監査人との連携を行うことを求めていない。

監査人が想定される不正の態様等に直接対応した監査手続きを立案し検査計画を修正するとともに、修正した監査計画に従って監査手続きを実施しなければならないのは、不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況でなく、不正による重要な虚偽の表示の疑義がある場合である。

不正リスク対応基準が設定されたことによっても、被監査企業に不正による財務諸表に重要な虚偽の表示を示唆するような状況がないような場合や監査人において既に不正リスク対応基準に規定されているような監査手続等を実施している場合には、それまでの監査基準に基づく監査の実施と基本的には変わらない。

不正による重要な虚偽の常時を示唆する状況において、関連して入手した監査証拠に基づいて経営者の説明に合理性がないと判断した場合や、識別した不正リスクに対応して追加的な監査手続を実施してもなお十分かつ適切な監査証拠を入手できない場合には、不正による重要な虚偽の表示の疑義があるとして扱わなければならない。

Source: 監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準の設定について


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