湖遊館新駅が、待っている
コロナが猛威を振るっている。ヒト、モノ、カネ、すべての動きが止まった。家から出ることができず、自宅の最寄りから一駅、二駅移動することすら贅沢と感じる。しかしやまない雨はないという言葉があるように、この日常にも必ず終わりはくると信じたい。
コロナが収束したら、この日常を飛びだして、まだ行ったところのないどこか遠い所へ……。とお考えの読者もたくさんいるに違いない。私も間違いなくその1人だ。そこで今回、私が今まで行ったところから、コロナ収束後にぜひとも行ってほしい場所を紹介したい。あらかじめ断っておくが、あまり写真を撮っておらず、なにかの記事を書くことも今回が初めてだ。稚拙な記事になってしまうかもしれないが少しでも私が紹介する場所について興味を持ってくれれば幸いである。
さて本題に入ろう、私が今回紹介する場所は
湖遊館新駅である。
この駅は一畑電車という、出雲と松江を宍道湖の北側を通って結ぶ路線の駅である。人がいない無人駅だ。(以下のリンクをクリックすると一畑電車の路線図を見ることができる)
(一畑電車の写真、色々な車体があって楽しめる)
「じゃあ出雲大社とか松江城があるだろう!」と思われた方もおられるだろう。しかしこの湖遊館新駅では出雲大社や松江城では体感することのできない魅力がある。今回私がこの駅のスポットで紹介したいのは
1宍道湖湖畔からの景色
2宍道湖自然館ゴビウス
3湖遊館新駅での私が得た忘れられない体験、「線路から聞いた音」
の3つである。
まずは宍道湖湖畔からの景色だ。ここのすばらしさ、それは広大な空と湖、その先にある山々だ。何か目立つものがあるわけではない、しかし何もない故の贅沢がそこにはある。私が2年前、ここで撮影した写真を見てほしい。
とにかく、とにかく広い。ここまでの開放感を味わえる場所は日本では数えるほどしかないだろう。私がここに行ったとき、湖畔の芝生に座ってひたすらこの景色を眺めていた。気がつけば30分以上はたっていた。このだだっ広い景色を見ていると、些細な悩みが小さく思えてきて、スーッと心が落ち着いてくる。ずっとここにいられる、そう思った。私の人生で最も贅沢な30分だった。間違いない。コロナ収束後にこの湖畔に来たら、今までたまった閉塞感を一瞬で吹き飛ばしてくれるだろう。
次に駅の近くにある水族館。宍道湖自然館ゴビウス(http://www.gobius.jp)である。
この水族館の最大の特徴、それは「淡水と汽水域の生き物が主人公」の水族館である。(ちなみに汽水域とは淡水と海水がまじりあう河口付近のエリアを指す。)
(写真をほとんど撮っていないのでパンフレットを用います。すいません…)
水族館の主人公と聞いて思い浮かぶのは、おそらくイルカやペンギン、カラフルな熱帯魚や海水魚だろう。いっぽう淡水魚は色も地味で、大きさも海水魚と比べて小さい。水族館では日の目を見ない存在だ。しかしこのゴビウスでは彼らの生き生きとした姿を目の当たりにできる。海に比べて圧倒的に狭い淡水や汽水域が、いかに多様性に満ちていて、素晴らしいのかを思い知らされるのだ。
さらにこのゴビウスで見ることのできる生物はすべて島根県の水辺に暮らす生き物たちである。もちろん宍道湖に暮らす魚たちもいる。自分が島根を旅する中で見た川や湖に、すぐ近くの宍道湖に、彼らが生きている……と考えを巡らすことができるのもこのゴビウスならではだ。
私の一番のお勧めはこの宍道湖・中海ジオラマ水槽だ。パンフレットの写真では伝わりにくいかもしれないが、狭い通路を通った後に、急に開けてドンとこの水槽が現れる。私もこの迫力には圧倒された。
宍道湖の隣には中海というもう一つの湖があり、この2つは川で通じているが異なる塩分濃度を持つため生息する魚が全く違う。先ほど書いた、「多様性」。まさにこれを実感できる水槽だ。
さらにゴビウスにはもう一つジオラマ水槽がある。淡水の水族館でここまで充実しているのはなかなかない。
ちなみにこの水族館にはヘルメット水槽やタッチプールなど、子供も楽しめる施設もある。値段も大人で500円、小中高校生で200円とお得だ。ぜひとも足を運んでほしい。
唯一私がゴビウスで撮ったコイの写真。このコイは一番最後の大型水槽で見ることができる。ちなみにこの写真ではわかりにくいが、このコイ、めちゃくちゃデカい。近所の公園の池にいるコイよりも間違いなく5倍以上の大きさがある。まさに宍道湖のヌシだ。ぜひとも生で見ていただきたい。
最後に私が湖遊館新駅で体験したエピソードについてお話ししたい。私は宍道湖の湖畔の景色を満喫し、ゴビウスで生き物に熱中し、出雲駅に帰るために電車を待っていた。
(駅舎を撮影した写真がないのでストリートビューです。。。)
するとまだ電車が全く見えないのに「ガタンゴトン」と音がしたのである。どこから音がするのかと思ったら線路から音が聞こえていたのだ。これはいったいどういうことなのか?後で調べてみるとどうやら音が伝わるのは空気中よりも金属のほうが速いらしい。あの時線路から音が聞こえたのはそれが原因だったのだ。しかしこの音は私にとって決して忘れられない、かけがえのない音になった。
その後、旅行や通学で数え切れないほど電車に乗ったが一度も線路からの音を聞くことはできなかった。おそらく駅の構造や周りの音が原因であろう。湖遊館新駅の周りには邪魔なものは何もなく、極限までシンプルだ、だから聞けたのだ、線路からの「ガタンゴトン」を。ぜひ湖遊館新駅に行くときは車ではなく電車で訪ねてほしい、ここでしか聞けない、湖遊館新駅の「ガタンゴトン」の音を聞いてほしい。
(湖遊館新駅から取った写真。極限までシンプルという意味が分かるだろう)
長々と書き連ねたが、湖遊館新駅の魅力が少しでも伝わったら幸いである。もしかしたら、写真が少なくてあまり伝わらなかったという意見もあるかもしれない。もともとブログに書くためではなく、完全に私の個人的な旅で訪れたので、そこは申し訳ない。
しかし私があまり写真を撮らなかったのはもう一つ理由がある。写真に撮ることに時間を割くのではなく、この場所を五感で感じ、心に刻みつけておきたかった。それぐらい良い場所だった。この記事をここまで見てくれた読者の方にはぜひとも、この湖遊館新駅を訪れたいただきたい。最高の開放感、生き物たちの美しさ、ここでしか聞けない音。。。写真を撮るのも忘れるぐらいの素晴らしい風景と体験が待っている。
最後に余談だが、湖遊館新駅の周りには飲食店が全くないため、行くときには必ず軽食や弁当を持っていくことを強くお勧めする。私はきっと飲食店があるはずだと思って行ったため、結果としてゴビウスのお土産ショップに売っていたハッピータンと、自販機のコカ・コーラで腹ごしらえをすることとなった。
(帰りの車内にて・・・)
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