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【対談】奈良女子大学 × アカリク:新たなキャリア支援の可能性を切り拓く

2024年10月1日(火)、株式会社アカリクは奈良女子大学と「連携と協力に関する協定」を締結しました。これに伴い、10月28日(月)に、高田学長をはじめとする奈良女子大学のみなさまと、アカリクの山田代表、「アカリクラウンジ」プロジェクト統括の伊藤マネージャーによる対談が実現しました。

本記事では、協定締結に至る背景や大学院生のキャリア支援に関する課題についての議論を中心に、対談で交わされた幅広い意見や今後の展望について、一部を抜粋しご紹介します。


協定締結に込めた思い:「やってみないと変わらない」

高田学長
今回の協定を含む取り組みは、少しでも新しいことがプラスになるなら『やってみる』というスタンスで始めました。アカリクも参画している、政府による「博士人材の民間企業における活躍促進に向けた検討会」もそうですが、大学院生のキャリア支援を推進するのは、そこに課題があるからですよね。簡単ではないのは承知ですが、何もしなければ変わりませんから。できることから少しずつトライするのが重要かな、と。

山田社長
そうですね。先日連携協定を締結した奈良先端科学技術大学院大学でも、同じように「まず試してみる」と仰っていました。キャリア支援部門のみなさまと協力しながら、イベントを運営したり、学生のキャリア面談をアカリクで代行させていただくなど、新しい連携がスタートしています。

写真右側より 奈良女子大学 高田学長、山内副学長、遊佐研究科長、河原特任教授、今田特任助教

高田学長
アカリクは社員に学位を持っている方が多いですよね。アカデミアの現場をよく知っている方が大学や学生と連携するのはユニークですし、そういう会社ならではのサポートを期待しています。

山田社長
はい、実は現在の内定者を含む全社員の約19%が博士課程経験者で、社員の約10%が博士号を持っています。新卒採用者に限っては、6~7割が博士課程出身者なんです。狙ってそうしているわけではなく、他の候補者の方々と同じように採用選考を行う中で、やっぱり博士課程の学生は優秀な方が多く、自然とそうなっています。当然入社後の待遇には、学部卒・修士課程修了と博士課程修了では差をつけています。


これまでの連携・協力から見えた手ごたえ

高田学長
アカリクとはこれまでも少しずつ連携してきたかと思うんですが、その経緯を今一度振り返ってみましょうか。

河原特任教授
昨年、奈良先端大のアカリクラウンジのオープニングセレモニーに参加したのがきっかけでしたね。私が就職支援をしていた学生が、アカリクのエージェントを利用して内定を決めた事例もありました。その他、セミナーを開催してもらったりしながら、少しずつ距離が縮まったと感じています。そんな中で今回、奈良女子大でも今後さらなる連携のための協定を締結しようという話になりました。

今田特任助教
そうですね、奈良先端大で飲んだアカリクラウンジのコーヒーが美味しかったのを覚えてます(笑)。博士後期課程の学生にとって具体的な就職先を提示するのは難しいことが多いので、今までも何度もアカリクの伊藤さんにお願いしてきました。これからも連携しながら支援を強化していけたらと思っています。


文系大学院生の就職支援と多様なキャリアの可能性

遊佐研究科長
文系の大学院生の就職もやっぱり大きなテーマなんですよね。一緒に取り組んでいければと考えています。

山田社長
おっしゃる通りです。アカリクでも博士課程出身者のうち30%が人文社会系で、マーケティングやキャリアコーディネーター、イベント運営など、様々な分野で活躍しています。アカリクとしてもこうした事例を発信していき、社会の受け皿も少しずつ広がるといいなと考えています。

遊佐研究科長
そうですね。人文社会系であってもデータ解析などの経験をトランスファラブルスキルとしてビジネスに活かせると思います。マッチングの問題がやはり大きいのでしょうね。


留学生支援とグローバル人材への展望

高田学長
奈良女子大の規模だと、留学生だけに特化したサポートは難しいところがありますが、アカリクのような企業と連携して何かできるといいですね。

山田社長
そうですね。実は留学生支援も大きな課題です。日本に来て日本で働きたいという留学生は多いのですが、企業側が日本語を話せないと採用しにくいといったハードルもあります。今後、少しずつ学生と企業の双方にとって有益な支援を提供できるよう考えていきたいですね。

高田学長
今日、国立大学は学生数の減少という大きな問題に直面しています。その対策のひとつとして、規模の大きい大学は留学生の受け入れにかなり力を入れているようで、奈良女子大の規模でも今後考えていかないといけないと実感しているところです。単体で留学生の受け入れや就職支援に特化した支援を行いづらい小~中規模の大学が集まり、留学生支援を共同でできるような仕組みがあるといいですよね。10年後には切実な問題になりそうですし、アカリクがリードしてくれればおもしろいのでは。

山田社長
確かに、ダイバーシティ&インクルージョンというワードがHR界隈でもトレンドです。高いスキルを持つ留学生が、日本語の能力の不足だけを理由に就職を阻まれるのは社会にとって大きな機会損失だと思います。留学生へのサポートや、企業側の受け入れのサポートも視野に入れて現在模索しているところではあるので、今後にご期待いただければと思います。


早期キャリア教育の必要性

高田学長
博士課程は先が不透明というイメージが昔はありましたが、最近は少しずつ変わってきているようですね。一方、学生に大学院への進学を勧めてみると、大学院進学を全く考えていなかった、というケースもある。そこをどう啓発するかも課題ですね。

伊藤マネージャー
普段学生と話していると、例えば修士課程の後、博士課程へ進むべきか迷っている学生は多いですね。年齢を重ねるにつれ周囲が結婚や就職をすることもあり、漠然とした将来への不安を感じることが理由で進学に踏み切れないケースも少なくありません。早い段階でキャリアについて考える機会を提供することが大切だと思います。

今田特任助教
実際に、OGに登壇してもらうイベントなどもやっていますが、参加してくれるのは大学院生や学部4年生が中心です。学部1、2年生の段階でこういったキャリア教育を浸透させる必要を感じますね。


「他流試合」で視える博士人材の高度なトランスファラブルスキル

山田社長
アカリクでは、企業の事業課題への解決策や新事業のアイデアなどを博士学生に考案してもらうビジネスワークショップも開催しています。実は、企業の人事・採用を担当されている方々の中には、博士課程出身者と会ったことがない方も多くいらっしゃいます。そうした方々に参加していただくと、博士学生の能力の高さに驚かれることが多いですね。また博士学生自身も、自分の専門性やスキルが産業界でどう活かせるかイメージできない方々が多い中で、企業との交流やワークショップを通じて、研究とビジネスに必要な、課題設定や情報収集と評価、論理的思考などのスキルが意外と共通していることに気づき、視野が一気に広がるようです。こうしたアカデミアと産業界の「他流試合」は今後も継続していきたいですね。

高田学長
それはいいですね。研究分野がビジネスにも通じていると気づけるのは大きいです。こうしたイベントを通じて、企業と博士学生がもっとフラットに交流できる機会が増えると、双方にとってメリットが大きいと思います。引き続きお願いしたいですね。


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