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【アカリクゼミ特別回/文系社員座談会】~言葉を学ぶ~前編

株式会社アカリクは大学院生(修士/博士)、院卒社会人、ポストドクター、研究者の採用支援事業を行っている会社です。

アカリクゼミとは?

「アカリクゼミ」は異分野の博士・ポスドクが交流し、意見を交換することによって《博士・ポスドクと社会の相互理解を深める》ことを目的としたプログラムです。

今回は、「アカリクゼミ特別回」として、アカリクに所属する文系社員の座談会を行いました。当日は現役大学院生と大学院でご研究をご経験された方、計5名の方々に観覧にお越しいただきました。

当日の様子を前編・後編に分けてお伝えいたします。

▼参加社員紹介

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金 泰広(営業本部 人材紹介事業部)/ 今回の座談会ファシリテーター
大阪大学理学部物理学科入学。理論物理を専攻し、同大学院にて博士後期課程を修了。2017年にアカリクにビジネス職として入社。現在は主に大学院生・研究者のキャリア支援、就業支援業務に取り組む。


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吉野 宏志(経営管理本部) 
University of Liverpool(英国)学士課程修了、筑波大学大学院 人文社会科学研究科 一貫制博士課程単位取得退学。日本学術振興会特別研究員(DC1)を経て、2016 年より現職。2018年より東京医科歯科大学の特任助教を兼務。
アカリクでは大学や学会などと情報共有しながら、博士課程の学生やポストドクターを中心にキャリア相談や就職支援を行い、現在は経営管理本部で業務フロー改善や広報の業務を担当している。

image_シュターブさん

シュターブさん(営業本部 人材紹介事業部)
芸術系の大学卒業後ドイツへ留学。言語教授に関し学部から学びなおし修士課程修了。ドイツ国内のコンサルティング企業、大学講師を経て、日本では外国人留学生の就職支援などに関わった後、2018年より現職。キャリアコンサルタントの国家資格を持ち、大学院生・研究者のキャリア支援を行う。
山さん(経営管理本部 人事グループ)
都内大学院を博士課程単位取得退学。専門はフランス詩。人材系ベンチャーでの営業職、エンタテイメント系ベンチャーでの人事職を経て、現職。

金:それではまず、簡単に大学院でどのようなことを学ばれていたかと、アカリクで現在どのような仕事をしているかについて自己紹介をお願いいたします!

:フランス文学を専攻し、詩を研究していました。学部・修士時代にはボードレールという詩人の研究をし、博士後期課程では異なった文学者の研究をしていました。現在アカリクで従事しているのは人事業務です。よろしくお願いいたします。

シュターブ:私は修士課程をドイツで経験しました。絶対にドイツに行きたい!ドイツで学びたい!と思っていたというよりは、割と流れるままに、色んな出会いがあったりしながら、最終的には「言語とは何か、言語を教えるとはどのようなことで、学ぶとは何なのか」というところに落ち着いた感じです。

アカリクでは採用コンサルタントとして、学生の皆さまの就活サポートをさせていただいたり、企業の方に大学院生の方々の魅力をお伝えしたり、といういうことを行なっています。本日はどうぞよろしくお願いします。

吉野:博士課程までいっていまして、専門は歴史言語学です。所属は一般言語学といって、言語理論を研究したり、実際に現地で言語の調査を行なったりする研究室にいました。アフリカのエチオピアという国に調査に行って1回につき1ヶ月くらい滞在して、語彙から文章の作り方や文法を調査して、文法書をつくろうとしていましたが、私は博士満期退学で学位は取得せずアカリクに就職しました。

アカリクでは金やシュターブと同じように採用コンサルタントをしていて、1年ほど前から経営管理本部で社内システムや業務フロー改善、加えて広報活動も行なっています。よろしくお願いします。

吉野さん

▲吉野が現地でフィールドワークを行った時の写真

金:ありがとうございます。自己紹介の段階だけで面白そうな話の種があったと思うんですけれども、言語を学習している時代の思い出についてお聞きしたいと思います。では始めに、山さんから。先ほど「詩」というキーワードがあったと思うのですが、なぜ「詩」に着目したのでしょうか?

:はい。実は、元々私は、文学に興味がなかったんです。それが、高校生の時に日射病にかかり、しばらく安静にする必要があった際に、暇つぶしに本を手に取ったことがきっかけでやっと文学に興味を持ちました。星新一と遠藤周作だったのですが、それが高校1年生ぐらいの話ですね。

受験後、第二外国語を選択する時に、フランス語とドイツ語の二つで迷いました。当時の先生に、フランス語はどちらかといったら美術と関わり深くで、ドイツ語の場合は音楽だと教えられ、せっかくなら美術を深く学んでみたいと思ってフランス語を選択しました。

詩に着目した理由の一つは効率です。高校まで本を読まなかったので、沢山の作品を読みたいと思っていました。その点でいえば詩は短い(笑)。詩なら短時間で沢山読めるな、と思ったんです。でも、一篇一遍の内容は濃く、味わい深いものが多いのも魅力的でした。

最初に研究対象に選んだボードレールという詩人は、日本文学にも多大な影響を与えている詩人で。あの芥川龍之介もボードレールから影響を受けていたりしているんです。ボードレールを学ぶことで、今どうしてこのような世の中になっているかというのが、ちょっとこじつけかもしれませんけど、そういう断片が見えてくるので、ものすごくはまりました。

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▲人事関連の英語の書籍(左2冊)とフランス文学の原著(右2冊)

シュターブ:ドイツ語が音楽寄りというのは確かにそうですね。ドイツに留学していた時に、音楽をやっていらっしゃる方は本当に多かったです。ドイツ語に関することで言えば、本当に書いてある通りに読むんですよ。そして文法がものすごくしっかりしているんです。私は、ドイツ語をやっていると英語のラフさが嫌になるんですけど(笑)。ドイツ語をやっていると頑固になる感じがあります。

金:吉野さんは海外の大学で英語を使われておられましたが、今のお話をどのように思われますか?

吉野:はい、私は学部生の時にイギリスに留学して英語を使っていました。基本的に英語の文献しか使わなくて、たまにドイツ語とかフランス語の文献があっても頑張って、辞書ひいて・・・う~ん分からんって(笑)。

そんな感じだったので、正直フランス語もドイツ語も苦手意識を持っているというか。大学院時代もやっぱりフランス語やドイツ語で書かれた論文とかたくさんあるので読まなきゃいけない場面もあり、辞書を使ってなんとか解読していたので、お二人はすごいなあって感心しながら聞いていました。

金:なるほど。皆さんは、他言語の学習を通して形成された価値観みたいなものってありますか?

:難しいですね。今の仕事で私が学んだフランス語を使うか、ということだけで言えばほとんど使う機会はないのですが、言語を学ぶ上で身に付けた力は大いに役立っている、と思います。

例えば、人事として普段の仕事をする上では外国語ってそこまで必要ないのですが、海外の企業は日本の企業よりも先進的な人事の取り組みをしていたりするので、海外の人事の事例からヒントを得て実務に活かすというパターンもあります。その時に英語などは役に立ちますね。英語で出版された人事に関する書籍を、原文のまま読んで理解できるので。

また、私は文学を研究してきたので、創作にも興味を持ち、趣味でシナリオ作りの勉強をしています。シナリオでは、人の仕草で感情を表す必要がありますが、このスキルは人事でも役立つのではと予感しています。そういう風に、社会に出たからと言って全てをリセットするのではなく、何かしらの形で継続することで、いつかそれぞれが重なる時が来たらいいなと思っています。

吉野:私が言語を学ぶうえで身についたことは「異文化コミュニケーション能力」ですね。多様な言語をかいつまんで調べたりしていたのでいろいろな言語文化に触れたり、実際に留学したり、調査したりして、異文化に順応するということが身についたかなと思います。人付き合いもある意味上手くなったのではないかなと思います。

これらは、入社後に様々なバックグラウンドをもつ人たちと一緒に仕事をしてみて気づきました。それが言語を学んだ価値があったと思える経験ですかね。

シュターブ:私はドイツに10年間いたのですが、ヨーロッパですから隣に行ったらすぐ違う国があったり、考え方もやはり日本人と全然違いました。私はもともと「本当にそうなのか?」とあれこれ考えるのが好きな人間だったんです。それがよい時もあれば、考えすぎてしまうこともあります。

それが、ドイツでの10年があったから今適当に生きられるんだなあと思うことはあります。いい意味で考えすぎないと言いますか。まあいっか、と肩の力を抜いて考えられるようになったという変化がありました。ああ、世界って広いんだな、色んな考えの人がいるな、ってことを知ったのが一番自分にとって価値あることですかね。

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▲ドイツのアイフェル地方にあるドイツ三大美城の一つ、エルツ城。

金:素晴らしいお話をお伺いできました。例えば、誰かの心を動かしたいと働きかける場面で、今のお話は貴重なヒントのような気がします。それではここからは、本日お越しいただいた学生の皆様からご質問をいただきながら進めてまいりたいと思います。

後編へつづく!

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アカリクでは、様々な経歴をもつ社員が活躍中!採用情報はこちらをチェックしてください。

アカリク採用HP https://acaric.co.jp/career/
アカリク採用情報 Twitter (@acaric_saiyou)

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書いた人:菅原 晏沙 (経営管理本部 人事グループ 採用担当)


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株式会社アカリク(https://acaric.co.jp/)は「知恵の流通の最適化」という理念の下、大学院生やポスドクを対象とした求人情報の提供やキャリアセミナーを開催しています。また、現役大学院生から大学院修了者まで幅広く対応したエージェントサービスも提供しています。他にもLaTeXの環境をクラウド化できるサービスも運営しています。

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