STORES .jpで働いて3年が過ぎていた(または: 常に変わる現在と未来に能動的に流されるエンジニアの焦燥と選択について)

# まえがき

画像2

金木犀の香りがして秋が来ていて、そしてSTORES.jpに転職をして3年が過ぎていた。STORESで3年経ったということは、開発エンジニアとして3年が過ぎたということでもある。

3年前に最終面接で「エンジニアになってどうなっていきたい?」と聞かれた時に「3年間は開発に集中してRuby/Railsで一本筋が通るようにしたい。もう年齢が29なのでエキスパートでもないような気がしますし、そこから先はちょっとわからないです。どの道をゆくにしろとりあえず3年かなと思っています。」と答えた。

現在、私はプログラミングを業務でほとんどしていない。今年に入ってからなのでもう10ヶ月ほどになる。

過去の自分から見たら話が違うのだけれど、常に未来は自分の予想以上でやってくる。そんなことをちょっと書き記しておきたい。リーダー・リーダー候補とかエンジニアリングマネージャーみたいな文脈で揺れてる人に「こんな人もいるよ」みたいなのが届くといいなと思いながら書いています。

なお、Ruby/Railsで筋は一本まだ全然通ってない。

# はじめに

背景がわかったほうが良い気がするので自己紹介をする。

スクリーンショット 2019-10-21 12.24.19

STORES.jpでプロダクト開発のエンジニアをしています。プロダクト開発は、STORES.jpを使ってくれているオーナーに価値をたくさん届けて、STORES.jpでECサイトを解説したオーナーさんが使いやすく届けたい価値に集中できるようにすることを目指して日々働いている。

Rails Developer MeetupとTama Ruby 会議でお話させていただく機会を頂いたことがあるのでもしかしたらそこで見かけていただいている方もいるかも知れません。

こんな感じの発表をしていました

# 本題

まえがきで書いたとおりプログラミングと向き合うということを3年間頑張りたいと思っていたのだけど、実際は2年と2ヶ月で業務としては手を離した形になった。そのあたりの葛藤はあったのでそのあたりを書いてみたい。

期間を区切りながら変化を書いていきたい

・入社から2年ぐらい(2016/7 - 2018/5)
・実装 & チーム 期(2018/5 - 2019/1)
・チーム期(2019/1 - 2019/10)
・チーム期Next(2019/10 - now)

こんな感じ。

# 入社から2年ぐらい

まえがきみたいな面接を経て、STORES.jpになんとか入社できた。

もともと開発エンジニアとしての経験が豊富だっただったわけではない自分を拾ってもらって、今も一緒に働かせてもらっていることにめちゃくちゃ感謝をしている。ただ、最初の2年は自己肯定感がフロアを突き破ってマイナスだったので結構生きた心地がしなかった。自分が貢献できている実感がなくひたすら任せてもらったものを倒し続けてた。

自分が入社したときは開発チームは4人で全部を回していた。

機能をつくったり、決済手段を新たに導入したり、配送のシステムをまるっと作り直したりしたのだけど、人数が少ないので1案件を1人で担当して設計から実装、インフラからフロントまで全部1人でやっていく感じだった。

とにかく他のメンバーとの実力と経験の差があまりにも顕著で毎日が劣等感の連続だった気がする。

## ブレイクスルー

もうほとんど後半の方だけど10ヶ月ずっとやっていたプロジェクトがあって、それがリリースされた時にようやくやりきれた感じがしたというか一つ恩返しができたような感覚があった。感覚はあったんだけど、リリース直後はハチャメチャに事後対応があったので、そんなことをあまり考えている余裕はなかった。劣等感を感じている場合ではなかったというのが良かったのかもしれない。

無理だと思ってたものをやりきる→自信になる のこの体験は人に成長のワードで相談を受けた時に結構してしまいがちな原体験になっている。

## 環境の変化

この期間にSTORESは決済サービスを提供するCoineyと一緒になってheyのグループの会社になった。これによって何もかもが変わることになる。

まず会社名が Bracket から ストアーズ・ドット・ジェイピーに変わった、オフィスの場所が変わった、Coineyさんといっしょのオフィスになって、関わる人が一気に倍に増えた、社員が加速的に増えた。とにかく何もかもが急激に変わった。

会社の風向きというか勢いが変わったのを感じた。

# 実装しながらチーム見る 期

## 開発チームの中にチームができた

入社した時に4人だった開発チームは2年が経って12人ぐらいになっていた。

一枚のピザを分け合うにはちょっと大きすぎるチームになっていたので、開発チームは役割ごとのチームに分割された。私はその1チームのリーディングをすることになって、4人で一緒に開発をやっていくことになった。

## はじめてのリーディング

私はプロダクト開発をしながら、リーディングの役割を担っていくことになった。自分の経験不足でだいぶ失敗した。プロダクトマネージャーもこの時期に役担当する人が採用できて一緒に働くことになったのだけどそことの期待値調整も全然うまくできなかった。

この時の失敗は主に

・チームでタスクを分担していくやり方がわかってなかった
・チームで活動のフレームワークを持ってなかった
・過去の1人1案件のやりかたを踏襲しすぎてた

の部分が大きかったように思う。

## Tryのリーディング

リーディングとは何なのかよくわからずとにかく色々やった。失敗もしたしうまく言ったこともあった。そのあたりはRailsDMの登壇資料にまとめてられるくらいいろいろやった。

一番大きかったのはスクラムの導入で、日々の活動について考えるコストが減ってコミュニケーションは増えたが、フレームに乗っかっている状態で実装に集中できて非常に良かった。

自分のチームにもまた何人か人が入ってきた。せっかく同じチームで働く人には楽しく仕事をしてほしいし早くなれてほしい。自分の実装を持ちながら、そういうところにも色々活動をやったりしてみた。

チームメンバーの気質がもともと向いていたというか善良だったということもあるかもしれないが、チーム内の空気が前を向いている感じでこなしているタスク量も自分を覗いて入社して1年以内の人しかいない割にめっちゃやれている感があった。うまく回っている感だった。

更に良かったのはチームメンバーが「いい感じだけれども、本当にうまくまわっているんだろうか?」と疑問を持ちながら動けたことだ。それはスクラムの活動量を図るベロシティで定数的に見れて課題発見をしていけた。

## 実装者としての焦燥

チームがだんだん形になって成果を出していく中で2つのことを突きつけられた。

・チームメンバーが  `実装` という文脈で私より優秀である
・本当嬉しいことに新しく入社してくれる人がことごとくきっちり結果を出してくれる。
・実装をしながらリーディング業をしていると `だんだんと自分がボトルネックになっていることを自覚する`

これはなかなかにショッキングな出来事だった。リーダーが成果を出していないし、チームの成果を阻害していることに気づいた。例えばレビューが出遅れたりとか、自分からボールを渡すのが遅れてしまったりとかそういうことが自分で目につくようになってきた。

# チーム期

## チームを作る上で大事にしたかったこと

リーディングという役割をやるとなった時に考えていたことがあった。

・楽しく仕事ができるようにする(愉快ではなく気持ちが前を向いていること)
・仕事を通して成長してほしい(市場価値を上げてもらう)
・価値を出して給与を上げていく

これができるといいなと思っていて、それに対してどうアプローチしていくかみたいな動きをリーダー初期はしていた。なれないことも多くてできたこともあるしできなかったことも多かったように思う。

そんな中で先程のボトルネックに気づいた。

今までは自分が開発を取って、完成させて、自分の糧にしてきた。「これ、ひょっとして自分が取ってしまうのって成長機会奪ってる?」そう思った。これは手放さないとだめなやつだと。入社歴は私のほうが長いけれどどう考えてもみんなのほうが優秀なのだった。

## 対策

以上心境の変化を経て、以下の対策をとった

・自分で大きな実装を取るのをやめる。
・自分の役割を前に立つことから後ろに立つことに変えた。
・チーム内で案件チームをつくることにした

ダメだったらやめればいいのでチームの人にもその温度感を伝えた上で、Tryをしてみた。

すごい良かったなと思っているのは、もともとチームメンバー能動的に進めてくれていたところをさらにガンガンプロジェクトを進めてくれたことと、プロジェクトの阻害要因を潰す方に自分が集中できたこと。

副次的な効果でプロジェクトのリーディングを担わなければ行けない人がどうしても発生するので、その経験をして貰える場所ができたのが良かった。

8, 9, 10月と大きなリリースが続いたけれど、無事に来ているので本当良かった。自分がなにかしたというかチームメンバーが本当にすごく価値を出していた。

## 課題

当然なんだけど、チームそれぞれの進捗把握や課題抽出を見ていくとどこまで入り込むかによるが結構時間がかかってしまう。落とせないところや見えないものを中から見えないところを拾い上げるバランスと力が求められる。自分はまだ正解が全然つかめてない。

あと形に残る成果物は自分には紐付かないので、仕事してない感がすごい。これはある程度諦めるしか無いかなと思ってる。ただ、やったことを記録に残したり、作りたい環境や未来を目標にしてそことの差分を図ることでProblem/Tryが見えてくると思うので今期はそのあたりをやっていきたい。

# チーム期Next

長々と書いたんですがここからが今回書きたかったことで、また自分の取り巻く環境が大きく変わっていっていて、また仕事の仕方が変わるなという印象があるためその初心を書いておいて差分を後ほどとっていきたい。

## 何があるのか

今会社では全社を巻き込んだ新規事業が走っています。@howdy39 の言葉をそのまま借りると

Coiney、STORESをまたいだ新規事業の開発が始まっています。
詳細は書けないですが、オフラインのお店(Coiney)とオンラインのお店(STORES)をつなぐ何かです。想像を膨らませてください。

という感じで、とにかく全力で走り抜けている感じです。規模や実現する世界を想像するとけっこうワクワクする感じのプロジェクトなのだけれど、解決されるべき課題(Issue)もたくさんやっつけなければいけない。

そんな感じのプロジェクトなので、バックエンドのエンジニアが全然足りてないというのはあるんですが、自分の課題感として `もっとやることを減らして本来やりたいプロダクト開発に更に集中してほしい` というのがあります。

プロダクト側のバックエンドチームは2チームあるんですが、この度チームの垣根を超えてコトに取り組むためそのあたりの交通整理が必要になってる。

## やりたいこと

達成されてほしいことは `プロダクト開発に費やす時間を増やして届けられる価値を増やす`ということで、ここにどうアプローチするのかなんですが、それに加えて `エンゲージメント(愛社精神とか愛着の意味ではなく、個人と会社の成長が貢献しあう関係)` を目線として持っておきたいという思いがあります。

これは個人的になんですが、愛社精神 みたいなものを気持ち悪いとおもってしまう性質なので、そういう意味ではなくて「組織は個人を信頼しているし、個人も自分の価値が組織に届いている、できれば組織のことが気に入ってるor好きだと良さそう」っていう関係性をさらに強めていきたい。愛は厳しいなって思うけど、気に入ってるor好きってのはすごくいいバランスだなと思う。

残念ながら施策はまだ全然考えられてなくて、今期は実験と調査期になると思ってる。

# 3年間を振り返って

いろいろなことが変わった。

■社名
BRACKET ⇒ STORES.jp

■一緒に働く人
20人くらい ⇒ 80名くらい

■開発の人
4人 ⇒ 25人

自分よりしっかり実装をしてきた人がたくさんと出会えて、今自分が入社しようとしたら入れないんじゃないか感がすごい。人が増えてたくさんできることが増えて、プロダクトを前にすすめることが最優先だった時期から、基盤を整えることにちゃんとリソースを割いて気持ちよく開発できる体制を作れてるのがありがたい。

■人生
・結婚した
・子供が生まれた
・カメラに60万円ぶっこんでしまった

その他にもサービスがフォーカスする場所が変わったり、自分の役割が変わったり、考え方も色々と変わった気がする。STORESにいた3年間はいままでの3年間で一番激動だったし、これからもしばらく激動なんだと思う。

月イチの振り返り会の時にやりたいひとがLTするのをやっているんですが、バラエティに富んだ内容でいろんなバックグラウンドの人が同じチームにいるんだなーってなる。

福利厚生もすごく社員に寄せてくれていて、私が特にありがたかったのが子供が生まれた時にもらえる特別休暇。詳しくは下記の記事に詳細が書かれていますが福利厚生のスタンスにも共感するところだ。


(親、足の裏写真とりがち。)

あと本当にバックエンドも人が足りてないので少しでも興味があったら声をかけてほしい。後ろで背中を押すのでガンガン前に進めてくれる方よろしくおねがいします。

# まとめ

最後のほうがちょっと宣伝っぽくなってしまたけれど、

エンジニアの人で「マネージメントを任されたけど実装をやりたい」ってよく聞く話しだなと思っていて、すごく自分もよく分かる。エンジニアとして未完成なのに(完成があるかはおいておいて)将来自分がどこかで使い物にならなくなるという想像って結構な人がしてると思う。

自分もまだその想像の真っ只中なのだけど、今実装自体は仕事として大きくはしていないけれど、別に実装しないことを諦めたわけではないし仕事中にプログラムを書いていることだけが実装を諦めないということでもないかなと割り切った。

つきなみだけど、どう動いたら効率が良くなるかみたいな話はプログラミングを書いてる時のパズル感にさほど遠くないように思う。これがさほど嫌いじゃないのが自分は幸いだった。

自分のやりたいことは、休みの日にゆっくり進めつつ今は会社の方向に積極的に流されてみたいと思って積極的に流されている。自分の今の視野からは見えてないだけで、ちょっと先をみつつ目の前の課題をさばいていくことでなにか見えるかもみたいな楽観的な気持ちでいる。今の会社は自分にとってそういう信頼に足る感じがある。

# 最後に

たまたま休日にテレビをつけたら「同期のサクラ」というドラマの再放送がやってた。主人公のさくらが「諸君、明日はもっと良いものをつくろう」というガウディが帰り際職人に呼びかけた言葉を引用していた。これいい言葉だなと思った。

日々課題は目の前にあって時にどうしたらいいか道がわからなくなったりするけれども、少し立ち止まって自分たちが為したいことを思い返して「諸君、明日はもっと良いものをつくろう」とみんなで少しずつ改善していく・作っていくってのを自分は今やっていきたい。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

41
Katsumata Ryo | Engineer, Guitar, Sleeper
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。