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研究支援のインパクトを可視化し、Open academia を実現する!

こんにちは!アカデミストの柴藤です。

先日の記事で紹介したように、今年で「academist」公開10周年を迎えました。これまでに約400名の研究者が、約20,000人のサポーターから、総額約3億円の研究費支援を受けて研究を進めています。

この支援総額は、公的資金(例:科研費2,300億円 / 年)に比べると小さく見えるかもしれません。しかし、サービスを運営する立場から見ると、金額以上の社会的インパクトが生まれていると実感しています。今後は、支援総額以外の社会的インパクト、つまり学術系クラウドファンディング(CF)の研究費獲得以外の波及効果の可視化を進めていきたいと考えています。

研究者アンケートを実施しました!

第一弾として、「academist Crowdfunding」にチャレンジした研究者のを対象にオンラインアンケートを実施しました。
期間:2023年10月16日(月)〜10月25日(水)

  • 対象:「academist Crowdfunding」「academist Fanclub」を利用した経験のあるチャレンジャー230名(※ 目標金額未成立のチャレンジャーは除く)

  • 内容:アンケートフォーム

  • 回答件数:106件(回答率:46%)

今回の結果を、2つの観点から整理します。

結果①:0 to 1 Impact

academist のチャレンジャーには、前例のない切り口で研究を進めたい方や、学際研究に取り組みたい方が多く、CFは「ゼロイチ研究をはじめる機会」として期待されています。
それぞれの研究は、CFチャレンジ後にどのような進展を遂げているのでしょうか。アンケート結果によると、研究者34名(33.7%)がCFチャレンジ後に追加で研究費を得ていることがわかりました。

「academist のチャレンジ後、関連する研究プロジェクトで研究資金を獲得しましたか。」に対する回答。34名(33.7%)が関連プロジェクトで研究費を得ている。

注目すべきは、これら34名の研究者たちが追加で調達した資金の総額です。追加資金は合計で2.7億円に達し、CFを通じて集めた3,400万円の約8倍に相当します。この結果は、CFが初期資金調達の手段としてだけでなく、その後のより大規模な資金獲得につながる可能性を示しています。

結果②:Outreach Impact

CFチャレンジ中は多方面にPR活動を実施するため、アウトリーチ活動の効果も期待できます。

アンケート結果によると、研究者47名(38.5%)がCFをきっかけにメディアからの取材を受けて、新聞・ラジオ・Webメディア等で紹介されています。

「academist のチャレンジを機にメディアからの取材を受けた事例がありましたら経緯とあわせて教えてください。」に対する回答。47名(38.5%)が取材機会を得ている。

また、3人に2人の研究者(66.3%)がCFを機に協働機会を得ています。

「academist のチャレンジを機に他大学や企業等との協働(雑談をした等でも構いません)が生まれた事例がありましたら経緯とあわせて教えてください。何もなかった場合は「特になし」とご記載ください。」に対する回答。3人に2人の研究者(66.3%)が協働機会を得ている。

協働先は研究者や企業、官公庁、メディア等多様で、CFのアウトリーチ効果の大きさが伺えます。

協働先として、企業、研究者、個人、学会、メディア等が挙げられた。

研究支援のインパクトをリアルタイムで可視化する

今回は研究者アンケートをもとに情報を整理してきましたが、研究者がCFの波及効果をリアルタイムで公開し、サポーターが自身の支援に対するインパクトを確認・公開できる状態にできれば理想的です。その第一歩として、先日サービス内にプロフィールページを公開しました。このページでは、サポーターがこれまでに支援した研究プロジェクトの一覧を公開でき、「研究支援の軌跡」を可視化できます。

支援しているプロジェクトの一覧を公開することができます。サポーターマイページ>プロフィール編集より設定できますので、ぜひお試しください。※ プロフィールページでの表示に適したデータ形式で記録を開始した2018年4月以降のプロジェクトのみとなります。

この新機能は、私たちが目指す「開かれた学術業界(Open academia)」の実現に向けた重要なステップです。研究者が研究Visionを発信し、サポーターがそれを支援し、その成果が可視化される。このサイクルを通じて、研究と社会のつながりがより強固になり、新たな価値が生まれていくことを期待しています。

現時点の機能は限定的ではありますが、今後はサポーターが支援した研究が数年後にもたらす学術的・社会的インパクトを追跡できるよう拡張していく予定です。

みなさまからのフィードバックを積極的に取り入れながら、よりよいプラットフォームづくりを進めていきます。ぜひ、新しいプロフィールページをご覧いただき、ご意見をお聞かせください!

謝辞

以下の方々を含む合計106名の研究者の皆さまからいただいた貴重なご意見とフィードバックは、academist の改善と発展に大きく貢献しています。

青木聡樹さん、青木誠さん、荏原充宏さん、石坂晴奈さん、石崎一輝さん、板原彰宏さん、伊藤克彦さん、伊藤友貴さん、伊藤雄馬さん、今井仁さん、今泉拓さん、岩﨑志保さん、上田正人さん、内田匡輔さん、内藤俊雄さん、浦環さん、大上能悟さん、大道麻由さん、小田隆さん、小路直さん、樺沢勇司さん、加藤靖浩さん、川口康平さん、菊池信彦さん、菊池夢美さん、木下千尋さん、久保みどりさん、甲斐義輝さん、小浦寛之さん、河口謙二郎さん、小林柚子さん、坂本貴紀さん、坂本光士郎さん、坂本良太さん、齋藤大さん、静間荘司さん、静岡県畜産技術研究所さん、白川誠さん、白澤健太さん、白砂大さん、新宮康栄さん、新倉雄一さん、菅原薫仁さん、杉本結花さん、鈴木龍一郎さん、孫詩彧さん、太田敏博さん、高谷直己さん、竹本誠さん、田中大介さん、田中慶太さん、田野井博之さん、田口善弘さん、玉木大さん、中尾悠里さん、中川聡さん、中島浩貴さん、中西諒さん、中野善之さん、長谷川尚弘さん、仲嶺真さん、西村紳一郎さん、野村佳祐さん、櫃割仁平さん、原直誉さん、濱田太陽さん、畠山泰英さん、花田朋美さん、福田真平さん、藤島政博さん、藤谷昌司さん、細田満和子さん、細谷啓太さん、堀井樹さん、松原祐貴さん、三浦哲都さん、水野君平さん、三橋弘明さん、宮原裕一さん、村上覚さん、森田泰暢さん、山口忠則さん、山下桃さん、山田佳之さん、山花京子さん、吉永早苗さん、和泉光則さん、渡部綾一さん、渡邉文隆さん

アンケートにご協力いただいた研究者の皆さまに心より感謝申し上げます。今後ともacademistをよろしくお願いいたします!

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