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ラ・フランスな弟

一回り離れたわが愚弟、フランス関連の学問を専攻しておる輩でねぇ、来年はボルドー大学に留学に行くようである。最近は専らゴーン密出国に対して過激な言論を家で撒き散らしている。ひとえに若さゆえの政治的熱病、と言えよう。

思えば初めて弟と出会ったのは産婦人科病院、数時間の産まれたてのホヤホヤだった。あの濡れた画用紙を丸めたようなしわくちゃの小動物が、今や背丈は僕を超え、遠国に飛び立とうとしている。生き物ってホントに不思議だ。飯食って寝てりゃこんなにデカくなるもんだね...。禿げない程度に、のびのびと洋行を楽しんで欲しいと思う。差別も挫折も含めて。

でも僕は忘れない。君のオムツを替えようとした時、僕の鼻孔にボンジュールし臭覚を破壊した、あの劣化ウランが如きUNKOのスメルを。

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