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柿食う男

なんだか今夜はやけにピリッと冷えるな、と、なんとなしに視線をあげてみたら上弦の凍月が皓々と輝いてて、おぼろ月の奥ゆかしい幽幻とあまりにかけ離れた自己主張が、中洲の乱痴気な華やかさと張り合ってるみたく、面白かった。夜と月、自転と公転。相も変わらぬ天体たちの回転を背中に感じながら場末のバーで一杯ひっかけて、品のあるマスター相手に寒すぎるポエムの一つや二つ射出してみようとも思ったけど、大事なことを思い出す。「この時間帯ってカットフルーツが半額になるんやった!」スーパーに急ぎ足を向ける。30%引きだったが熟れた柿を入手、残秋の甘み。いい一日だった。

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