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修羅場内閣総理大臣

ねえねえ、しゅらばって、なぁに??



修羅の場と書きます。



字面のごとく修羅場とは「修羅」同士がかち合う、このうえなく血なまぐさいキルゾーンです。

古今東西、遥かメソポタミアから昨今の文春砲に至るまで、このタームについて星の数ほど研究がなされ、現在に至るもその定義、および処し方についても諸説紛々、いまだ学界の統一見解が見られません。まさに世紀の難問です。

そもそも修羅場とは何場でしょうか?



タームの解釈主義は往々にして議論を錯綜させ複雑化させます。ここは経験主義の側面から定義を試みてみましょう。



修羅場、わかりやすく挙例すればこういうことです―――。



「ねえ!ようくん!この女、誰!?」



---これが修羅場の全貌なり。ザッツオール。

とある連休中、繁華街中心に座するオシャンティーなタリーズコーヒー。窓際のテーブルに腰掛ける一組の若人。楽しげに語らい合う二人。



茜さす夕暮れ。ゆったり流れるBGMと時間、滲む幸せ。


そこへ頭上から霹靂のごとく落ちてきた驚愕の声。



「ねえ!ようくん、この女、誰!?」



かくして修羅場は爆誕する。

なおようくんとは僕の名前ですが、この物語は実在の人物・団体とは1ミリも関係ありませんのでご承知下さい。

ゆえに、現実は幸運(いや不幸というべきか)にも、上述がごときバルカン半島の火薬庫状態に陥ったこともありません。

さりとて、修羅場と無縁というわけでもなく。



告白すれば僕は自身の悪意なき不注意により他の者を修羅場のどん底に突き落としてしまったことがあります。



自分の手で創りだしてしまった引っ込みつかない修羅場を前に「しまった」で埋め尽くされた僕の心は心停止一歩手前でありましたな...(遠い目)



しかし、修羅場の最中、とある不可思議な感情がほんのりと、本当にほんのりと、少年の胸の奥底で首をもたげたのであります。



「やべぇこれ、おもしろくね?」と。


自分の修羅場は鉄の味。


他人の修羅場は蜜の味。



なぜドロドロの昼ドラは人を夢中にさせるのか?


それは、ドロドロとは、人をドロドロな番組の一視聴者以上に、


他人が繰り広げるドロドロの一傍観者にもさせてしまう魔力をもっているからです。



誠に哀しき人の性でありましょう。


僕が一手でクリエイトしたこの肉踊る修羅場あたり事情は誰ひとりに話したこともないし、墓まで持っていく心づもりでいるが、黒霧島五杯目のところでポロッと漏らすかもしれません。


忘れえぬ黒歴史。

愉悦に目覚めた、黒光りする黒歴史です。



修羅場、それ自体は硝煙香る時空間です。これは論を俟ちません。


同時に、修羅場以前のプロセス、火薬庫引火前の段階、すなわち「火遊び」のシチュエーションには、いつだって背徳感によって増幅された興奮と衝動、そして豊穣な詩情と文学的価値に満ち満ちていることも忘れてはなりません。



古き時代のリア充たちの恋詞のごとく、



あかねさす 紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖振る     

額田王


訳:
紫草の生えたただっ広い野原を、狩場の杭を張ったその野を乗り越えながら、そんなことをしてからに、もうっ!!(*/∇\*)



ガードマンたちに見られちゃうでしょ!



君(天智天皇)が私に向かって大きく手を振ってくるのを・・・。☆(**>ω<**)テレルヨ――ヤメテヨ―‐☆



ちなみに額田王は天武天皇の妃。そして天武天皇は天智天皇の弟。

あとは皆さん、お分かりですね?



かくして術式は完成し、愛と青春と文春が結び合うゴールデントライアングルが動き始める。



ここで情報漏洩対策をしっかり講じていれば、火遊びの愉悦を長期的にエンジョイできるし、逆に失敗すれば修羅場への垂直落下コースが待っております。



修羅場と愉悦のユートピア、その分岐点は厳重な情報管理にほかなりません。



そしてその情報管理でぽか打ってしまったA級戦犯がほかならぬこの僕でした。マジであん時はごめんな。



さて、機密情報が漏洩した場合、事態をいかようにコントロールし、可能な限りソフトランディングさせるか。先述のケーススタディで方策の一つを提示しましょう。



「ねえ!ようくん、この女、誰!?」



「っ!!!」


「ねえ、誰なの!?ねえ!!(ニヤニヤ)」



「・・・って、母ちゃんかよ!」


「あらら、彼女さん???うっふふふ...息子ながらいつの間に、隅に置けないわね~」


「ちょ、マジでなんでここおると!?」



「あ、こんにちは!お母様ですか?いつもようくんと仲良くさせて貰っている◯◯と申します。」



「あらやだ^^お母様だってもうっ!www」



ざっとこんな具合だろう。



ご参考になれたら幸いです。


どうぞ皆さんにも、心を穿つ修羅場が訪れんことを。

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