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アートをとおして互いを認め合う空間づくり アトリエe.f.t.のワークショップ

「表現することと生きることはつながっている。」アトリエe.f.t.の代表、吉田田タカシさんとお話をすると、こんな言葉が浮かんできます。e.f.t.の名前の由来はフランス語のenfant terribles(アンファン・テリブルス)。「恐るべき子供たち」著しく型破りで、革新的、アバンギャルドであり、非常に才能ある若者を指す言葉です。この言葉通り、e.f.t.では「自分のものさしで楽しく生きていく人」「型破りなやり方で時代を切り拓く人」を20年間輩出しつづけています。上手くつくる、きれいにつくる、だけではなく、表現をとおして「よく生きる」ことをどう学び合うか。e.f.t.の理念にふれるワークショップに参加してきました。

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▲団体名の由来は 「enfant terribles = 恐るべき子供たち」

取材レポート

大阪、上町のビルの4階にe.f.t.の大阪アトリエがあります。平日は美大予備校として、高校生や受験生が切磋琢磨をしながら、「ワークショップ」と名付けたプログラムでは生徒が一人のアーティストとして尊重され、講師も一緒になって半日で作品をつくります

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▲e.f.t.大阪アトリエへおじゃまします。

最初に吉田田さんからのレクチャー。といっても、参加者の頭をほぐすウォームアップ。古今東西のインパクトのあるアーティストの作品をみながら、「こんな考え方もある」「これはどうやって作ったんだろう」とわいわい議論がはじまります。そしてレクチャーの最後にこの日のテーマが発表されます。題して「透明をつくる」。生徒一同、「・・・」なかなか言葉になりません。この抽象的なテーマにどう取り組んだらいいのか。横でみていても生徒の頭が高速回転をはじめたのがわかります。
吉田田さんと講師のみなさんは、そこからは大きな投げかけはせずに、あとは一人ひとりの創作の時間に突入しました。

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▲レクチャーの後、今日のテーマを共有します。


創作の間は、時間の使い方は生徒にまかされています。出入り自由。近所のスーパーに素材を買いに行く人、廃品を探し出して、さっそく蛍光灯を砕きはじめる人・・・。吉田田さんたち講師のみなさんは、教えることはいっさいせず、「そうしたいんだったらこんな方法があるよ」と、最小限のアドバイスに徹します。むしろ、講師もアーティストの一人として、「透明をつくる」を追求していきます。

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▲各自制作に取りかかります。

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▲自分なりの「透明」を探す。


ワークショップを見ていて思ったのは、講師と生徒の信頼、生徒同士の信頼、相互的な信頼関係の強さです。生徒がすることを否定せずに見守る。放置するのではなく、悩んだり立ち止まっている生徒がいるとそっとそばにいく。講師と生徒の絶妙な距離感を感じました。さらに、生徒同士の豊かな関係です。表現者として、仲間として、決してベタベタせずに、でもしっかりとお互いのことをわかっている。年齢や日常の所属はバラバラなのに、ここでは個人個人の存在が認められている場だと思いました。特別支援学級に通っているという生徒が、なかなか創作に取りかかれない場面がありましたが、ほかの年上の生徒が気軽に語りかけ、いつのまにか同じテーブルにつき、ものづくりに熱中するようになりました。

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▲常に生徒たちと同じ目線の吉田田さん


ワークショップの最中に吉田田さんに話を聞きました。「大阪を中心に、ちょっと変わったアトリエとしてクチコミが回っているらしくて」と笑いながら語ります。「他の予備校では浮いてしまう子や、受験だけが価値観じゃない、という子たちが集まってきます。ここが居心地よくなって、卒業しても立ち寄ってくれる子もいる。単純なアート予備校ではないという自覚はあります。やっぱり一人ひとりの生き方を追求する場所。僕たちはそれを全力で認めてサポートする。うちの魅力はそれじゃないかな」。

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▲大事なのはそれぞれのやり方を尊重すること


夜も更けてきて、いよいよ作品発表の時間。透明に見えるオブジェ。ものの不在を感じさせる立体。空気感を感じさせる写真作品、どこにもいない人をネット上につくりあげてしまうコンセプチャルアート・・・このワークショップの時間に頭に浮かんだ言葉をすべて書き起こし、それをプリントし紙飛行機にして飛ばすパフォーマンス・・・。「透明になる」から出発し、本当に多様な素材や表現方法で湧き出すような作品が次から次へと生まれました。それらをみんなで楽しみながら鑑賞し、自分にはなかった世界観に触れる空間が生まれます。e.f.tの醍醐味は、表現をとおして多様性を認める豊かな空間と人の関わり合いなんだとあらためて実感する一日となりました。

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▲最後は作品発表。多様なアイデアが形になりました。

《団体情報》アトリエe.f.t.
代表:吉田田タカシ(よしだだ・たかし)
所在地:大阪市中央区上町1-8-2 協和ビル4階
奈良県生駒市壱分町763-3
Tel:06-6764-6086
https://eftosaka.com
約20年にわたり、「つくるを通して生きるを学ぶ」を掲げる美術アトリエ。美術大学受験のためのアトリエ運営から、子どもたちが自由な発想で創造活動ができるこどもあとりえの運営を、大阪、奈良で展開している。軽度の知的・発達障害のある子どもたちのサポートも増え、福祉制度を活用しない工夫を重ねてきた。(2020年度放課後等デイサービスとしてのアトリエ『bamboo』を発足)







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エイブル・アートSDGsプロジェクト2021の関連ページです。開催パートナー団体の活動紹介記事を掲載しています。プロジェクトの最新情報はこちらをご覧ください。 http://tanpoponoye.org/news/general/2021/02/393411413/