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戦後障碍者運動の生き証人たち (3)全盲

(承前)

次は全盲の三上洋さん。

ネット上に見つけた紹介記事で、全盲の方の公務員採用の草分けとなった方だとわかる。


非常にコンパクトな点字版をもっておられ、僕の持っていたカードに点字で僕の本名を書いてくださった。
そのスピードはとても速く、視覚文字で書くのと同じ程度か、個人差によっては視覚文字より早いと言えるかもしれない。

この宴会に招いてくださったK・Jさんによると、点字日本一だそうである。
日本は点字文化の発達している国のひとつであり、日本一であれば、もしかして世界一かもしれない。

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小さな点字版を人の肩に置き、点字を打つ三上さん。

障碍についてではなく自分の人生の面白さについて「面白いから語っている」この人たちの笑顔は、
いわゆる「障碍のない人たち」の自殺率などを思えば、素晴らしい笑顔だと思う。

ご存じのように点字とは、6つの点の凹凸の組み合わせだけで、すべての音を表す文字表記法である。

世界で最も簡便な表記法であって、それは障碍があろうとなかろうと、手話がもうひとつの言語であるように、もうひとつの表記法として、存在するというべきだと僕は思っている。

(手話はもうひとつの完全な言語であるという論については以下)

僕も学校の授業で基本中の基本を教えたことがある。
市の障碍者支援センターからクラス人数分の点字版を借りて、道徳の時間で学年全体で取り組んだ。

また僕の絵本「ええぞ、カルロス」には、六つの外国語バージョン(日本語をいれると七つ)の他に手話ビデオ、点字本がある。
残念ながら、ネットでは点字本だけは公開できないが(凹凸を手で触って感じることが普通のパソコンでは無理)、9つの言語バージョンと手話ビデオは公開している。


僕は三上さんに読んでもらうために点字絵本を持ってきたらよかったと思った。

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点字を撮影しても意味ないんですが、見えますか?


点字だけは、あとでネットで見てくださいとは言えない。
音訳DAISY絵本は朗読をネットでも聞けるから、全盲の方にも僕の作品をご鑑賞いただける。
しかし、点字はネットではいくら画面を触っても読むのが無理なので、点字絵本だけは現物を持ってくるしかなかったと思ったのである。

ところが、次に三上さんが取り出したものに、僕はさらに仰天することになる。

それは、なんと、点字パソコンだったのである!

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この点字パソコンについては、三上さんの発言とともに、福祉機器論として、改めて展開したい。

(つづく)

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